表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貴方が探している聖女はボク(わたし)ですけど!  作者: ゴルゴンゾーラ三国


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/90

72

 部屋に入ってきたザフィールは、この状況を見ても何一つ驚いていない。最初から、ザフィールの方に意識を逸らす作戦だったのだろう。全く気が付かなかった。


「なんかもめてるな、とは思ったけど……。というか、マグラルドくん、髪どうしたの? 大丈夫?」


 わたしに寄りかかり、ぐったりとしているマグラルド様を見て、リリリュビさんが少し焦ったような表情を見せる。襲われているのは分かっていても、マグラルド様がここまで弱っているとは思わなかったのだろう。


「――……何も」


 マグラルド様は、小さく、そう言った。

 わたしに聞かせたくなかったことは、同じように、リリリュビさんたちの耳にも入れたくないのだろう。


「とりあえず、ディアン、守護魔法かけたらどうだ?」


 ザフィールが言うが……わたしは簡単にうなずくことができない。

 今、マグラルド様がこんな風になっているのは、怪我や病気ではなく、『障り』の影響。聖女魔法が使えなくなったわけじゃないから、『障り』を浄化しろ、と言われればできるけれど、人の身に蓄積された『障り』を浄化したことは一度もない。

 普通に土地を浄化するのと同じ要領でやってしまって、人体に影響はないのだろうか。


「マグラルド……」


 わたしはどうしたらいいのか、と問う意味を込めて、彼の名前を呼ぶ。リリリュビ様たちの前だから、一応呼び捨ての形を取ったけれど、いつ、ストインさんが全てを話してしまうとも限らない。


「……何も、しなくていい」


 言いながら、マグラルド様は、ふらふらと立ち上がる。息が荒く、髪は黒いまま。何一つ、状況は良くなっていなくて、むしろ、悪化する一方なのは、目に見えて分かる。


「――……、その男を、こちらに」


 マグラルド様にそう言われたリリリュビさんだったが、困惑したまま、立ち上がらない。それはそうだ。引き渡せ、と言ったところで、こんなにもマグラルド様が弱っていれば、すぐに取り逃がすことは明白だ。


「おれ一人処理したところで、何も変わりませんよ」


 リリリュビさんの尻に、物理的に敷かれながらも、ストインさんは余裕そうな表情を見せている。タイミング次第で、まだひっくり返せると思っているのだろうか。


「――いいや、もう、こちら側は全て明るみに出て終わっている」


 リリリュビさんたちに事情を悟られないよう、言葉を濁しているマグラルド様のものでも、全て知っているストインさんには理解できるのだろう。

 「そんな嘘を」と最初は笑っていた。しかし、マグラルド様がそれ以上何も言わず、そして、会話をするのがのが辛くて黙り込んでるわけではない、と理解したのだろう。

 ストインさんの余裕そうな表情はどんどんと崩れていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ