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マギ・エンジニアリング  作者: 竜屋
冒険者編
84/111

インターミッション 評価

【シーン①:荒野】

 荒野に二人の影があった。

 

 ガレリウス。

 ユスティア。

 

 赤茶けた大地しかない世界に居ながら、二人の視線は別の世界を映していた。

 

 視線の先にはレオンがいた。

 ヴェリスの手を取って詠唱をしている。

 視界の奥をガウィンが走っている。

 

 魔法が発動する。

 竜巻が巻き起こる。

 竜巻に油と火が放たれ、炎の柱が出来上がる。

 

「ほぅ」

 ガレリウスの口から感嘆の息が漏れる。

 火焔旋風の攻撃は、『賢者』ガレリウスの目にも大したものと映った。

 

 ユスティアは、強大な竜巻を成立させるための魔力量を計っていた。

 発生だけでも困難な規模。それを、維持している。

 

――魔力量だけなら、神族すら……。

 

 一瞬、思考に影がよぎる。

 

 

 観察を続ける。

 

「あの小僧も大したものじゃが、やはりヴェリスあってのものじゃな」

 ガレリウスの言に、ユスティアは軽く頷く。

「魔力の出力が突出していますね」

 冷たいまなざしが、ヴェリスに向けられる。

 

「偏っています」

「であろう」

 ガレリウスがユスティアを眺める。

 

 完全な造形。

――欲しい。


「ギニアスが精魂込めて作った人形じゃ。

 さすが、というところ」

 ギニアス。

 同じ賢者として対立した。

 それだけを覚えている。

 

「破壊する手もあるが、過程で何が起こるかわからん。

 封印がよかろ」

 ガレリウスの提言に、ユスティアの表情は変わらない。

 

「神族であるおぬしなら、あの人形の認証に侵入することもできよう。

 権限さえワシにくれれば、あとは処理しよう」

 ユスティアは無言で了承する。

 

 

「封印には立ち合います」

 静かに、ユスティアは言う。

「そんな手間は不要じゃ」

「確実に封印されたことの確認が必要です」

「ワシに任せよ」


 ユスティアがガレリウスを一瞥する。

 ガレリウスの顔に張り付いた笑みは変わらない。

 

「管理のための封印です」

「わかっておる」


 ユスティアもわかっていた。

 ガレリウスは、封印に別の目的を見出していることも。

 追求しても意味がないことも。


 短い沈黙。

 

「条件を出します。

 封印の証明だけは出しなさい」

 

 ガレリウスは少し間を置いた。

「……よかろ」


 

――話が噛み合わない。

 

 それでも、利害は一致している。

 それで十分だった。

 

 

 観察の先で、レオンたちが帰還の魔道具を準備し始めた。

 

 ガレリウスの提言に乗ることは、本意ではない。

 神族による他種族への介入は、原則不可でもある。

 しかし、世界の安定は神族の責務。

 超常たる因子の排除は必然。

 

――世界秩序のためならば。

 ユスティアは、介入を確定した。

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