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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 崇高な愛 〜

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②.夫婦生活

婚姻後、その身一つで屋敷へ訪れたリアーナを見たレオンハルトは、両親を亡くした彼女があの家でどんな暮らしをしてきたのかを想像し、あまりいい扱いをされなかったのだろうと思った。


するとリアーナは挨拶もそこそこに部屋の中へと案内されると数人のメイドに囲まれ、着替えとヘアメイクを施された。


レオンハルトは地味な色合いのドレス姿でやってきたリアーナに事前に用意していたドレスを着せ、彼女を喜ばせようとした。


しかしリアーナは地味な格好をした自分(私)が嫌で、すぐに着せ替えたんだなと思った。


メイド達によって美しくなって自分の所へ戻って来たリアーナを見たレオンハルトは、「綺麗だ」と言って褒めた。


それを聞いたリアーナはお礼を言い、レオンハルトの目の前の席に着いた。


2人は以前、隣同士に住んでいた幼なじみだと言うことを確認し合い、リアーナは昔の約束通り本当に迎えに来てくれたんだと思った。


そして幼い頃、自分に優しく接してくれたレオンハルトの真っ直ぐな想いに惹かれ好きになったことを思い出した。


だが気軽に会話をしていたあの頃とは違い、どことなく距離感があるとも思っていた。


一方レオンハルトも目の前のリアーナと言葉を交わすことで、彼女の平然とした様子から自分だけが意識しているのではと感じていた。


2人は互いに好きな気持ちを顔には出さず、どこかぎこちなく夫婦生活が始まった――――――。


のはずだったが、元々仲の良かった2人はいつの間にか話に花が咲き、その日の夕食後には気兼ねなくまるで昔に戻ったかのように互いを愛称で呼び合っていた。


「ねぇ、どうしてドレスたくさんあるの?」

「リナのために用意した。お前のこと調べたらいつも地味な格好してるって報告書に書いてあったから、必要だろうと思って揃えた」

「そうだったんだ。ありがとう、何か気遣わせてごめんね」

「今までそばにいてやれなかった俺の気持ちだから気にすんな」

「でも正直助かる。レオがいなかったら私あの家からも出られなかった」

「これからは俺が守ってやるからな」

「ありがと、私もレオを守るよ」


2人は寝室へ移動しソファーに隣同士に座りながらお喋りをし、その際レオンハルトはリアーナを抱き寄せた。


「好きだリナ、あの日怖い思いさせて悪かった」

「あの日?この間のこと?」

「そうだ。買った花も台無しになったし、怖かったろ?」

「確かに怖かったけれど、あれはレオのせいじゃないよ。私もレオが好きだよ」

「本当か?」

「本当だよ。迎えに来てくれて嬉しかった。カッコよくなっててビックリした」

「約束してたからな。リナこそ可愛くなりすぎだろ」


するとレオンハルトはリアーナの顎に手を添え目を見つめながら聞いた。


「キスはしたことあるか?」

「あるよ」

「は?いつ誰としたんだよ」


するとリアーナは怒ってしまったレオンハルトに微笑んだ。


「昔、結婚しようって言ってくれた時にしたじゃない。忘れちゃったの?」

「そういや、そうだったな。それ以外ではあるか?」

「ないわよ」


そう返したリアーナにレオンハルトはキスをし、一度唇を離すともう一度深く口付けそのまま彼女をソファーに押し倒した。


「待ってレオ、先にお風呂入りたい」

「分かった、一緒に入ろう」


リアーナは倒しながら身体に触れてきたレオンハルトの肩を押してお風呂に入りたいと言い、それを聞いたレオンハルトは一緒に入ろうと言って立ち上がると彼女の手を引いてバスルームへと向かった。


「私達さっきまでギクシャクしてなかった?」

「気のせいだろ」


リアーナは湯船に浸かりながら後ろから自身を抱きすくめるレオンハルトに話しかけた。


「展開早すぎてついていけないよ」

「すぐ慣れる」

「もう全部見られちゃったし」

「それはお互い様だろ」


レオンハルトは積極的に彼女と距離を詰め、そしてリアーナは目まぐるしい展開の速さに戸惑っていた。


しばらく経ってからリアーナはベッドの上に座り、隣にいるレオンハルトに疲れて寄りかかっていた。


そんなリアーナの頭を撫でながらレオンハルトは話しかけた。


「領地に帰ったら結婚式やるからな」

「式なんて今更いいわよ」

「俺がやりたいんだ。リナを皆んなに見せびらかす。きっと綺麗だろうな」


そう言いながらレオンハルトは嬉しそうにリアーナの頬にもう片方の手で触れながら目を見つめた。


「愛してる」

「私も愛してる」


リアーナがそう答えるとレオンハルトはキスをした。


* ✦ * ✦ *


数週間後、リアーナとレオンハルトは歌劇場に来ていた。


2人で人気の演劇を鑑賞し、その後レストランで食事を楽しんでから屋敷へと帰った。


実はリアーナ達が演劇を見終わり歌劇場を出ようとしていた時、男女数人と来ていた従妹のメルダが2人の姿を目撃していた。


メルダは遠くから美男美女のお似合いのカップルが腕を組んで歩いて来たことに気付き『あんなふうになりたい』と憧れを抱いた時、それはリアーナと冷血漢と噂の男だと気付いた。


自分に気付かず素通りしていった2人の後をメルダは追いかけ、リアーナがレオンハルトにエスコートされながら馬車に乗る姿を隠れながら凝視していた。


『何でアンタがそんなに大事そうにされてんのよ!』


✦ * ✦ * ✦


その翌日、リアーナの下を従妹のメルダが訪れた。


メルダが自身に会いに来ていると聞いたリアーナは人払いをし、一対一で会うことにした。


『あの子がわざわざ来るなんて、絶対なにか企んでるに違いないわ』


そうリアーナは思いながらメルダのいる部屋へと入った。


メルダは通された部屋の中を歩きながら周囲を見渡していた。


「ずいぶんいい家ね」


部屋に入ってきたリアーナに気付くとメルダはそう言いながら立ち止まり、近付いてきた彼女をじろじろと見つめた。


「その服も高そうね。いい暮らしをしてるじゃない」

「そんなことを言いに来たの?」

「あら強気ね、でも」


するとメルダはリアーナの後ろに回り、髪に着けていたガーベラの髪飾りに触れた。


「何をするの!」


リアーナは何をするのかと思い声をあげると、メルダはすぐに髪飾りを掴んでそれを奪い取った。


「お姉様のその場所は私のよ」


と言って、持っていたガーベラの髪飾りを自身の髪に着けた。


それを見たリアーナは思わず呆れた顔したが、メルダはあの家の長女は自分だと言い張った。


レオンハルトからトワテル家に届いた求婚状には『そちらの家の長女(・・)』と書かれていたことに触れ、リアーナは私のいとこで姉妹じゃない、だから長女は私だと言いがかりをつけ「結婚式もしてないのに図々しいわよ。あの方には私が相応しい」と喚いたのだ。


その時、閉まっていた扉が開きレオンハルトが部屋の中へと入ってきた。


リアーナはメルダには1人で会うとレオンハルトに言っていたのだが、彼はメルダが来ていると執事から聞いた時の強張った顔のリアーナが気になり部屋の外の廊下で待機していた。


すると中から揉めているような声が聞こえ、たまらずレオンハルトは部屋の中へと入ったのだ。


中にはどこか疲れた顔をしたリアーナと、ニコニコした表情の従妹のメルダだと思われる女性が立っていた。


リアーナは近付いてきたレオンハルトに彼女は妹のメルダだと紹介すると、彼はすぐに邪険な感じで睨みながら「その髪飾りはリアーナにやったものだが?」とメルダに声を掛けた。


メルダはレオンハルトに睨まれたことで一瞬怯んだが、自分があの家の長女だと熱弁しこの髪飾りも自分の方が相応しいと語った。

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