願いの代償
……僕は朝起きると景色が変わっていた
ベッドではなく硬いマットの上で寝させられていたようだ
(……牢屋になったのかな?)
腕や足を動かしちゃんと動いた
「繋がれてない…」
少しの歓喜と同時によりひどくなってしまったことに気づく
そう、ベッドの上だから足が届かなくて蹴れなかったが今はもう蹴れる状態だということに
さらに、牢屋ということは守りが厳重だど言うことにも気づいた
そう絶望に落ちている時、ガシャンと音がする
僕は慌てて音のした方を向き、もしかしたら桃花なのでは──
そんな期待を寄せたがすぐに崩れた
その代わりに気まずい空気が展開される
しばしば見つめどれほどのときが経っただろうか
僕は勇気を出し思い切って聞いた
「ぁ、あの、だ、誰ですか…?」
どのようなことをする人かは分かっているが名前を知りたかった
「魔女に名前を教えるわけがないでしょう?」
「そ、そうで──」言葉を遮られたことにも魔女の扱いにも一気に悲しくなった
「人間以下の下等生物にそんな価値があるわけないじゃない」
そんな事を言われると殴られ、蹴られた
「痛い!やめてぇ!やだぁ!」僕は怖くて怖くて…泣き出しさらに暴行を受ける
(僕が何をしたの!)そう叫ぼうとしたが喉から声が出ない
「いい声で喚くじゃない…
でも今は鬱陶しからやめろ」そう言い耳のすぐ横をナイフが通り過ぎる
「私たちが聞きたいことはひとつなのほかの魔女の情報を全部出しなさい?
分かった?」
「ひっ…」(もう何の為に耐えてるのか分からないや)
「わかりましたか?!」
「わかりまじだ」泣きながら答えもう無理!逃げたい!と思った
「じゃあ魔女の情報全〜部出してスッキリして安心して寝よう?」
「は、はぃ」そう頷くが
「はいじゃないの早く言お!ね?」
「で、でも僕何も知らないし──」
次の瞬間僕は顔から痛みを感じていた
「早く答えないともう一回顔を壁にぶつけちゃうぞ〜☆」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、何も知りません、本当に知らないんです、死にたくないやだぁ!」そう叫びここから消えたいそんな事を考えていた
「早く!言え!お前らのせいで!どれだけの人が犠牲になったと思ったんだ!」
「知らない!僕はやってない」そう叫んでも泣き叫んでも僕の声は届かず聞かれず、次第に殺意が湧き、『殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す』と殺意で満たされていると
「なんでお前そんな目をしてんのよ」
──うるさい。
「どの立場でそんな目ができるんだ!」
──黙れ黙れ黙れ黙れ!
僕は、一人になりたいんだ。誰も僕に触るな。
頭の中で、二つの漢字が激しく共鳴する。
『隔』──空間を切り離せ。
『匿』──僕の存在を、世界のどこからも見えなくしろ。
「なっ……!?」
次の瞬間、目の前の女の驚愕の顔が、急速に遠ざかる。
光が消え、音が消え、暴力が消えた。
僕は、誰も触れることのできない「絶対的な暗闇」の中にいた。
「なっ…!」驚く声が聞こえたがもう関係ない
僕は一人になりたいんだ
誰にも見つからず、誰にも触れられない暗闇の中で、僕は外の世界だけを眺め続けることになった




