(4)
光が煌めくルークの金髪から、瞼に色を移し朝を知らせる。
まだ重たい瞼を擦りながら、よく寝たと上半身を起こす。
野宿でも熟睡できる。
これも出来る事の一つになるんじゃなかろうか?
見渡せば焼けてちょっぴり見晴らしの良くなった森に、季節外れの樹氷が朝日にキラキラ反射してとても綺麗だ。
人間五日も毎朝似た景色を眺めれば、少しは慣れるものらしい。
グ~キュルルル・・・お腹の虫が、早く食べ物を寄越せと自己主張する。
本来ならもう王都に到着しているはずなのに、二頭がいつも喧嘩するせいで、いまだに到着出来ていない。
出発すべく荷物を纏める。
と、言っても肩下げ鞄一つ。
中身は薬草、短剣、小さな鍋、火を起こす道具、地図に少量の雑貨。
そして、父さんが渡してくれた、今まで見た事のない額のお金。
「ほら、フェンリルもナーガも起きて」
魔獣は睡眠をとらない種類もいるらしいけど、この二頭はしっかり睡眠をとっている。
「もう、食べれねーぜ」
羨ましい夢を見ている様子のフェンリルを揺り起こす。
「日が暮れる前に王都に着かないと入れなくなるよ」
夜は魔獣や他国からの侵攻に備えて、余程の理由がない限り城門を通る事が出来なくなる。
父さんの言ったすべき事。
それは食事抜きのピクニックではないはずだけど、今すべき事は王都に行って食料を手に入れる事だ。
鞄を肩からかけ、二頭と共に森の中を歩き始めた。
森の木々の間隔があいていき、唐突に視界が開ける。木から見渡す限りの草原に変わり、遥か先には何者も寄せつけない威厳を備えた高い城壁。
王都ランバル。
そのまま国の名前になった由緒正しい街。
父さんいわく、何もしてくれないくせに、税金だけはしっかり取っていく泥棒猫の住家。
やっと到着したと感慨に耽っていると「俺様はまだいいが、とかげはそのまま行くと騒ぎになるんじゃねーか」とフェンリルに言われた。
確かに白い竜がいきなり現れたら、大騒ぎになるかも知れない。
「ナーガ小さくなれる?」
ナーガは、僕の両腕にすっぽり収まるぐらいまで小さくなれる。
大きさ的には、猫をちょっと大きくしたぐらいだろうか。
鞄から予備の袋を取り出し小さくなったナーガをその中に入れる。
くっくっくっ
「さあ行こうぜ」
何だかフェンリルが笑ったような気がしたけど、歩き出したフェンリルを追い掛ける。
ナーガは確かに大騒ぎになるだろうけど、フェンリルも相当目立つと思うんだけどなぁ。
遠目から見れば犬に見えるけど、犬より遥かに大きい。
ご機嫌よく尻尾を左右に揺らしながら、先頭を歩くフェンリルを見ていると、好奇心が湧いてくる。
・・・やってみたい。
でも、やってしまえば何が起こるかわからない。
僕の中で好奇心と自制心の戦いが始まり、好奇心が勝ってしまった。
ドキドキしながらフェンリルの前に周り、片膝を付け右手を差し出し、何事かと僕を見詰めるフェンリルに向かって「お手」と命令。
フェンリルの右前足が上がり、そのまま僕の手の平に・・・こずにビンタされた。
「犬じゃねーつってんだろ!」
背負った袋が、小刻みに震えている。
肉球は、想像以上に痛かったです。




