第105章
戦争が終わって三日後、欠片たちはそれぞれ帰途につき始めた。
聖山
オネイリはケーリスを連れて銀羊族の聖地に戻った。
雪はあのままの雪だった。山はあのままの山だった。しかし羊の群れはいなかった。
彼女は全ての洞窟、全ての尾根を探し回った。見つけたのは、雪に半分埋もれた古い跡だけ――かつて羊たちが暮らしていた痕跡。しかし今は誰もいない。
彼女は山腹に長く立ち、風が彼女の銀白色の産毛を揺らした。
「もういないんだね」と彼女は小声で言った。
ケーリスが尾びれでそっと彼女の足首を叩いた。
思念が届く:泣かないで。
「泣いてないよ」オネイリは鼻をすすった。「ただ……ちょっと寒いだけ」
彼女は族人が移住したのか、それとも消えてしまったのか分からなかった。しかし分かっていた――自分が最後の一匹かもしれないと。
ケーリスは静かにオネイリの足元に丸まり、胸の星の渦が一瞬一瞬と輝く。決して消えない小さな灯りのように。
「行こう」オネイリが言う。「家に帰ろう」
ここが……家じゃないのか? ケーリスの思念が届く。
オネイリはしばし沈黙し、それから腰をかがめてケーリスを抱き上げた。
「うん。ここが家だ」
テミステラの街
カリオペはヘマリスの手を引いて、テミステラの街に戻った。
双籠塔はまだあった。紅色の雨はもう止み、代わりに永遠の虹が街全体を覆っていた。
ソフィーヤ――あの小さな竜の裔――はもう城主の冠をかぶっていた。彼女の両親がその後ろに立ち、不器用に彼女の政務を手伝っている。
カリオペが戻ってくるのを見て、ソフィーヤは椅子から飛び降り、彼女の胸に飛び込んだ。
「帰ってきた!」
「うん。ちょっと見にね」カリオペは彼女の髪を揉んだ。「よくやってるじゃない」
ソフィーヤの両親は顔を見合わせ、何も言わなかったが、その目には「ようやく肩の荷が下りた」という安堵の色があった。
カリオペは長くは留まらなかった。ただ確認に来ただけだ――この街はもう自分を必要としていないと。
帰り際、ヘマリスは振り返って城壁の上の永遠の虹を見た。
「どうした?」カリオペが尋ねる。
「何でもない」ヘマリスは静かに言った。「ただ……これはずっとあるべきものだと思って」
アイセロン
スタシスは王座の脇の長い机に座り、山積みになった政務を処理していた。アイウェシルがその脇に立ち、書類を手渡す。
「姉さん、これに署名を」
スタシスは受け取り、名前を書き、顔も上げない。
エコーが扉の外から半身を覗かせる。頭はあの大きなラッパのままで、機械の体は陽の光の下で古びた光沢を放っている。
「スタシス……私、入ってもいい?」
「ノックはいつ覚えたんだ?」
「さっきです。私……書類の処理を手伝いたいんです。あなたの筆跡を模倣できます」
スタシスは顔を上げて彼女を見た。「模倣しなくていい。自分のを使え」
「私……自分の筆跡はありません」
「なら、今から覚えろ」
エコーはうつむき、自分の機械の指を見た。彼女はインクを付け、紙に書いた:エコー。歪んでいる。
「でも、それはあなたのものだ」スタシスが言う。
エコーはその二文字を、長く見つめた。
遠くで、アイランサーは城壁の上に立ち、この光景を見ていた。彼女は歩み寄らず、ただ静かに立っていた。口元には諦念の笑みが浮かんでいる。
荒野
タナトスは焦げた地面にしゃがみ込み、手には灰白色の魂の塊を抱えている。彼はそれをそっと吹き散らし、輪廻へと送り出す。
「九千四百七十二個目。あと三千以上」
パシュースは近くの岩に座り、頬杖をついて彼を見ている。
「どうして自分は吸血鬼だと言うんだ?」彼女は突然尋ねた。
タナトスの動作が一瞬止まった。
「……分からない。ずっと昔、誰かが私にそう言った。私は信じた。陽の光が怖い、銀の道具が怖い、聖水が怖い。後になってそれらが自分には全く効かないと分かっても、やっぱり怖かった」
「もしそれが本当じゃなかったら?」
タナトスは長く沈黙した。彼はモーリガンが言っていたことを思い出した――外域存在の実験、種族絶滅、最後の一匹だけを残す。
「もしかすると……私もそうかもしれない」と彼は言った。「ケーリスと同じだ。私の種族も、多分もう私だけしか残っていない。外域存在は『死の痛み』を作りたかったから、私の族人を全て殺し、私だけを残した。そして私にめちゃくちゃな記憶を詰め込んで、自分は吸血鬼だと思い込ませた」
「じゃあ、あなたは誰なんだ?」
タナトスは自分の手を見た。この手はかつてカラスの腹を引き裂き、数多の死者の手を握ってきた。今、それらはただ静かに膝の上に置かれている。
「私はタナトス。死そのものだ」
パシュースは立ち上がり、彼のそばに歩み寄った。
「なら、陽の光を怖がるな」と彼女は言った。「日焼けしても誰も笑わない」
タナトスは一瞬呆け、そして笑った。しかし今回はごまかしではなく、本当に笑った。
深海
カロンはオーケアノス港の廃墟の縁に立ち、マグマ人間によって破壊された海岸線を見つめていた。
ステュクスが水の中から浮かび上がり、触手を背後に揺らす。
「カロン様、あなたの族人はもう安全です。あなたは約束しました――私にあなたを『処理』させる、と」
カロンは振り返った。ステュクスの触手の上には、一着の白い紗のドレスが捧げられている――それは深海の貝類の糸で織られたもので、月明かりの下で真珠のような光沢を放っている。
「それは何だ?」
「ウェディングドレスです。オネイリに聞きました。これは『別の食べ方』を意味するのだと」
カロンの瞳孔が微かに収縮した。「お前……」
「私はあなたを『食べたい』。本当に食べるんじゃない。……あなたと結婚したい」
カロンは長く沈黙した。「なぜ早く言わなかった?」
「あなたはいつも私の触手を剁り刻むと言っていたから」
「それは冗談だ」
「分かってる。でも賭けられなかった」
カロンは前に歩み寄り、触手からそのウェディングドレスを受け取った。彼女はそれを着なかった。ただ手に抱えただけだ。
「私はあなたに『処理』させると約束した。しかしあなたに嫁げとは約束していない」
ステュクスの触手が垂れた。
「でも――考えてやってもいい」
ステュクスの触手が猛然と聳え立った。カロンは背を向けて歩き出すが、口元は緩んでいる。
地底
失衡は地核の奥深くへと沈んでいった。
来る時は大地を溶かして貫いたが、去る時は何の痕跡も残さなかった。マグマは冷え、岩層は閉じ、まるで一度も裂かれたことがなかったかのようだ。
ただ、沈みゆく最後の瞬間、それはフィトゥーラを吐き出した。
巨人族の身体は熱い岩床の上に横たわっていた。パイプは既に砕け、かつて彼女の体を貫いていた金属管は今は枯れた蔓のように垂れている。彼女の目は閉じているが、まだ涙を流している。
彼女は地底に長く横たわっていた。長く、岩床が冷め、頭上に開いた裂け目が新しく生まれた鉱石で埋まるまで。
そして彼女は目を開けた。
彼女は見た――抉り取られた方の目ではなく、残った方の、改造されていない、彼女自身の目で。
彼女は地底の闇を見た。その闇は彼女が生まれた時と同じだった。
彼女は身体を起こした。パイプの破片が彼女の体から簌簌と落ちる。かつて彼女をその場に釘付けにしていた枷は、今はただ足元に散らばるただの鉄屑だった。
彼女は立ち上がった。頭は地底の天井に届きそうだった。
彼女は手を伸ばし、指先で冷たい岩壁に触れた。岩壁には水滴があり、彼女の指を伝って滑り落ちる。
彼女はそれを舐めた。しょっぱかった。
彼女はヴェンティスを思い出した。硬貨に鋳造された苦痛を。抉り取られた自分の目を。
そして彼女は歩き出した。上ではなく、下へ。彼女が生まれた場所へ。巨人族が代々棲む岩窟へ。
そこには誰も彼女を待っていない。しかし彼女は道を知っている。
ある道の上
ポレモスはディスコルディアの後ろを歩いていた。
彼の歯車はもう回転を止めている――故障ではない。自分で止めたのだ。
蹄が砂利道を踏み、鈍い音を立てる。蒸気の嘶きもなく、歯車の唸りもなく、ただ足音だけがある。
ディスコルディアは彼の前を歩き、振り返らない。
「付いてこなくていい」と彼女は言った。
「分かっている」
「ではなぜ付いてくる?」
ポレモスは答えなかった。ただどう答えればいいか考えているうちに、また数歩付いていった。
ディスコルディアは足を止め、振り返った。
「一体何がしたいんだ?」
ポレモスは彼女を見つめた。
あの歯車の嵌った目の中で、灰色の炎はもう消えていた。ただそこに、どう処理すればいいか分からない、不器用な真剣さだけが残っている。
「あなたの下働きをする」と彼は言った。
「……何だって?」
「あなたは商売をするんだろ? 物を売る。誰かが荷物を運ぶ必要がある」
ディスコルディアは数秒間彼を見つめた。
「私は一人が慣れている」
「分かっている」
「私は手伝いは必要ない」
「分かっている」
「じゃあ、あなた……」
「ただあなたの下働きをしたいだけだ」ポレモスが言う。「そうすれば、小賊さえあなたに一歩も近づけない」
ディスコルディアは口を開きかけた。「必要ない」と言おうとしたが、出てこなかった。
彼女は背を向け、歩き続けた。
「しっかり付いてこい。置いていっても探しに行かないからな」
ポレモスの歯車が再び微かに回転した。とても軽く、心臓の鼓動のように。
彼は付いていった。
別の道の上
ネメシスの身体から出てきてから、アトはずっと彼女に付いていた。
ネメシスは前を歩く。アトはその後ろに、うつむいて一言も発しない。
二人の間には十数歩の距離がある。遠くもないが、近くもない。
「いつまで付いてくるつもりだ?」ネメシスは振り返らない。
アトは答えない。
ネメシスは足を止め、振り返った。
「一体何がしたい?」
アトは顔を上げた。その目にはまだ乾かない涙の跡があった。
「分からない」と彼女は言った。「私……行く場所がない」
ネメシスは彼女を見つめた。
「お前は『失敗』だ。お前に場所は必要ない」
「では、私はどこにいる?」
沈黙。
ネメシスは答えなかった。彼女は背を向け、歩き続けた。
しかしその足取りは少し遅くなった。
アトは数秒呆け、そして付いていった。今度は、もっと近くに。
ネメシスは振り返らなかった。しかしもう二度と「消えろ」とは言わなかった。
風が吹き、道の上の埃を巻き上げる。
二つの影、一前一後、地平線の彼方に消えた。
聖堂
モーリガンはあの重い木の扉を押し開けた。
オーガスタスは机の前に座り、うつむいて、微動だにしない。彼の身体はもう腐敗し始めていた――自然な腐敗ではない。まるで何か核となるものを抜き取られたかのように、ただの空っぽの殻だけが残っている。
机の上には一通の手紙が置いてある。封筒には「モーリガン親啓」とある。
彼女はそれを開けた。アストライオスの筆跡だった。
「モーリガン、あなたがこの手紙を見る時には、私はもういないでしょう。私も外域存在の駒でした。私の任務はあなたを守り、同時に監視することでした。しかし私の心の中で、あなたは決して任務ではありませんでした。あなたは私の娘です。オーガスタスはただ私があなたに近づくために作った傀儡に過ぎません。本当のオーガスタスは、何年も前にアグリッパの師父が外域存在を召喚した時に生贄にされました。最後まで一緒にいられなくてごめんなさい。——アストライオス」
モーリガンは便箋を握りしめ、長く沈黙した。
「彼は私の父ではない」
彼女は一瞬間を置いた。
「しかし彼は父だった」
アマラートが歩み寄り、彼女のそばに立った。
「行きましょう」
「うん」
聖堂の外
アグリッパは階段の下に立ち、彼女たちを待っていた。
「モーリガン。あなたに頼みがある」
「何だ?」
「新神教を創設したい。あなたを神として崇めるのではなく、あなたを先駆者として――人々に伝えたいのだ。『神が私たちを救いに来ることはない。私たちが頼れるのは、自分自身だけだ』と」
モーリガンは彼を見た。「皆が受け入れると思うか?」
「思わない」アグリッパが言う。「しかし誰かが始めなければならない。誰かが彼らに伝えなければならない――神頼みは無駄だと。役に立つのは、自分の手、自分の足、自分の頭脳だと」
モーリガンは長く沈黙した。
「いいだろう」と彼女は言った。
アグリッパは深く一礼した。
身を起こした時、その目は赤かった。
風が吹き、彼は顔を背けた。




