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白銀の戦士は世界を二度救えるか  作者: バルバロ
リュグレムシア遠征編
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94/114

お預け

最近体調がすぐれないので更新が滞っております

ペースは落ちていますが執筆はしていますのでご期待いただけたら幸いです

「あれがリュグレムシア……!」


 十日間の移動の果て、たどり着いたリュグレムシア。多くの都市と同じようにここも城壁に囲まれた街であるが、それは最低限の長さで中心部の主要施設のみを護るもので、その外側にもたくさんの家々が存在している。

 内側はまだ見れないが、外側の家屋はダムナと同様に木製と土壁の物がほとんどだ。しかし急ごしらえかのように簡素な作りのものが外周部からでも確認できた。

 さらに歴史深いアーケリアの街と違い、ここは作りは荒くとも小綺麗な建物が多い。これはこの街が比較的新しい、先代のズニェールが作ったものであるからだ。


 道中モナガンに聞いたが、先代とは言っても正式に継承されたものではなく、いわゆる“クーデター”によって取り変わったものだという。

 圧政を敷く先代ズニェールに反旗を翻した現国王、リュグレミア・グルゴルはその実の息子であったのだが、その剣で父である国王の首を撥ねてズニェールの立場を手にした。

 実際に圧政であったか、それは国内でも意見の分かれるものらしいが、それを口にするものはいない。グルゴルはズニェールとなってまずは先代のもとに仕えていた者のほとんどを粛清した。

 先代は穏和な性格と、慈悲深い治世を行っていたと言う者もいるが、それはごく一部の人間だけが利益を享受する歪な構造であり、外征に消極的であったことからその行く先を疑う声は処刑される前からあったものだという。

 いくらか聞き覚えのある状況、環境ではあるがアーケリアが同じ道を辿るかは“まだ”誰にもわからない。


 モナガンたちとはすでに別れているが、彼らはその城壁の内側へと馬車ごと入っていった。それに比べ自分たちは、街から少し離れた場所でそれを眺めていた。

 現ズニェールは内政に力を入れているが、それは純フィニク人を優遇するもので、また日々厳しい検問と見張りで外的を排除すべく躍起になっている。

 つまり簡単に街に入ることができない、城壁の外側であっても同様で、通りすがるならまだしも長期間の滞在となると苦労するようだ。

 そのことについてはダムナを出る前にモノモやモナガンからも伺っていた。しかし実際に街の様子を見ると聞いていた以上に剣呑な気配で、今が戦時中であると主張するかのようだ。


 今ズニェールは外征に行っており王宮は留守らしいが、その分忠臣に街を託して警備もより一層強固になっている。

 外征とはつまりどこかへと侵略を行っているということだが、幸いにもアーケリアではなさそうだ。流石にそうなれば急いで戻らなければならないが、ひょっとするとそれも時間の問題かもしれない。

 そうなると一刻でも早く中に入りたいが、この状況ではなかなかに難しい。


 だがモナガンの計らいにより、彼の知人が仮の拠点を貸してくれるとのことである。ただそれはリュグレムシア国内ではなく、少しだけ離れた場所にあるようだ。一日とかからず行き来できる距離なのでまずはそこに行って今後の作戦を考えることとする。

 その知人というのも魔術師ということだが、今は研究のため何処か別のところにいるとのこと。ただ借りがあるとのことでモナガンからは好きに使ってかまわないと言われた。


「ここまできてお預けとは、悔しいぜ……」


 歯がゆいのはアギアと同じだ。


「まあモナガンさんも暇があれば歓迎してくれるって言ってたから、焦らず待とうよ」


 シレナがそう慰めるとアギアも素直にうなずいた。普段はツンケンした態度のアギアだが、大人しくも時折強い圧を見せるシレナにはあまりそういった様子を見せない。相性が悪いのか、それとも打ち解けたのか。


「それもいつになるんだか」


 そう呟くリィンはリュグレムシアに近寄るに連れ元気がなくなっている。そう見せないように振る舞ってはいるが、時々その気配が漏れ出ている。


「まあ少しぐらいいる分には問題なって話だから、様子を見ながら市内にも行ってみよう」


 警備が厳重とは言ってもリュグレムシアの首都の人口は五百万を超えるとも言われる。大人しくしている分には目ざとく警戒されることもないだろう。ただフィニク人がリィン以外いないのと、目的が魔術の研究で、研究施設や素材を見て回ることなので、リュグレムシアで重要な技術と言われているため警備もより厳重だろう。その周囲をうろうろしていると、場合によっては面倒に発展しかねない。

 なのでそれに関してはモナガンを頼るしかなく、暇を見つけてとは言うがいつになるかは本人にもわからないようだった。


「このあたりの地形を見て回るのも面白いかもよ?」

「バニスじゃねえしそんなに興味ねえけど……、珍しい薬草でもありゃいいが……」


 ぶつくさ言うアギアとともに、しばらく寝泊まりする場所へと移動していく。もう馬車はないので徒歩になるが、日が暮れる前にたどり着かなくてはならない。


「歩くの嫌~」


 駄々をこねるリィンをなだめながら、無事日没より前に仮拠点に移動していった。

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