82
三日後。
本来ならば、あの後すぐにでも事情を説明するべきだったのだろうが、夜遅くで話し込めるような場所はなく、翌日にじっくり話を聞く、ということになって。まあ、日付が変わっていたから、正確には朝になったら、なんだけど……。
しかし、朝になったらなったで、宿側に、窓を壊したことを咎められ、修理することとなり、しっかり話し合いができるのは、三日後になってしまったのだ。
当然、マグラルド様が回復したことは報告したけど。
わたしの髪はと言えば、あの後、ひと眠りしたら、半分以上、元の色に戻っていた。染粉で染めた色ではなく、わたし本来の、ホワイトベージュの色。黒く染まった部分と、すごくハッキリと分かれてしまって、不格好だったけれど、染粉でどうにかできない黒なのだから、仕方がない。二色の毛色を持つ猫みたいになってしまった。
もっとも、それも、翌日の朝には黒髪の部分はきれいさっぱり消えうせたのだけれど。どうやら、わたしに移動した『障り』は、丸一日で全て抜けていくらしい。『障り』特有の不快感は、半日くらいでほとんど収まっていた。マグラルド様との口づけの感覚が忘れられず、そのことばかり考えて、正直、『障り』の不快感のことなど気にならなくなっていた、というのが大きいけれど。
閑話休題。
リリリュビさんたちと、宿の一室に集まる。リリリュビさんが借りている部屋に。まだ陽が高いので、宿に他の客はいない。
そんな中で、わたしは、一通り、話した。というか、洗いざらい、全部。
人工地の人間が神与地を奪おうと計画していた、と言う一点はキッチリ隠し通したが。
わたしがマグラルド様の元婚約者だったり、婚約破棄された後に想いを引きずって、男装冒険者をやっていたこと。なんなら、わたしがジュダネラル王国で王城聖女をしていて、マグラルド様の探していたその聖女がわたしであったことも明かした。
ストインさんの件に関しては、そのときのごたごたの残りだ、ということにしておいた。王城の中のことは、平民には分かりにくいし、上手くごまかせたと思う。
ついでに、マグラルド様が王子であったことも、そこはかとなく、ばらした。明言はしなかったけど、察しの悪い三人ではないから、分かったはず。
わたしたちの話を聞いた三人は、まさに、三者三様の反応だった。
リリリュビさんはマグラルド様が鍛え上げられた王子だということに気が付き、パーティーに誘った自分すごい、と言う反面、わたしの男装に気が付かなかったことにショックを受け。
マルコラさんは、わたしとマグラルド様の恋愛話に目を輝かせ。
ザフィールは、この世の終わりかと思うくらいに、落ち込んでいた。




