インターミッション 評価
【シーン①:荒野】
荒野に二人の影があった。
ガレリウス。
ユスティア。
赤茶けた大地しかない世界に居ながら、二人の視線は別の世界を映していた。
視線の先にはレオンがいた。
ヴェリスの手を取って詠唱をしている。
視界の奥をガウィンが走っている。
魔法が発動する。
竜巻が巻き起こる。
竜巻に油と火が放たれ、炎の柱が出来上がる。
「ほぅ」
ガレリウスの口から感嘆の息が漏れる。
火焔旋風の攻撃は、『賢者』ガレリウスの目にも大したものと映った。
ユスティアは、強大な竜巻を成立させるための魔力量を計っていた。
発生だけでも困難な規模。それを、維持している。
――魔力量だけなら、神族すら……。
一瞬、思考に影がよぎる。
観察を続ける。
「あの小僧も大したものじゃが、やはりヴェリスあってのものじゃな」
ガレリウスの言に、ユスティアは軽く頷く。
「魔力の出力が突出していますね」
冷たいまなざしが、ヴェリスに向けられる。
「偏っています」
「であろう」
ガレリウスがユスティアを眺める。
完全な造形。
――欲しい。
「ギニアスが精魂込めて作った人形じゃ。
さすが、というところ」
ギニアス。
同じ賢者として対立した。
それだけを覚えている。
「破壊する手もあるが、過程で何が起こるかわからん。
封印がよかろ」
ガレリウスの提言に、ユスティアの表情は変わらない。
「神族であるおぬしなら、あの人形の認証に侵入することもできよう。
権限さえワシにくれれば、あとは処理しよう」
ユスティアは無言で了承する。
「封印には立ち合います」
静かに、ユスティアは言う。
「そんな手間は不要じゃ」
「確実に封印されたことの確認が必要です」
「ワシに任せよ」
ユスティアがガレリウスを一瞥する。
ガレリウスの顔に張り付いた笑みは変わらない。
「管理のための封印です」
「わかっておる」
ユスティアもわかっていた。
ガレリウスは、封印に別の目的を見出していることも。
追求しても意味がないことも。
短い沈黙。
「条件を出します。
封印の証明だけは出しなさい」
ガレリウスは少し間を置いた。
「……よかろ」
――話が噛み合わない。
それでも、利害は一致している。
それで十分だった。
観察の先で、レオンたちが帰還の魔道具を準備し始めた。
ガレリウスの提言に乗ることは、本意ではない。
神族による他種族への介入は、原則不可でもある。
しかし、世界の安定は神族の責務。
超常たる因子の排除は必然。
――世界秩序のためならば。
ユスティアは、介入を確定した。
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