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狼竜物語  作者: レオ
26/255

(10)

 異臭が鼻をつく。


 先程迄いた、きらびやかな市場とは、明らかに違う雰囲気。


 狭い路地には地べたに座り込んでいる人がいて、その横を通り過ぎるが、その目は虚に虚空を見ている。


 世間知らずのルークの警戒心も、此処は危険だと盛んに警鐘を鳴らし、自然と歩く速度は速くなっていく。


 長い一本道に差し掛かった時、前から二人組の男が、下品な笑いを張り付かせたまま道を塞いでいた。


「まさか、そちらから出向いてくれると思わなかったぜ」

 

 踵を返し来た道を戻ろうとするが、そちらにもこん棒を構えた男が一人。


「大人しくその鞄に入ってる金を渡せば命迄はとらねえよ」


 男達は徐々に距離を狭めていき、男の手が伸びて来た時、ルークは背負っていたリュックを男に投げつけ、その横を駆け抜けようとした。


 その刹那、お腹に走る鈍痛に膝を付き、口が新鮮な空気を求める。


「逃げようとしてんじゃねーよ!」


 鞄を力任せに剥ぎ取られ肩を蹴られたルークは地面に倒れ込み、奪われた鞄を男が乱雑に漁り、目的の物を見つけほくそ笑む。


「言ってた通り結構な金が入ってるぜ。おう、そいつ縛っておきないい値で売れるぜ」


 縛られながらルークは、助けを求める。


(フェンリル、ナーガ助けて・・・)


 離れた家の屋根から、猫のひなたぼっこよろしくその様子を眺める獣が二頭。


「あ~あやっぱな。昨日からあいつらつけてやがったからな」


 何処となく楽しげなフェンリル。


「楽しそうだな」


「マスターをわざと危機に落とし入れた奴に言われたくねーよ」


 ナーガが魔法で、ルークを迷わせた事をフェンリルは知っている。


「縄で縛られてさるぐつわ迄されてんぜ。こりゃ、どっかに奴隷として売られちまうかもな」


 フェンリルは、やはり楽しげな口調だ。


「可愛い顔してんし料理、洗濯、掃除のスキル付きだ。このまんま買われて可愛がられた方が幸せかもな」


「貴様は奴隷の使い魔になりたいか」


 ナーガは思いを巡らす。


「危機に陥れば何かわかるかと思ったが当てが外れたか」


フェンリルは立ち上がり「そろそろ白馬の王子様の出番だな」と屋根から飛び降りる。


「貴様は揉め事が好きなだけだろう」


 フェンリルに続いて、ナーガも飛び立っていった。


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