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リアーナとレオンハルト  作者: 藤崎七奈
〜 崇高な愛 〜

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①.いつか迎えにくる

王都にある大きな屋敷には王弟の令息であるレオンハルトの家族『セロモニス公爵家』が住んでいた。


そしてその隣にある、こちらも大きな屋敷で『トワテル侯爵家』という家族が住みリアーナという令嬢がいた。


2人は同い年で幼馴染として育ち、家族ぐるみで仲が良かった。


7歳になるとレオンハルトは「大きくなったら結婚しよう」とリアーナに告白し、彼女は快く受け入れた。


「絶対だぞ」

「うん、絶対」


そう2人が約束をしてから数日後、レオンハルトの家が所有する領地で大きな問題が起こり、そこへ戻ることになったと彼はリアーナに伝え「いつか迎えにくる」と言って2人は会えなくなってしまった。


そこから『数年後』、以前レオンハルトの住んでいた大きな屋敷には別の家族が住んでいた。


* ✦ * ✦ *


17歳になったリアーナは、従妹家族と共に大きな屋敷で暮らしていた。


リアーナの両親はそれぞれ病にかかり亡くなったため、家督を継いだ父の弟が家族(妻と娘)を連れリアーナの住む大きな家に転がり込んだのだ。


そして娘(家族)となったリアーナを3人は使用人ように扱っていた。


それでもリアーナを舞踏会へ参加せざるおえない時もあり、その時は控えめ(地味)な色合いのドレス(いわゆるミセス向け)を着させ、髪のアレンジはなし、アクセサリーもなかった。


だが実の娘である『メリダ』には毎回新しいドレスを買い与え、リアーナは数着のドレスを着回しさせた。


それでもリアーナの品の良さは隠せなかった。


自分で好んで選んでいると家族は皆に言うが、結婚適齢期の女性に地味な格好をさせ娘の方を目立たせたいのが明らかだったため、周囲からトワテル侯爵家は浮いた存在だった。


そんなある日、リアーナは街へ買い出しへと向かうと路上の片隅で花を売る幼い兄妹に遭遇。


誰も気に留めなかった2人のそばへリアーナは近付き屈むと「部屋に飾る花を買い忘れたから、2人が売っている花を全て売ってくれると助かるな」と話した。


それを聞いた兄妹は笑顔になり、妹は持っていた赤いリボンで器用に花を束ねリアーナに手渡した。


花はピンク色のガーベラが30本だった。


リアーナは花を受け取るとお金を出そうとポケットを漁った。


すると横から手が伸び、幼い兄妹の兄の方に「これで足りるか?」と言って誰かがお金を手渡した。


「足りるよ。ありがとうお兄さん」


そう言って兄妹は手を繋ぎ、すぐに走って何処かへと行ってしまった。


リアーナは驚いて立ち上がりながら隣にいる人物にお金を払おうとしたが、彼は受け取らなかった。


「金はいらない、それよりお前は変わってないな」

「え?変わってない?」


リアーナは知り合いか誰かなのかと思い、目の前の人物の顔を覗き込んだ。


「あなた、もしかして⋯」


2人は見つめ合いリアーナが次の言葉を発しようとした時だった。


近くの建物が音を立てながら一瞬で崩れ落ちたのだ。


彼はとっさにリアーナを庇いながら一緒に地面に伏せた。


その際リアーナの持っていた花が全て地面に落ちてしまった。


「逃げるぞ!そんなのいいから来い!」


男は倒壊が収まった今この瞬間に、その場を離れようとした。なぜなら隣の建物も崩れそうだったからだ。


「でも⋯」


だがリアーナは落としてしまった花を拾おうとしたが、近くにいた人々に踏まれ花は既にバラバラになっていた。


それを見たリアーナは拾うのを諦め、男性に手を繋がれながら走り出した。


リアーナは自身の屋敷近くまで来ると先ほどまで隣にいた男性がいないことに気付いた。


何処へ姿を消してしまったんだろうと思い、リアーナは辺りを見渡したが彼の姿はもうなかった。


✦ * ✦ * ✦


数日後、リアーナのところに『セロモニス公爵家』の令息との縁談話が舞い込んだ。


戦争の英雄である王弟は皮肉にもその戦いぶりから残虐非道に加え冷酷無慈悲だと言われ、そしてその息子も父親譲りの冷血漢だと噂されていた。


「酷い言われようね⋯」

「そのような方がお嬢様の結婚相手だなんて、私は許せません」


リアーナには味方をしてくれるのメイドがいた。


そのメイドはリアーナの縁談話に不満を抱いていた。


「心配ないわ、きっと大丈夫よ」


だがリアーナは冷血漢だと噂の男性が結婚相手だと知っても、何故かそう言いながら穏やかに微笑んだ。


それを見たメイドはリアーナが強がって言ってるようには思えなかった。


幼い頃、リアーナには結婚を約束した幼馴染がいたが彼は突然姿を消してしまった。


だが求婚状に書かれていた姓と、そこに共に添えられていた髪飾りを見た時リアーナは確信していた。きっと相手はあの時の彼なのだと。



________________



10年ぶりに王都へとやってきたレオンハルトは、かつて自身が住んでいた屋敷へと向かった。


だが既に屋敷には見知らぬ家族が住んでいて、レオンハルトはただ遠くから中の様子を伺うことしか出来なかった。


懐かしいなと思いながら隣の屋敷の方を見ると、見覚えのある顔の女性がまるで街娘のような格好で出てくる所を発見し、彼は密かに彼女の後をつけることにした。


彼女は街へと着くとみすぼらしい格好で花を売っている幼い兄妹のそばへと近付き、彼らが売る花を買おうとしていた。


それを見たレオンハルトは彼女がお金を出す前に近付き、兄の方へ自身の金を手渡した。


彼女は驚いて彼にお金を渡そうとしたがレオンハルトは受け取らず「お前は変わってないな」と声を掛けた。


目を合わせてきた彼女の顔を見ながらレオンハルトは『俺はやっぱりお前が好きだ』と心の中で思った。


昔と同じ透き通った瞳で誰にでも優しく接するリアーナを目の当たりにし、レオンハルトはそんな彼女を変わらず好きだと思った。


だがその後、すぐ近くの建物が倒壊しリアーナは持っていた花束を思わず手から落としその花を拾おうとしたが、花は見知らぬ人に踏まれバラバラになってしまった。


レオンハルトは倒壊した建物の隣の建物も崩れそうになっていることに気付くと、リアーナの手を取りその場を急いで離れた。


彼女の住む屋敷の近くへと来るとレオンハルトは姿を隠し彼女が家の中へ入るのを見守ると、少し離れた距離に新しく建てた自身の屋敷へと戻った。


その後、先ほど悲しげに落ちた花を見ていたリアーナの姿を思い出したレオンハルトは、自分のせいで怖い思いをさせ嫌われてしまったのではと悩み、彼女へプレゼントを贈ることにした。


それはピンクのガーベラの花が3つ並び、真ん中にはダイヤモンドが入った髪飾りだった。


その髪飾りと共にリアーナへの求婚状を彼女の家へ届けるよう使用人に手渡した。


* ✦ * ✦ *


後日、正式に2人の婚姻が認められるとリアーナはレオンハルトの屋敷へと向かった。


その際、リアーナの家族は冷血漢と噂の結婚相手と残虐非道だと噂の彼の父、そんな所に嫁ぐ彼女を笑い者にしていた。


さらに結婚式も行わない書類だけの簡単な婚姻だったことから、セロモニス公爵家は金銭的に余裕がなく髪飾り一つで済ませるケチな家なのだろうと思った。

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