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「ペルアディア? 俺は知らねえなぁ」
「――……俺は、ということは、情報を持つ人間を知っている、ということか?」
マグラルド様の言葉に、リーダーの男が一瞬、目線を逸らしたのが分かる。明らかに、口を滑らせた、と言わんばかりの目の泳ぎ方。肯定こそしなかったが、知っている、と言わんばかりの間が流れた。
しかし、すぐに調子を取り戻したようで、「やるぞお前ら!」と声を張り上げた。
リーダーの男の声に反応するように、男たちが剣を抜く。
それに応じるように、マグラルド様もまた、剣を構えた。
マグラルド様は一人。
相手は六人。
この人数相手では、流石のマグラルド様でも難しいのでは、と思ったのもつかの間。
マグラルド様は、囲まれても慌てず、様々な方向から繰り出される攻撃に、冷静に対処している。――いや、むしろ、マグラルド様が男たちの剣を受けるよりも、男たちへ切りかかる方のが多いかもしれない。
「――ハッ!」
マグラルド様が鋭く息を吐き、一人の男の剣を落とす。その背後から迫ってきていた別の男の攻撃をよける。マグラルド様に攻撃をよけられた男は、勢い余って、先ほど剣を落とした男に自ら突っ込んでいった。
圧倒的。あまりにも、実力差がありすぎる。
先ほどまで余裕そうに笑っていたリーダー格の男に、焦りの表情が見えていた。
冒険者パーティーのランクで言えば、ついこの間まで、わたしたちの方が格下だった。それに加え、この男たちは、素行が問題で上に行けなかっただけで、戦闘能力だけ考えれば、青石級よりも、もっと上に行けるだけの能力がある。
だからこそ、マグラルド様相手でも行けると思ったのだろう。マグラルド様さえ倒せれば、後は接近戦が苦手なわたしたちしか残らない。
でも――マグラルド様は、本来、対人戦を想定して体を鍛えてきたお方。
むしろ、魔物相手よりも、こちらの方が有利。
あっという間に、リーダーの男以外はみな、倒されてしまった。
「――、くそっ!」
腐っても冒険者パーティーのリーダー。仲間を見捨てることなく、果敢にもマグラルド様に襲い掛かる。
しかし、五人を相手にしても、瞬殺、と称してもいいほどに、倒し切ってしまったマグラルド様相手では、力不足。
リーダーの男が間合いをつめる前に、マグラルド様が男の首の前へ、的確に剣先を突きつけた。
切りかかろうとして剣を高く上げたポーズのまま、男が固まる。
「さあ、情報を吐いてもらおうか」
圧倒的なマグラルド様に、リーダーの男は、ぎり、と強く歯を食いしばることしかできないようだった。




