表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狼竜物語  作者: レオ
63/255

(3)

 自分達がいた大陸は、遥か後方で点のようになり、四方はひたすら青い海が広がっている。


 そう言えば僕泳いだ事もないやと、万が一落ちた時の事が浮かぶ。


「ねえ、島って遠いの?何があるの?」


 矢継ぎ早に質問をする。


「まだ暫くかかるが、日が暮れる前には着けるだろう。島には村があるはずだ」


「あるはずだって・・・行った事ないの?」


 確か島は、ナーガの為に作られたって言ってたような?


「最後に行ったのは数百年前だ。その時の人間は、生きてはいないだろう」


「数百年前って、ナーガの歳っていくつ?」


「さて・・・一万年は生きているはずだが、面倒になってから数えていないから果たしていくつやら」


 一万年て、いったい僕の何百倍生きてるんだろ?


 驚きの新事実に次いで、更に衝撃の事実が追い打ちをかけてくる。


「それ程驚く事か?犬とて私とそう変わらぬ年月を生きているぞ」


 お兄ちゃんお父さんどころか、ひいがいくつもつくぐらい御祖父様だ。


 僕が絶句している間に、視界が霧に阻まれ、何も見えなくなる。


 手を伸ばしてみても、そこにあるのは牛乳を流し込んだような、深い深い霧しか見えない。


「この霧を越えられるのは、私や神界の者だけだ」


「神界て何?」


「マスターはラグナロクを知っているか?人間界にも神話として伝わっているはずだ」


 ルフツネイルの授業で、少しだけ聞いた事がある。僕は必死で記憶を辿る。


「ラグナロクは、九つの世界がした終末戦争ってやつかな?」


 顔は見えないけど、ナーガが笑っているのがわかる。


「意外にマスターも、しっかり勉強はしていたようだな。人間に神話として伝わっているラグナロクは実際とは違う。全てを説明するには、それよりも昔から話さねばならない」


 うんと返し、一言も聞き漏らさないように構えた時、視界が開け目の前に現れたのは中央に大きな山をそなえた島。


 山の麓の平野には、僕が住んでいたような平家が沢山並んでおり、村を形成している。


 村の中央の広場には旗が掲げられていて、その旗に記されている紋章は父さんが僕を見つけた時に、包まれていた紋章と一緒だった。


「あれ、僕の産着と同じ紋章だよ」


「あの紋章が現わしているのは私だ」


 村の上を旋回すると村人が空を指さし、家々から沢山の人が出て来るのが見える。


「物凄い騒ぎになってるよ」


 このまま降りるぞと、ナーガは村の中央の広場へと降下していった。


 地に降り立つと人垣が僕達を囲み、人々は一様に驚きの表情を浮かべている。


 一人の杖をついた老婆が、ナーガの前に歩み出る。

 

 その手はプルプルと震え、目には涙が光っている。


「ナ、ナーガ様・・・ナーガ様じゃ・・・」


 前に来たのは数百年も昔のはずなのに、このお婆さんはナーガを知っている。


 このお婆さんも、数百年生きているのだろうか?


「皆の者息災で何より。暫く世話になる」


 ナーガが一声かけると、村人が一斉に平伏して立っているのは、僕とナーガだけになった。


「ナーガどうなってるの?」


 何が起こってるのかわからず、耳元で囁く。


「私はこの島では信仰の対象だからな。マスターも暫く付き合ってくれ」


 その後は村人総出の宴会になだれ込み、とてもゆっくり話せる状況でなくなり、全ては翌日に廻される事になった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ