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マギ・エンジニアリング  作者: 竜屋
冒険者編
102/111

革命編 エピローグ 平穏

【シーン①:覚醒】

 音が遠い。

 何かが崩れるような響きだけが、膜越しに届いている。


 冷たい空気。

 頬を撫でる風は弱く、一定ではない。


 光が揺れていた。

 白と黒の境界が、ゆっくり滲んでいる。


 レオンは目を開けかけたまま、意識だけが浮いていた。


「……気づいたか」

 声がする。

 近い。

 ヘレナだった。


 視界の端に影がある。

「無茶しすぎ」

 レオンの衣服を軽く整える。


「魔力枯渇を故意に起こすなんて」


 少し間を置き、続ける。


「外は落ち着いた。

 ユスティアもバットも、急に動きが止まって、そのまま別方向に飛んでいった」


「よくわからないけど」

 ヘレナが続ける。

「なんかやったんでしょ」

 

 レオンは返さなかった。



【シーン②:復旧】

 レオンが身を起こすと、広場の残骸が見えた。

 復旧は始まっている。


 瓦礫が持ち上がる。


 身体強化魔法をかけられた数人が協力する。

 しかし、特有の魔法反応がばらばらだった。

 力が揃わない。

 

 崩れかけた壁が、別方向へ倒れた。


 レオンは眉を顰める。

 

――もともと不安定な魔法だ。

 ただ、ここまでとは。

 

 けが人はなかった。

 工事は再開される。

 ただ、不安定さが残っていた。



「こらー!

 気をつけろ」


 声が響く。

「瓦礫の扱いには、気をつけろといったのだ」

 ザッハの声だった。


 その声に従うように、ヒト族もビーストマンも動いている。

 統一された指揮系統はない。

 それでも、動きは妙に揃っていた。


 現場の中心に、ザッハはいた。

 昨日の顔とは、違う。

 生きている。



【シーン③:離脱】

 夜になって、休んでいたレオンの部屋にジュードが訪れた。


「会談がまとまりそうです」

「まとまりそう?」

「ザッハが、幽閉していた本来の領主らを開放しました。

 正式に謝罪し、今後について前向きに話し合いをしているようです」

「そうか」

 レオンは頷いた。

「我々の任務も終了です」

 ジュードの表情も柔らかい。


「ここから先は政治に任せます」

 レオンは、また頷いた。

「帰ろう」



【シーン④:野営】

 馬車はコルデリアを離れた。


 冬の夕刻。

 空は赤から藍へ移ろうとしている。


 野営。


 火が灯る。

 炎は安定して燃えている。

 だがその輪郭の外側だけが、微かに遅れているように見えた。


 夜の闇が、わずかに“遅れて落ちてくる”。


 ヘレナが空を見上げる。

 指を止めた。


「……あれ」


 レオンも空を見る。

 月がある。


 満月だった。


 しかし、歪んでいる。

 わずかにずれがある。

 円が二つ、重なっている。


「……なんだ、あれ」

 ガウィンが眉をひそめる。



 恐怖ではない。

 言葉にならない何かだけが、ある。

 

 星もまた、重なりがみられる。

 瞬きが揃っていない。


 空そのものが、どこかずれていた。


 風が流れる。

 その流れも、ほんのわずかに遅れていた。


 レオンは口を開きかける。


――何かが、変わっている。



 火が揺れる。

 だがその揺れさえも、わずかに遅れていた。

これにて「革命編」は終了となります。


最後までお読みいただきありがとうございます!

もし「面白い!」「続きが気になる」と思ってくださったら、

★や感想で応援していただけると、執筆の励みになります!


次回から、「最適化編」へ入ります。

とうとう最終編です。

また、最適化編の予告動画も作成しましたので、

よろしければあわせてご覧ください。

https://youtube.com/shorts/oLNB7trfW3U


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◆革命編 設定資料◆

【主要キャラクター】

・レオン・ライナー

  年齢/外見:18歳の男性

  性格・特徴:冷静な分析家。人間関係が苦手。言葉少な。魔力の器を損壊して魔力半減してしまったため、外部供給で強力な魔法を使う。

  役割・関係性:主人公。パーティーリーダーとして分析と的確な指示をする。

・ガウィン

  年齢/外見:レオンより少し年上の男性。青髪の長髪を後ろで束ねている。

  性格・特徴:明るく常に笑っているが、戦闘狂。深く考えない。踏み込みと剣速が速い。

  役割・関係性:パーティーの前線を一人で担う。レオンの戦術眼を高く評価している。

・ヘレナ

  年齢/外見:レオンよりちょっと年上の女性。赤褐色のショートヘア。

  性格・特徴:しっかりした性格だが、おせっかいな面もある。投げナイフが得意。

  役割・関係性:パーティーの斥候。財政担当。レオンの戦術眼を高く評価している。

・ジュード

  年齢/外見:30代前半。黒髪の細身。常に冷静な文官風の青年。

  性格・特徴:理性的で慎重。感情より秩序と現実を優先する。

  役割・関係性:王国側の監督役兼調整役。レオン達の実務的支援を担う。

・ザッハ

  年齢/外見:魔族とヒト族のハーフ。外見上は10代の女性。ツインテール。

  性格・特徴:さっぱりした性格。理屈ではなく直感で判断するタイプ。魔族ハーフとして虐げられた経験から、困っている者を見過ごせない。

  役割・関係性:ヘレナの友人。ザッハファミリーのボス。

・バット

  年齢/外見:純血魔族。外見上は青年男性。細身・長身/黒系の装束

  性格・特徴:何事にも動じない。感情ではなく、効率で判断する。目的のためなら手段を選ばない。

  役割・関係性:ザッハの参謀。

・ユスティア

  年齢/外見:神族。外見上は青年男性。白い一枚布を纏うような衣装。マットな栗色の長髪。

  性格・特徴:冷酷。感情がないように見える。目的意識が非常に高い。

  役割・関係性:ザッハを危険と考えている。


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