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休憩を済ませたところで、わたしたちは聞き込みを続行する。当然のように情報は出ないわけだけど……気が付けば、街の中央にある広場へと出ていた。
噴水のあるそこは見晴らしがよく、人通りも多い。それでも、周りより身長が頭一つ、二つ大きいマグラルド様は、少し浮いていた。というか、避けられていた。マグラルド様の周囲だけ、なんとなく、人がいない。
その事実に目を逸らしながら、わたしは「もうちょっとでザフィールたちと合流するかもね」とマグラルド様に話しかける。
この公園と先程の宿の距離を考えると、わたしたちがもう少し行けば、ちょうど反対側に回っていったザフィールたちと同じくらい歩いたことになるだろう。
少し陽が傾いてきたし、このまま合流して、一度宿に戻ることになる可能性が高い。
そのことが分かっているのか、いつも真顔でいることが多いマグラルド様の表情は、どことなく険しい。情報が何一つ得られていないからだろう。
罪悪感を無視しながら、わたしは噴水近くにいた女性に声をかける。
「あの、すみません。少しいいですか?」
「よくないよ! あんたもそろそろ離れないと――」
「え? ――うわっ!」
まさか強い語調で断られると思っていなかったわたしに、思い切り水がかかる。少し痛いくらいの勢いで。
ぽたぽたと髪から雫が垂れる。頭から水をかぶってしまったようだ。
「あーあー、あんたよそ者かい? この噴水、時計代わりになってて決まった時間に水の出方が変わるんだけど、今壊れちまってるんだよ。水の勢いが良すぎて、外に飛び出すんだ」
そういう女性は全く濡れていない。しっかり避けていたようだ。
「さっさと宿なり家なりに帰って、乾かすんだね」
そう言って、女性は去って行ってしまった。タイミングがあまりにも悪すぎ――ハッ!
わたしは慌てて自分の体を見る。頭から思い切り被ったから、服もびしょ濡れ。しかも、話を聞くだけだから、と、外套や防具は宿に置いてきてしまったから、それなりに薄い生地の服を着ている。
そんな服がぐっしょり濡れれば、服が透けるのも当然で。
「~~~~ッ!」
まずい! 下着は男物を使っているから大丈夫だとしても、胸をつぶすためのサラシが透けていたら、非常にまずい! えっ、胸を隠す? でもその行動ってモロに女の反応じゃない? でも、でも、体を隠さないと男装がバレるし!
内心で焦り、どうしたらいいのか分からなくなっていると、背後から、バッと重たいものがかけられた。わたしの視界に、服の袖がちらつく。
これは――マグラルド様の上着?




