第五話「タケウチ改造計画」
タケウチ。正式名称、竹内式電磁機械拡張技体Ver5.2.0。
所持武装の解説。
まずは催涙ガス。一番汎用性が高く、クマにも効くものを使用している。怪異にはだいたい効かない。
次に腕部格納型チェーンソー。小型のチェーンソーであり、取り回しが良い。
そして対空ミサイル。性能としてはごくごく一般の対空ミサイル。竹内式独自規格を使用しており、材料を取り込めば体内で生産することが可能。
次は火炎瓶無限発射装置。文字通り火炎瓶を生成・発射することが可能。
そして粘着ネット。高速移動する相手に対し有効な手段。なかなか当たらないのが難点。
電磁パルスバリア。バッテリーの消費が激しいがだいたい何でも防げる。
ジェットパック。エアロジャンプや空中飛行が可能。かなり便利。
レールガン。左腕がまるごとレールガンに変形できるようになっている。威力はもちろん抜群。
そして最後の切り札。左腕を交換して使う「超越究極電磁キャノン」(エクリプス・キャノン)。学校どころか地球すら木っ端微塵にできるほどの火力がある。今は壊れてて使えないけどね。
本体はカーボンナノマシンアーマー。軽量化と自然治癒を実現してる。
ここからどうするか。自室のラボでクミと一緒に考えていた。
「そもそもスピードタイプとは相性が悪いんじゃない?」
クミが口を開く。確かにそうだ。飛び道具も躱されては仕方ない。
つまり。こちらも軽量バージョンを作るべきなのかもしれない。
次。私の案だ。
「呪術・魔術的要素を取り込むことで怪異に対抗できるのではないか?」
そう。私が見ているのは夜伽とやらだけではない。もっと怪異全般を相手にしていかなければならないんだ。クミを抱えて逃げてるだけじゃいつか捕まっちゃうし。
よってプランは二つ。
「軽量格闘ボディ」と「呪術・魔術兵器の使用」だ。
私はクミに自作のテレビゲームをさせながら、黙々と改造を続けていた。
まずは「呪術・魔術兵器」。
竹内式電磁機械拡張技体Ver5.2.2。純粋なアップデートだ。
日本古来の裁判の儀式「盟神探湯」。煮えたぎった湯の中に手を突っ込み、火傷をしなければ無罪という何とも非合理的なものだ。
しかし、伝承には価値があることは桜の木の下の一件にて証明済み。そして日本古来の裁判の儀式ともなれば…。
そしてその「盟神探湯」をブレードに落とし込み、チェーンソーの代わりに「盟神太刀」(くかたち)を腕に仕込む。「正しさ」という曖昧な概念に応じて火力の上がる一か八かの不安定兵装となった。なお、その「正しさ」はこの「盟神太刀」自身が判定する。
次に、マニ車。回すと徳を得られるという経文の書かれた車輪である。
そしてそれをガトリングにセット。撃つたびに徳を得、それを盟神太刀の「正しさ」エネルギーアップに繋げることもできる。銀の弾丸にはルーン文字とニンニクの成分を刻み込み、どのような宗教的存在にもある程度効くような「純銀弾マニガトリング」を右腕に仕込んだ。
その次は…カリアミム合金ナノマシンアーマー。この世界には概念的存在がいるようだが、自らをオープンソース化しているのはとても珍しい。そして、カリアミムという特殊概念を合金にすることで無類の軽量化、対呪術的・魔術的・おまけに物理的な硬度まで上がるかなりの便利金属である。特殊概念合金は生成するのが途轍もなく大変だった…。電気代が高くつきそうだ。
そして。「軽量格闘ボディ」こと、竹内式電磁機械拡張技体:単純格闘強化型Ver0.1.0。
これまでの催涙ガスと火炎瓶無限発射装置、レールガンを取り払い、軽量化と純粋な格闘性能を強化。
疑似筋肉によるパンチ力はリミッター解除時の約2.5倍、キック力、走力に至っては同じくリミッター解除時の約5倍となっている。
アーマーはもちろんカリアミム合金製。軽量化と硬度を同時に誇ることができる。
「で、軽量格闘ボディをいつも使えばいいんじゃないの?」
クミが疑問をつぶやく。
「軽量格闘ボディはあくまで夜伽はじめスピードの高い敵用だ。普段の私の『距離を取って攻撃する』パターンとは相性が悪い。」
そう。私の基本は距離を取り、分析しながら使える武器を撃っていく戦闘スタイル。ゴリゴリのパワーファイターではない。
そして私の基本戦術を捨てる、というのも私のポリシーに反する。使い慣れた戦術を無理に捨て去るのは合理性に欠ける。状況に応じて使い分けることこそが合理的であろう。
「そして、だ。クミ。これ以降クミ自身が逃げ回ることが多くなると思う。」
「?」
いくら稀代の大天才の私でも、ボディを2つも携行することはできない。
よって、ボディを切り替える手間が発生するわけだ。つまり、私は一度家に帰らなければならないということになる。
「これを持ってな。」
クミがどこにいてもわかるように、ある程度のスピードで逃げられるように。GPS付き携行ドローンをクミに託し、私は夜伽はじめ様々な怪異への再戦に備えるのだった。
数日後。
「わー!!!!!」
「来たかッ!!」
夜中の学校で火のついた薪を投げながら、猛ダッシュしてくる二宮金次郎像。
そんな時には純銀弾マニガトリングだ。
と、思ったが全く効かない。
「タケウチちゃん!全然ピンピンしてるよ!!」
どうやら純銀弾では通らないらしい。中まで詰まった銅像だからか?あとで銀とカリアミムの合金を試してみるか。
しかしこのガトリングは「徳を積む」ことに意味がある。
マニガトリングで積んだ「徳」を「正しさ」エネルギーに変えて盟神太刀の刀身を加熱させる。
銅は熱伝導率が高い。刀身の熱を一気に流し込めば…銅の融点は確か…!
「お熱いの食らってもらうぞ!!『盟神太刀』(くかたち)ッ!」
二宮金次郎像の身体がドロドロの真っ二つとなり動きも止まる。
「これで花崎高校オカルト研究会百八十不思議!ケース105!夜中に走る二宮金次郎像は解決だね!」
クミはニコニコしながらメモに丸をつけている。というか百八十不思議ってなんだよ…。私はこれ以上付き合わされるのかといったん悩んだが、それも悪くないと微笑むのだった。




