(3)
ルークを部屋に戻らせ、カイルとナーガがテーブルを挟んで対峙する。
「ルークには契約を破棄させたいと思う」
召喚獣は魂の契約において召喚者の魂を糧とする。
召喚術において魂とは内なるものだけでなく肉体もその一部とされる。
ルークの手が透けたのは・・・
魂の力が足りなくて喰われたのだ!
「契約し続ければいつあの子が完全に喰われてもおかしくない。それはあんた達にとっても望む結果じゃないだろ?」
契約した後に魂の力が尽きればそれは死と変わらない。
「だが、瞬時に戻った」
突き刺すような金色を帯びた眼差し。
「私を呼び出すなど普通の人間には無理だ。ましてや契約など済む前に魂が砕け散る。もっともそうなると思って、そこのは契約に応じたみたいだがな」
視線が集まるがフェンリルは興味なさ気にフワ~と欠伸をする。
「あんたらは何者だ?」
ただの魔獣ではない。
ナーガは長い首を伸ばし耳打ちをする。
緊張でカイルの全身から汗が吹き出し喉が渇く。
「そこにいる狼はあのフェンリルか」
ナーガの名は知らないがフェンリルの名前には覚えがあった。
それは、召喚術ではなくもっと別の書物で…
「今度はこちらの質問に答えてもらおう。あの子は何者だ」
「ただの・・・子供だ・・・」
そう答えるしかない。
10年もの間一緒に過ごしてきたが、この二頭が現れる迄そう思っていたのだから。
「ちょっと待っててくれ」
カイルは自分の部屋に入り、古ぼけた布を持って戻って来る。
「ルークを見つけた時に包まれていた布だ」
布はボロボロだが、端に小さな紋章らしきものが書かれている。
カイルもこの紋章については調べてみたが、貴族、王族、国全て当て嵌まらなかった。
だがナーガは一目見るなり「何故それがここにある」と驚きの声を上げる
「知っているのか?これは何だ」
「それはある場所を示している。そこに来いと言っているのだ」
先程ナーガが囁いた言葉が本当なら、自分は足手まといにしかならないだろう。
「あの子を守ってくれるか?」
ナーガは即答する。
「契約がある限り」
その答えにカイルの心は決まった。




