第14話 全属性
翌朝。
「…………」
目が覚める。
天井。
「…………」
右手を見る。
「…………」
起きる。
水差しを見る。
「…………」
もう一回だけ。
「《アクア》」
ぽた。
「…………」
出た。
「夢じゃない」
昨日。
火属性に続いて。
水属性まで使えた。
「…………」
二属性。
図書館で読んだ。
一属性が一般的。
二属性なら優秀。
三属性ともなれば。
極めて珍しい。
「…………」
俺が優秀?」
自分で言って。
「ないな」
即否定。
勉強。
運動。
特別できるわけじゃなかった。
学校でも。
普通。
何かの大会で活躍したこともない。
表彰された記憶もない。
「…………」
なのに。
この世界に来て。
いきなり。
二属性。
「…………」
分からん。
だから。
「調べるか」
昨日と同じ。
知らないなら。
調べる。
それしかない。
◇
「また来た……」
王立図書館。
昨日より。
少しだけ。
入りやすい。
昨日通った道を進む。
「…………」
こっち。
曲がる。
「…………」
違う。
戻る。
「…………」
こっち。
曲がる。
「…………」
昨日より迷ってる。
何でだよ。
◇
ようやく。
魔法関係の棚。
「…………」
属性適性。
昨日の本。
探す。
「あった」
席へ。
開く。
「…………」
やっぱり」
間違えてない。
一属性。
一般的。
二属性。
優秀。
三属性。
極めて稀。
「…………」
じゃあ。
俺は。
二属性。
「…………」
優秀。
「…………」
やっぱ違和感あるな」
まあ。
そういう人間もいる。
なら。
別に。
おかしくはない。
「…………」
問題は。
ここから。
ページをめくる。
昨日。
頭に浮かんだこと。
「火」
《イグニス》。
「水」
《アクア》。
七属性。
残り。
五つ。
「…………」
試す?
いや。
その前に。
「調べる」
昨日。
水属性を使えたのは。
本を読んで。
魔力の変換。
術式。
何度も。
試したから。
なら。
他も。
まず。
知る。
◇
木属性。
「《グロウ》」
植物の成長を促す。
「…………」
へえ。
火。
水。
とは。
かなり違う。
「植物……」
そもそも。
宿で試せない。
次。
風。
「《ブリーズ》」
小さな風を起こす。
「これなら」
試せそう。
土。
「《ストーン》」
土や石へ。
魔力を働かせる。
「…………」
これも。
場所選ぶな。
光。
「《ライト》」
明かり。
「便利」
最後。
闇。
「《シェイド》」
小さな影を作る。
視界を遮ったり。
明かりを弱めたり。
「…………」
闇って聞くと。
もっと。
こう。
怖い感じかと思ってた。
基礎だと。
普通に便利そう。
「…………」
七つ。
火。
水。
木。
風。
土。
光。
闇。
読む。
戻る。
もう一冊。
同じ属性。
違う説明。
「…………」
やっぱり」
共通してる。
魔力。
集める。
制御する。
属性へ変換。
術式として成立させる。
「…………」
違うのは。
変換。
そこ。
火を。
水にはできない。
火属性の魔力。
水属性の魔力。
「…………」
いや。
違う。
元は。
同じ魔力。
それを。
火へ。
水へ。
「…………」
変えてる。
なら。
「適性って何だ?」
その。
変えやすさ?
変えられるかどうか?
「…………」
分からん。
また本。
探す。
◇
「…………」
分からん。
一時間くらい。
読んだ。
「…………」
分からん」
専門用語。
多すぎ。
別の本。
「…………」
こっちはもっと分からん」
閉じる。
「高校生なめんな」
誰に言ってるんだ。
俺。
「…………」
でも。
一つ。
分かった。
属性によって。
魔力を変換する感覚は違う。
そして。
適性のない属性は。
普通。
成立しない。
「…………」
つまり。
試せば分かる。
結局。
そこに戻った。
◇
昼。
図書館を出る。
「…………」
腹減った。
先に飯。
近くの店。
安いやつ。
「これください」
冒険者カード。
支払い。
慣れてきた。
「…………」
食う。
うまい。
でも。
頭。
魔法。
「…………」
風。
木。
土。
光。
闇。
「…………」
さすがに。
全部はない。
二属性。
もう。
十分珍しい。
「…………」
でも。
確認だけ。
確認。
できないことを。
確認する。
「…………」
何か。
言い訳してるみたいだな。
◇
王都。
外。
人通りから。
少し離れた場所。
「…………」
よし」
周りを見る。
人。
いない。
「…………」
まず。
風。
昨日。
読んだ。
今日も。
読んだ。
「《ブリーズ》」
何も。
「…………」
ですよね。
もう一回。
魔力。
右手。
集める。
「…………」
火とは違う。
水とも違う。
風。
流れる。
抜ける。
「…………」
いや。
イメージだけじゃない。
術式。
魔力の変換。
「…………」
こう?」
「《ブリーズ》」
何も。
「…………」
違う。
もう一回。
「《ブリーズ》」
何も。
「…………」
やっぱり。
適性。
ない。
「…………」
まあ。
そうだよな。
俺。
火と水。
二つ。
それだけで。
優秀。
「…………」
帰ろ。
一歩。
歩く。
「…………」
止まる。
「あと一回」
また。
これ。
「…………」
魔力。
集める。
風。
昨日。
水を成功させた時。
何をした。
「…………」
最初から。
正解を当てたわけじゃない。
少しずつ。
変えた。
「…………」
なら。
今も。
同じ。
魔力を。
少し。
違う流れ。
「…………」
これ。
「《ブリーズ》」
ふわっ。
「…………」
前髪。
揺れる。
「…………」
草。
揺れる。
「…………」
止まる。
「…………」
「え?」
今。
「…………」
風?
周り。
見る。
無風。
「…………」
もう一回。
右手。
「《ブリーズ》」
ふわっ。
「…………」
出た。
「…………」
三つ。
火。
水。
風。
「…………」
三属性。
極めて。
珍しい。
「…………」
俺が?
心臓。
速くなる。
「…………」
いや。
待て。
ここまで。
偶然じゃない。
「…………」
じゃあ。
まさか。
残り。
◇
その日は。
依頼を。
受けなかった。
「…………」
いいのか。
これ。
金。
必要なのに。
「今日だけ」
誰に言ってるんだ。
また。
図書館。
戻る。
木。
土。
光。
闇。
読む。
何度も。
読む。
覚える。
分からないところ。
別の本。
調べる。
「…………」
光。
これは。
比較的。
分かりやすい。
魔力を。
光へ。
「…………」
闇。
逆?
いや。
そういう単純な話じゃない。
「…………」
木。
植物。
土。
地面。
「…………」
試す。
全部。
試す。
自分で。
確かめる。
◇
夕方。
王都の外。
さっきより。
さらに。
人の少ない場所。
「…………」
小さな草。
見つける。
しゃがむ。
「木」
《グロウ》。
「…………」
魔力。
変換。
「《グロウ》」
何も。
「…………」
もう一回。
「《グロウ》」
何も。
「…………」
さらに。
「《グロウ》」
何も。
「…………」
やっぱ。
無理?
でも。
風。
できた。
「…………」
変える。
条件。
魔力の量。
流し方。
対象。
「…………」
もう一回。
「《グロウ》」
草。
「…………」
動いた?
「…………」
風?
違う。
今。
俺。
風。
出してない。
「…………」
もう一回。
「《グロウ》」
ほんの。
少し。
葉が。
伸びる。
「…………」
「四つ」
声。
小さくなる。
「…………」
四属性。
そんなの。
本には。
「…………」
いや。
まだ。
残ってる。
◇
土。
「《ストーン》」
失敗。
「《ストーン》」
失敗。
「《ストーン》」
失敗。
「…………」
少し休む。
疲れた。
「…………」
魔力。
使いすぎ?
これも。
まだ。
よく分かってない。
「…………」
無茶するな。
受付の人。
言ってた。
「…………」
今日は。
やめる?
「…………」
いや。
気になる。
「一回」
もう。
信用できない言葉。
魔力。
地面。
土。
石。
「…………」
火。
外へ出す。
水。
生み出す。
風。
流す。
木。
対象へ。
「…………」
土は。
地面。
「《ストーン》」
こつ。
「…………」
目の前。
小石。
動いた。
「…………」
もう一回。
「《ストーン》」
こつ。
「…………」
「五つ」
何だ。
これ。
◇
宿へ。
戻る。
疲れた。
「…………」
ベッド。
倒れる。
「…………」
五属性。
火。
水。
風。
木。
土。
「…………」
おかしい。
さすがに。
分かる。
三属性でも。
極めて珍しい。
なら。
五属性って。
「…………」
何?
知らない。
本に。
そんな例。
書いてなかった。
「…………」
あと。
二つ。
光。
闇。
「…………」
今日はやめろ。
頭の中。
まともな俺。
言ってる。
「…………」
でも。
もう一人の俺。
言ってる。
ここまで来たら。
確認しろ。
「…………」
五属性。
ここで。
止まるかもしれない。
いや。
普通。
止まってるどころじゃない。
「…………」
起き上がる。
「…………」
光。
《ライト》。
魔力。
もう。
少ししか。
使いたくない。
「一回だけ」
右手。
「《ライト》」
何も。
「…………」
ほら。
「…………」
やっぱり。
全部じゃない。
「…………」
少し。
安心した。
何で。
安心したんだろ。
「…………」
でも。
失敗。
一回。
今まで。
何回。
失敗した。
「…………」
火。
水。
風。
木。
土。
全部。
最初から。
できたわけじゃない。
「…………」
もう一回。
魔力。
光。
「《ライト》」
何も。
「…………」
違う。
もう一回。
「《ライト》」
何も。
「…………」
変える。
「…………」
条件。
「…………」
もう少し。
「《ライト》」
ぽう。
「…………」
手のひら。
小さな。
光。
「…………」
部屋。
ほんの少し。
明るくなる。
「…………」
消える。
「六」
口。
乾く。
「…………」
あと。
一つ。
◇
闇。
「…………」
やるの?
俺。
「…………」
やる。
ここまで。
来たら。
やらない方が。
無理。
「…………」
《シェイド》。
小さな影。
明かりを弱める。
「…………」
窓。
外。
もう。
暗い。
「…………」
灯り。
机。
その周り。
「…………」
魔力。
集める。
「《シェイド》」
何も。
「…………」
もう一回。
「《シェイド》」
何も。
「…………」
疲れ。
集中。
切れてる。
「…………」
今日は。
無理。
たぶん。
「…………」
寝るか。
でも。
右手。
見る。
「…………」
あと。
一つ。
「…………」
もう。
一回。
目を閉じる。
呼吸。
魔力。
「…………」
光とは。
違う。
消す。
遮る。
影。
「…………」
違う。
イメージじゃない。
魔力。
変換。
「…………」
これ。
「《シェイド》」
ふっ。
「…………」
部屋の灯り。
少しだけ。
弱くなる。
「…………」
戻る。
「…………」
俺。
動かない。
「…………」
右手。
見る。
「…………」
もう一度。
「《シェイド》」
ふっ。
光。
弱まる。
「…………」
戻る。
「…………」
七。
「…………」
数える。
火。
水。
木。
風。
土。
光。
闇。
「…………」
全部。
「…………」
いや。
待て。
そんな。
「…………」
図書館。
本。
一属性。
普通。
二属性。
優秀。
三属性。
極めて稀。
「…………」
七。
「…………」
何だよ。
それ。
怖い。
少し。
そう思った。
嬉しい。
より。
先に。
「…………」
だって。
知らない。
こんなの。
本に。
なかった。
「…………」
俺。
何か。
間違えた?
適性。
意味。
違う?
「…………」
でも。
火。
出た。
水。
出た。
風。
木。
土。
光。
闇。
「…………」
全部。
俺が。
使った。
「…………」
しばらく。
何も。
言えない。
頭の中。
整理。
できない。
「…………」
ただ。
一つ。
分かる。
「…………」
これ。
たぶん。
人に。
簡単に言わない方がいい。
根拠。
ない。
でも。
何となく。
そう思う。
「…………」
まず。
調べる。
もっと。
ちゃんと。
この世界の。
魔法を。
適性を。
「…………」
それから。
考える。
「…………」
右手。
握る。
「俺……」
小さく。
呟く。
「……全属性、使える?」
答える人は。
誰もいなかった。




