表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貴方が探している聖女はボク(わたし)ですけど!  作者: ゴルゴンゾーラ三国


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/90

80

「苦しく、ないのか……?」


 体調を聞いているのはわたしの方なのだが、マグラルド様がこちらに尋ねてくる。いや、むしろ、先ほどまで『障り』に苦しめられていたからこそ、気になってしまうのだろう。


「快調、と言えば嘘になりますが……『障り』に触れるときはいつもこのような感じですから。そのうち治ります」


 少なくとも、マグラルド様のようにはならない。はず。多分。


「――……マグラルド様」


 わたしは彼の手を取る。ざらりと、手の皮が厚い、努力してきた人間の手。国民のために、生きてきた人間の、手。


「わたしに自由に生き、マグラルド様のために命を捨てないでほしいと言っておきながら、貴方様がそうであるのは、説得力がありません」


 この場合、わたしのために命を捧げようとした、とはならないだろう。それでも、生きることを諦め、最期をわたしに託したことは、間違いない。


「わたしは、貴方様をお慕いしております。この命を捧げても、構わないくらいに」


 でも――。


「……ですが、それを許してくださらないのなら、わたしと共に生きていくださいませんか」


 マグラルド様のためなら、無駄死にだって喜べる。それでも、マグラルド様と一緒にいられるのであれば、それ以上のことはない。

 一世一代の、求婚。

 マグラルド様に触れている手が、情けないくらいに震える。手汗がにじんで、彼に伝わっていないだろうか。


「あ――、あの、でも、その、マグラルド様がこれから生きていくには、呪いを解除しないと考えると、『障々私動プレディシィ』という魔法を使える人間がそばにいることが不可欠と言いますか、ジュダネラルにはおそらくわたしか、辺境の土地に一人、二人使い手がいる可能性があるだけで、でも他国へと足を運べば他にもいるかも、いや、絶対こんな役を他の女に譲るのは絶対嫌と言いますか、うううう、違う、違わないんです、聞かなかったことにしてほし――」


「ペルアディア」


「はい、なんでしょう」


 マグラルド様が何も言わず、妙な間ができてしまったのを埋めるように、言葉をまくしたてたわたしを、マグラルド様はわたしの名を呼ぶだけで、制した。

 わたしはすぐに、言葉を止める。


「僕は、死なない、のか……?」


「ど、どうでしょう。お体の方は……?」


 わたしは医者じゃない。だから、完全な断言はできないが、とりあえず、『障り』は少なくともなくなったように見える。その全てが取り去らわれたとは限らないが、少なくとも、マグラルド様が、わたしたちの冒険者パーティーに加入することになった頃ぐらいまでは、体調が戻っているとは思うのだが。


 わたしの曖昧な返答に、マグラルド様はしばらく考え込んでいるようなそぶりを見せたが、ゆっくりと、片手で顔を隠し始めた。

 隠しきれず、ちらほらと見える顔や耳は、赤く染まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ