第83話 決着
【シーン①:内部空間】
ガレリウスは強引にヴェリスの手を取った。
「さあ、よこせ」
ヴェリスが集中を始める。
間を置かず、ガレリウスの眉が寄る。
「足らん。もっとだ」
藍色の髪が揺れる。
「変換負荷、増大」
ヴェリスの絞るような声。
「何を言っている、全然じゃ」
ガレリウスが声を荒げる。
レオンは知っていた。
受け取る形では、効率の悪い変換を通さなければならない。
――使い方がわかっていない。
「寄越せ」
腕に力を入れて引っ張る。
ヴェリスがよろける。
躯体から、わずかに光が零れる。
「……限界」
声が震える。
跪く。
ガレリウスに手を掴まれたままぶら下がる。
ガレリウスが手を離す。
「こんなものか」
そう言って、レオンを睨みつけた。
「終いにしてやろう」
ガレリウスが、滑るように踏み込んだ。
消える。
現れる。
近い。
次の瞬間。
レオンの背面で、金属のぶつかる音がした。
ガレリウスの一撃を、ガウィンが受け止めている。
押し返す。
消える。
数歩離れたところに、ガレリウスが現れた。
「下がってろ」
ガウィンが、笑っている。
レオンは、距離を取った。
ヘレナはその隙にヴェリスに向かっていた。
ヴェリスの反応が、遅れた。
跪いたまま詠唱を始めるが、ヘレナが速い。
背面に回って口を塞ぐ。
ヴェリスが暴れる。
子供のように手足を振り回す。
ヘレナには通用しない。
手早くヴェリスを捕縛し、口にも縄を噛ませる。
ヴェリスの抵抗が止まった。
ガレリウスはレオンから目を離さない。
消えては現れ、レオンに剣を振るう。
そのたびに、ガウィンが割り込む。
レオンは回避をあきらめた。
アミュレットを握り、シールドを展開する。
ガレリウスは隙間を狙う。
強襲。
かろうじて、弾く。
そこを、ガウィンが突く。
消える。
現れたとき、ガレリウスの表情から笑みが消えていた。
ガレリウスの相貌は変わっていた。
黒い短髪は、乱れた白髪に。
青年の面影は消え、深く皺が刻まれている。
「貴様ら」
肩口から流血。
怒りだけが、顔にあった。
ガレリウスの姿が揺れる。
ガウィンの眼前に斬撃。
受ける。
背面から、斬撃。
躱す。
今度は側面から。
転がって退避する。
追撃。
受ける。
レオンが指示を出せないほどの、猛烈な連続攻撃がガウィンを襲う。
受け止める。
押し返す。
一瞬の間。
ガウィンは鋭く飛び退き、距離を取る。
ガレリウスは剣を下げ、笑みを戻した。
ガウィンは剣を正眼に構え、呼吸を整えた。
目を瞑る。
ガレリウスの口角が上がる。
消える。
――来る。
拍。
一閃。
ガウィンの剣は、迷いなく振り切られていた。
背面からの攻撃。
ガレリウスの剣はガウィンの肉を割いた。
その刹那、ガウィンの黒剣がガレリウスを断っていた。
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