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目尻から思わず涙が零れ、心の底からうま~いと感想が漏れだす。
僕は部屋に運ばれてきたサンドイッチを、涙ながらに食べていた。
だって本当に美味しいんだよ!空腹は最高の調味料て言うけど本当だね。
ナーガはお上品に、フェンリルは・・・犬食い。じゃなくてちゃんと椅子に座って、前足で挟んで食べてるのが微笑ましい。
僕等が泊まる部屋は、ベッドが二つにテーブルと椅子がある簡素な部屋だけど、何といってもお風呂があるのが嬉しい。
そこに、一階の食堂から五人前のサンドイッチを、運んで貰ったんだけど、あっという間に僕等のお腹の中に消えていった。
「ごちそうさま」
お腹いっぱいって本当に幸せ。
今まで空腹を、経験させてくれなかった父さんに感謝。
「マスター」
フェンリルが、片前足を出している。
これはお手って事かな?僕がそっと右手を乗せたら、甲を叩かれた。
「違うだろ。俺様の御蔭で半額になったんだから小遣いくれ」
小遣いって?
「何に使うの?」
「プレゼントを買うのさ」
プレゼントって、そんなふうに買うものだろうか?でも、宿代が安くなったのはフェンリルの御蔭なので、前足にそっと銅貨を置いてあげた。
「チッしけてやがんな。まあいいや」
フェンリルは銅貨を受け取ると、踵を返し窓から飛び出していった。
「ちょっとここ二階!」
慌てて窓から見下ろすと、フェンリルは既に路地の角を曲がるところだった。
「・・・お風呂入ろう」
僕とナーガが、お風呂に入ってから暫くするとフェンリルが帰って来た・・・窓から。
「ちゃんとドアから入ろうよ」
「堅苦しい事いいなさんなって。ほら、とかげにプレゼントだぜ」
くわえてた紙袋を僕に渡す。
プレゼントってナーガに?もしかして仲直りしようって、わざわざプレゼントを買いにいったの?
僕は、感動しながら紙袋の中身を取り出すと・・・ピンクのリボン。
「これつけときゃぬいぐるみからペットになれるだろぶひゃひゃ」
確実に部屋の温度が下がっていく。
ナーガを見るのが怖い。
「フェ、フェンリルもお風呂に入ろうか」
俺様はいいと、言い張るフェンリルの尻尾を引きずるように、お風呂場に避難する。
足が背中に届かないので僕が背中を流し、湯舟に入ったフェンリルの頭に、濡らして絞ったタオルを乗せてあげると気分が良くなったのか、調子外れの鼻歌を歌い始めた。
頭にタオルを乗せて下手くそな鼻歌を歌う狼。
見世物小屋にいっても人気者間違いないね。
湯舟から出たフェンリルを、ブラッシングしてあげる。
「俺様は幸せな使い魔だぜ」
ほんの数日前迄言ってた事と違う。
僕は気付かれないように、尻尾にリボンを蝶々結びにして付けてあげた。
騎馬民族は、足癖の悪い馬の尻尾にリボンを付けるらしいからお似合いだ。
・・・後でナーガが笑って、気付いたフェンリルに往復ビンタされた。




