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狼竜物語  作者: レオ
21/255

(5)

 草原を抜け、王都ランバルの城門に続く、舗装された道に出る。


 カダルフィークと違い砂利道ではなく、煉瓦でちゃんと舗装されている。


 道には僕達みたいに、歩いて王都に向かう人達がいて、フェンリルをチラッと見てさりげなく離れていく人もいるけど、騒ぐ人はいない。


 フェンリルを見て騒ぎになるかもと、ドキドキしていたけど一安心。


「凄いよね~ほら、ちゃんと道が舗装されてるよ」


 カダルフィークから出た事のない僕は、それだけでテンションが上がってしまう。


「こんなので驚いてちゃ中に入ったら驚き過ぎて失禁しちまうぜ」


「赤ちゃんじゃないんだからそんなのしないよ」


 中に入ったら?


「フェンリルって、もしかしてランバルに来た事あるの?」


「俺様はトカゲと違って、ちょくちょくこちらに遊びに来てるからな」


 初めての都会に不安だったけど、経験者がいるなら大丈夫だね。


 城門に近付いて来ると、長い行列が目に入って来た。


 行列の先頭には机が三つ横に並び、それぞれに重装備の兵士らしき人が、こちらを向いて座っている。


「あれ何?」


 フェンリルは尻尾を振りご機嫌な様子で、歩みを止める事無く「危険な物を持ち込まれないようにする荷物チェックだな」


 荷物チェックなんてされたら、背負っている袋に入っているナーガが見つかってしまう。


 急いで引き返そうとした僕を、フェンリルが止める。


「こんなとこでいきなり引き返したら怪しさ満点だぜ」


「ナーガが見つかっちゃうよ」


 フェンリルは大丈夫と僕にウインクして「天下のナーガ様だぜ。何とかするに決まってんだろ」


 そうか・・・そうだよね。


 ナーガなら何とかしてくれる。


 フェンリルの言葉に安心して列の最後尾に並び、徐々に列が短くなり僕の順番になる。


 髭面で小太りの見るからに大人という感じの兵士の前の机に、肩下げ鞄とナーガが入った袋を置く。


「ランバルに来た目的は?」


「食料の補給です」


「子供一人で?」


「はい」


 机に座った小太りの兵士とやり取りしている間に、脇に控えていた若い兵士二人が、袋の中をチェックしている。


 その内の一人が「これは何だ」と袋の中身を僕に突き出し、その手には全身の力を脱力させダラーンとなったナーガ・・・どうにもならなかったらしい。


 咄嗟に「ぬ、ぬいぐるみです」と言い訳すると、机の下でブフゥッと吹き出す声がする。


 兵士達は周辺を見渡すが、丁度机の死角になって、フェンリルが笑っているのが見えないらしい。


「僕ぬいぐるみを抱いて寝ないと寝れないんです」


 机の下ではくっくっくっと笑う狼。


(笑いすぎ)


 膝を突き出すと、机の下でぐふっという声。


 かなりいい場所に膝がヒットしたらしく、笑い声がぴたりと止まった。


 ぬいぐるみね~と兵士が机にナーガを降ろす。


 何とか切り抜け・・・


「いった~!」


 いきなり大声を上げた僕を、兵士達が驚いて見る。


「すいません。持病の腹痛が・・・」

 

 腹痛と言いながら僕は涙目で、弁慶の泣き所を押さえている。


 机の下のフェンリルを睨むけどフンとそっぽを向かれた。


 人間じゃないから、後ろ脚回し蹴りとでも言うべきか・・・覚えてろフェンリル。


 机に突っ伏した僕には、もう一人の若い兵士が鞄の中を見て、隣の兵士に目配せしているのに気が付かなかった。


「中には病院もあるから見てもらいなさい。次の人」


 荷物を受け取って、僕達はランバルの城門をくぐり抜けていった。

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