表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギ・エンジニアリング  作者: 竜屋
幼年編
6/18

第6話 実験と暴走

【シーン①:自宅・噴水前】

 今日は誰もいない。

 学校も休み、父は仕事、母はお茶会、乳母マルタも外出中。

 絶好の実験日和だ。

 

 レオンは噴水の前に立ち、そそり立つ水の柱をじっと見つめる。

 

――今日こそは、あの実験を決行できる。

 

 

 実験を思いついたのは、噴水魔法を教わった日のことだ。

 魔法には設置型というタイプがある。

 一定の魔法を永続的に発生させる仕組みだ。

 教材となったのが噴水の魔法。

 もともと噴水に刻まれた詠唱をなぞることで、水が吹きあがる。

 吹きあがる水を眺めているうちに、思いついた。

 

――出力の実験ができるかも。

 

 この魔法は、出力の変化が目に見えてわかりやすい。

 光源魔法で出力を変えても、光はすぐに消えてしまうため、比較はできなかった。

 噴水魔法なら、水柱の高さがそのまま出力の指標になる。

 詠唱を変えて、その出力の変化を観察できるはずだ。

 

 それ以来、頭の中で何度も反復しながら、光源魔法で詠唱の一部を変える実験を重ねてきた。

 今日はその応用だ。

 

 これまでの実験で気づいたことがある。

 詠唱は前半と後半で役割が違う。

 前半が魔法の種類を決め、後半がその動きを制御する。

 色や大きさを変えるときは、後半の部分を変える。

 今回もそこを変えれば、出力が上がるはずだ。

 

 ただ、後半の詠唱がどこまで変えられるのかは、まだわかっていない。

 光源魔法で試したときは、変えすぎると光が乱れた。

 噴水魔法でも同様、限界があるはずだ。

 まずは、上限を計る必要がある。

 うまくいけば、火の魔法や風の魔法の威力調整にも応用できるはずだ。

 

 

 噴水を、もう一度眺める。

 水の柱が規則正しく上がり、落ちる。

 今はまだ、ただの噴水だ。

 

 詠唱を変えたとき、何が起きるのか。

 出力が上がるのか。

 それとも、光源魔法のときのように乱れるのか。

 やってみなければわからない。

 

 だからこそ、面白い。

 

 うまくいけば次につながる。

 失敗しても、たかが噴水。

 どうなるかがわかれば、次に活かせる。

 どちらに転んでも、無駄にはならない。

 

 小さく息を吐いた。

 あとは実行するだけだった。

 

 

【シーン②:暴走・昏倒】

 小さく息を整え、詠唱に入る。

 

「ファウンテ……マクシメル……」

 

――これで出力が上がるはず……

 

 

 瞬間、噴水の水がふっと途切れた。

 

 ドーン

 

 轟音が全身を貫いた。

 身体が宙に浮く感覚。

 そして身体の内側が“空になった”感覚。

 意識が途絶えた。

 

 

 

 闇の中で、赤い文字が浮かぶ。

 

 消えない。

 流れない。

 ただそこにある。

 

 いつもと違う。

 いつもなら一瞬だけちらりと見えて、すぐに流れ去る。

 それが今は、止まったまま動かない。

 

――なぜ、見えている。

 

 答えは出ない。ただ、今は読めるということだけが確かだった。

 

  [Critical: HardwareAbortion]

  Cause: Output exceeds structural durability (Object: VillageFountain)

  [Error: ArgumentOutOfRangeException]

  Detail: Parameter 'Intensity' set to MAX_VALUE. Unhandled exception in physical constraints.

  [Warning: ResourceDepletion]

  Source: ExternalBuffer(100%) + InternalStorage(100%)

  Status: Total Drain.

  [Notice: UnexpectedVarianceDetected]

  Status: Unresolved Process.

 

  Initiating Emergency Shutdown of User Interface...

 

 

 一語ずつ、追っていく。

 意味を持ちそうな言葉が並んでいる。

 わかりそうな単語もある。

 だが断片的で、全体像が掴めない。

 なぜこうなったのか、どこで何が起きたのか、文字を追うほどに輪郭がぼやけていく。

 

 意識をログの奥へ動かす。

 エラーの下に、別の情報が続いていた。

 数値の羅列。

 複数の層が重なったような、多層的な何か。

 普段は絶対に見えないはずのものが、輪郭だけ浮かんでいる。

 

 読もうとする。

 だが、意味が掴めない。

 

――なんで、こうなった。

 

≪適切なパラメータが構成されなかったことが原因です≫

 

 声が返ってくる。

 だが、それ以上は続かない。

 パラメータ?

 後半の詠唱に対応する何か?

 あそこを変えた?

 だが、何が足りなかったのか?

 ログの奥の数値が、その答えに繋がっている気がした。

 

 もう一度、文字を追う。

 層の奥へ、さらに奥へ。

 だが、読もうとするたびに、意識が少しずつ遠のいていく。

 

 深く。

 

 さらに深く。

 

 やがて、何もなくなった。

 

 

  [System: Rebooting...]

 

 

 目を……覚ました。

最後までお読みいただきありがとうございます!

もし「面白い!」「続きが気になる」と思ってくださったら、

★や感想で応援していただけると、執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ