87、神に抗う者たち
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【神様でも解らない事があるんですね。神祖さん。】
ルシフェルはいつもの様な飄々とした口調で神祖に答える。その背後には空を覆い尽くさんばかりの上位魔族を引き連れている。
【こちらにも色々と事情ってものがありましてね。貴方にはここで少しばかり抵抗させてもらいますよ。】
ルシフェルが手で合図をすると、魔族たちが神祖に殺到する。この余りの出来事に、接近戦を挑もうとしていたラスタバンやテトたちは呆気にとられ、その場で様子を窺う。
全方位から上位魔族たちの爪や刃、魔法が神祖を襲う。しかし、神祖は蟲でも追い払うかのように軽く手を振るうだけで、魔族たちは吹き飛び、周囲の魔族を巻きこんで四散していく。
不意に、強力な魔力による衝撃波が神祖を襲う。それは周囲の上位魔族をも巻き込み、爆炎をまき散らした。
「どうだっ!!てめぇが魔王様をやりやがった神って奴かっ!!」
直立したトカゲの様な巨躯の魔族、三魔将のゼゼルが全身に魔力を漲らせて神祖を睨み付けていた。さらに、漆黒のローブに身を包んだ矮躯の老魔族、ドノヴァンもその背後から現れる。
「ルシフェル様について来てみれば、このような事になっておるとはの。しかし、確かに感じる。魔王クロウ様の魔力が……。これは儂も久々に力を使わねばならぬかよ。」
ドノヴァンは自らの右腕を引きちぎり、呪詛のような詠唱を始める。すると、右腕は黒い霧のように大気に溶け、神祖がいた場所が黒い光を放ち始める。
「神とやらに、この力どこまで通ずるか解らぬが、挨拶代りに儂の腕一本くれてやるわい!!」
そう叫ぶドノヴァンの右肩からはボトボトと大量の血が流れ落ちている。しかし、それを全く気にすることなく、詠唱は完了する。
「『神喰い』」
神祖の周辺の地面が大きく盛り上がる。そして、大きな亀裂が走り、徐々にそれが広がっていく。亀裂の内部には険呑な鋭い歯がズラリの並んでいた。それは巨大な口のようであった。
瘴気をまき散らしながら巨大な口は神祖をバクリと飲みこみ、しばらく不気味な音をたてながら咀嚼するように地面を揺らす。そして、亀裂が跡形も消え、そこには何事もなかったかのように静まり返る。
ドノヴァンは代償とした右腕を抑えながら、その様子を見ていた。そして、その口角が少しゆっくりと上がりかけたその時、再び、地面に瘴気が吐き出される。
まるで間欠泉のように瘴気を吹き上げ、それに不運にも触れた上位魔族の体は、黒く変色し、やがて爛れ落ちていった。その魔族たちの悲鳴をBGMに、瘴気を吹き上げている穴から神祖がゆっくりと姿を現したのだった。
ドノヴァンの表情は硬く強張りながらも、目だけは神祖を睨み付けていた。しかし、ドノヴァンの瞳は次第に生気を失っていく。
ぐりん と白目を剥いたかと思うと、ドノヴァンの四肢が四方に飛び散る。血の雨を降らせながら、顔と胴だけになったドノヴァンは出来の悪い芋虫のように地面に転がる。
【神を喰らうのはいいけど、食べきれない量を体内に入れようとすれば、弾けちゃうのは当たり前だよね。】
神祖はクスクスと笑い声をあげながら、転がったドノヴァンを見下ろす。そして、気障ったらしく指を鳴らすと、ドノヴァンだったモノは跡形もなく消えてしまった。そこで駆け寄ろうとしていたゼゼルや上位魔族たちは動きを止める。
「「お前がアンラ様を……アンラ様をーーっ!!」」
今度は上空から2つの影が、神祖へと急降下してくる。それを鬱陶しそうに神祖は避けると、そこには赤と青の肌をした魔族が立っていた。
それはかつて邪神アンラに仕えていた赤い肌の魔族バアルと青い肌の魔族ガープであった。その瞳には神祖に対する畏怖の念を超える憎悪の感情で埋め尽くされていた。2人の羅刹は瘴気の炎に身を包み、神祖へと襲い掛かる。
繰り出される爪、拳、牙、魔法、それらは最初から示し合わせたかのように正確に神祖を捉え、そのいくつかは神祖の肉体を捉える。肉を打つ凄まじい音が周囲に響き渡るが、それ以上に2人から放たれる瘴気が周囲の地形をも蝕み、強力な毒素をまき散らす。
それは常人であれば触れるだけで死に至る凶悪な毒素。しかし、神祖はその瘴気の中、涼しい顔でバアルとガープの猛攻を凌いでいた。
そして、さらに2人の猛攻のピッチが上がる。周囲の上位魔族たちですら捕えることが出来ないほどの高速の攻撃、ただ見えるのは神祖の周囲に時折見える赤と青の残像だけ。衝撃音により、大気が震える。
しかし、ほとんど動いていないように見える神祖に、ダメージらしいダメージは見られない。そして、この攻防は終わりを告げる。
【つまらないよ。ただ速いだけで、軽すぎるんだ。】
神祖は何気なく手を前に突き出すと、そこには神祖の腕に貫かれたバアルの姿が現れる。そして、弾けるようにガープが距離をとり、停止する。
「な、なんだと……傷一つつけられないというのか……」
ガープは肩で息をしながらバアルの亡骸を見つめる。
【神格を持つ者と持たない者じゃ、当然だよ。それに、この身体はユウマ・アリムラのものだからね。でも、こんなにいっぱいを仕留めるのは面倒だなぁ……そうだ。神使に任せちゃおっかな。出ておいで。】
神祖がそう言うと、周囲に3つの光球が浮かび上がり、中からアイリーン、サフィーナ、シラユキが現れる。しかし、その姿はやや透けており、表情もない亡霊のような存在たちであった。
《アイリーンっ!!》
グランディアが娘の名前を呼ぶも、全く反応がなかった。
「サフィーナちゃんっ!!」「お父様っ!!」
マールとラスタバンがサフィーナとシラユキに声を掛けるが反応は同様のものだった。
上位魔族たちはそんな事はお構いなしに、神祖の周りに現れたアイリたちに攻撃を仕掛ける。
それに真っ先に対応したのはアイリだった。アイリは魔力を上空に集めると、巨大な球体の魔法陣を形成した。赤黒い魔力が高圧で集まった魔法陣は瞬時に現れ、球体から巨大な手が伸びる。次にゆっくりと頭部が現れた。
エルドランやタイタスに住んでいた者にとっては悪夢のような存在。〝精霊王”。初代勇者によって封じられた災厄がここに再び召喚されようとしていた。
「あれは……精霊王……タイタスに封印されていたはずじゃ……」
グランディアに縋り付くように、妻であるジャスリーンは呟くが後半は声が掠れてしまう。
〝精霊王”は巨大な炎の渦で天を焦がし、轟音ともいえる復活の雄たけびを上げる。その周囲にも、精霊王の分体ともいえる眷属たちが同時に複数召喚され、周囲にいる上位魔族たちに襲い掛かった。
これにより、一気に乱戦の様相を呈してくる。そして、これをさらに混乱させるかのように、サフィーナが動いた。
サフィーナは地面に向かって魔力の球を放つ。それは地面に沁みこむように吸収されていった。そして、次の瞬間、サフィーナの足場が大きく盛り上がっていった。それはドンドンと上昇し、50mほどの高さにまで達する巨大な砂と礫の山となった。
しかし、それだけでなく、その砂や礫は意志を持つかのように集まり、固まり、巨大な人型を模していく。砂のゴーレムがそこに現れる。サフィーナはゴーレムの肩の上から、無差別に魔法の矢を雨のように降らせていく。それは、遠くで見守っていたグランディアたちの方へも届くほどの威力が込められていた。
そして、シラユキも咆哮と共に、巨大な翼を広げ、一気に飛翔すると、上空の上位魔族たちを蹴散らし始めた。
【あははは♪これは楽できそうだ。じゃあ、僕は高みの見物でもしておこっかな。】
神祖は解き放った神使たちを眺めながら、自分は上空へと浮上していく。
それまで静観していたグランディアたちも動き出した。
アイリへはグランディアとジャスリーンが向かい、〝精霊王”と周囲の分体にはギルとブブランがそれぞれ人間やエルフの戦士たちを率いて突撃を掛けていく。
サフィーナと砂のゴーレムへは、マールと勇者タカハシとウェル、そしてドワーフの戦士たちが地を駆ける。
シラユキへはラスタバンとガーネットら竜化した竜人たちが上空へと飛翔していく。
そして、ダイヤとミソノ、そして、巨獣化したクシルとテトが獣人たちを率いて神祖へと迫っていった。
†
そこは地獄の様な戦場だった。
俺の目の前に空から魔族が焼き尽くされて落ちてきた。俺たちが束になっても敵わないような魔族が簡単に、目の前の炎の巨人、精霊王によって炭に変えられていく。しかも、その周りには、その眷属がウジャウジャとその数を増やしている。
そして、今、俺に向かって眷属のうちの1体が炎の塊を俺にぶつけてきた。俺は一瞬、目を瞑る。これで俺の人生は終わったのだと観念する。しかし、多少の熱さで肌を炙られるが、思ったほどではなかった。
見ると俺や周囲の奴らの身体が淡く輝いていた。
「分体程度の炎なら、大丈夫だっ!!お前たちに『耐炎付与』が守ってくれるっ!!少しでも分体の数を減らすのだっ!!」
年配の男が叫んでいた。あれはたしかシャール王国から来た奴だったか。ありがたい。
俺は先祖秘伝のミスリルの魔槍で俺に炎をぶつけてきた分体に向けて、身体ごとぶつかっていった。確かな手ごたえが伝わってくる。何かを砕いたような感触。
分体だったモノは姿を消す。そして、足元に転がって来たものを見ると、魔核結晶だった。
これならタダの魔物と変わらない!エルドランを……故郷を焼いた精霊王にこれで俺は一矢報いた!!そう思うと槍を握る手に力がみなぎって来た。
俺は新たな獲物を求めて、近くにいた分体の方へと駆けていく。
†
「クソっ!!ブブランからの援護魔法がないと、話にならねぇぞ!これ……」
目の前に繰り出される精霊王の炎の拳を躱しながら、ギルは思わず愚痴をこぼす。
直撃は辛うじて受けてはいないものの、その灼熱の炎はギルの肌や喉を焼く。しかし、そのひりついた痛みは、身体を覆った輝きにより、徐々に薄れていく。ブブランによる回復魔法とギル自身の自然回復能力の高さが無ければ、呼吸することもままならなかったはずであった。
俺は十数回目かの魔道具の罠を精霊王の体に埋め込んでいく。精霊王は自らの体に触覚がないのか、全く気にする様子もなく、炎の拳を振り回し続けている。
ギルは精霊王の攻撃をかわし続けているのには、罠を埋め込む以外にも意味があった。一度でも離れてしまうと、広範囲による灼熱の炎がまき散らされてしまう。それは、ギルの周囲で分体と戦う者たちの死を意味しているからだ。
だから、精霊王の注意をギルは、自身に引き付け続けなければならなかった。
一方で、ブブランはギルだけでなく、戦場にいる周囲の戦士たちへ回復や援護魔法を行なわなければならず、ギルへ付きっ切りで魔法をかけ続けることができなでいた。
「しばらく凌ぐのだ。ギル!!お前なら精霊王の直撃を受けん限り大丈夫だ!!」
ブブランは自分を中心とした戦場半径50mで戦う人々を冷静に観察していた。もちろん、回復魔法を適切に飛ばすためでもあるが、それ以外に、この増え続ける分体の原因を突き止めようとの意図がブブランにはあったのだ。
倒された分体は全て魔核結晶へと変化した。つまり、魔族と同様に魔物の上位体だと考えられるということだ。そして、分体たちは精霊王から魔力の供給を受けているようだった。それが一定数まで達すると、分体は分裂し、その数を増殖させていく。
ここで、ブブランは危険な賭けに出る。まず、総魔力量の半分を使い、ギルをはじめとした、周囲の戦士たちに能力向上の付与魔法をかけていき、自らは精霊王と肉弾戦を演じているギルの所へと身を躍らせていった。
「待たせたな。ギル。」
ブブランは普段無表情な顔に無理やり笑顔を貼り付ける。
「おいおい!ブブランのオッサン。危ないから下がれっ!!オッサンはあの攻撃を避けれないだろう……がっ!!」
精霊王の攻撃が迫るブブランを突き飛ばし、ギルも何とか攻撃を避けることに成功する。
「だが、これしか方法はないのだっ!!『無魔力領域』!!」
ブブランは懐から出した宝玉を砕くと、中から黒い靄が舞い上がり、精霊王の周囲を包むと掻き消えるように見えなくなる。
「何したんだ?オッサン!何も起きないぞ。失敗か!?」
眼前の精霊王を睨みながらもギルはブブランに声を掛ける。
「さっきからオッサンオッサンとやかましいわ!成功だ!!ただ、もう回復や援護魔法は期待するなよ!奴は周囲の分体に魔力を供給し、数を増やしている。今のは奴の魔力の流出を防ぐためのものだ。ただ、今の奴の周囲では魔法そのものが無効化されてしまう。」
「だったら何で前に来たんだ!!下がってろよっ!!」
ギルは精霊王の背後へと【変幻自在】で転移し、小太刀・橘で斬りつける。魔力を纏った刃は、少しずつであるが精霊王に疵を負わせることが出来ている。直接魔力をぶつけることは可能なようだ。
「ならん!私も自己強化魔法である程度は対処できる。それに、お前に援護魔法をかけるためには接触する必要があるからなっ!!」
ブブランも辛うじて精霊王の攻撃を捌くことができているようだったが、ギルほど余裕があるようでもなかった。それを見たギルは慌てて、ブブランと精霊王の間に割って入り、細かい攻撃を入れて、注意を逸らす。
「何かっこつけてんだよ!!あの地獄の特訓を潜り抜けた俺様にはまだまだとっておきがあるんだよっ!!」
「ふんっ!私も特訓をパスしたのだ。とっておきならこちらもあるんだよ!!」
2人はいつの間にか、自然と笑みを浮かべて精霊王に立ち向かっていった。
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砲撃が命中し、轟音とともに砂がまき散らされる。
勇者タカハシの作り出した榴弾砲をドワーフの戦士たち数人が操作し、5門の榴弾砲が一斉に火を噴いたのだ。
ゴーレムの胸や肩の部分に会った砂は大きく吹き飛ばされ、ぽっかりと穴が開いている。しかし、舞い上がった砂はまた徐々に集まり、その穴を詰めつつあった。
「あんまり効いてなさそう。砂は厄介。」
ウェルは表情を強張らせて、隣のタカハシを見る。しかし、タカハシはゴーレムへの砲撃を真剣に見つめ何かブツブツと言っている。
「砂……砂の敵に対抗するには……たしか……えーと……イケるか、いや……あれならイケるかも!」
タカハシはパッと表情を明るくすると、【機甲魔法】で戦闘ヘリを作成する。
「ウェルちゃん!一緒にヘリに乗り込んで!!ナパームミサイルの作成を手伝ってよ!!」
ヘリに乗り込んだタカハシは強引にウェルを引っ張り込む。
「えっ、ちょっと待って。砲撃隊!!砲撃中止!!勇者がゴーレムへ接近する!!状況に応じて各自援護するようにっ!!族長!!あとの指揮はお願いします!!」
ウェルはヘリから顔を伸ばすと、ドワーフの砲撃隊と族長ラガイオに指揮権を委託する。ラガイオは力強く頷くと、砲撃隊へ指示を送り、小火器を持った突撃隊をゴーレムから一定の距離を取って散開させる。
「それじゃ、ちょっと試したいことがあるんで、行ってきます。ゴーレムの姿に変化があったら、再び砲撃をお願いしますね!!」
タカハシはコックピットからサムズアップして、ラガイオに声を掛けると、AH-1ZZ ハイパーヴァイパーが空へと舞い上がる。
ヘリの羽根が風切る音を轟かせ、ゴーレムに接近していくタカハシたち。それに気づいたゴーレムが手を伸ばすが、高度を上げたヘリには届かない。しかし、ゴーレムは指先から砂を凄まじい速度でヘリに向かって射出する。
それを避けるため、ヘリを急降下させ、回避するが制御を崩したのか錐もみで落下する。
「タカハシさん!!って、うわっ!!あぁっ!!落ちるっ!!」
「大丈夫だからっ!!あ、ベルトしっかりしててね。言うの遅れたけど。」
ヘリは錐もみ状態から機体を立て直し、バレルロールを行ない再び高度を上昇させる。
「さっきからクルクル回るのわざとやってないですか!?」
ようやくベルトを装着したウェルは頭をさすりながら涙目でタカハシを睨む。
「ち、違うよ。適切な回避行動だよ。ほら、ナパームミサイル。さっき作った弾をできるだけ一杯作ってくれるかな。まずは、挨拶代りに8発ほどで実験してみるか。」
砂のゴーレムの周囲を旋回しながら、タカハシは操縦桿の先についている発射スイッチを押し込む。すると、8つの発射音と共に、8つの白い煙の軌跡を描いて、ミサイルはゴーレムに向かって突き進んでいく。発射とともに、タカハシはヘリをゴーレムから距離を取るように機首を反転させる。
JUDOOOOOOmmmm!!!!
ヘリの機体を震わせるほどの爆音と衝撃が背後から迫る。振り返るとそこには巨大な炎の柱が天に上っていた。そして、それは未だに凄まじい勢いで天を焦がし、収まる様子がない。
サフィーナはいち早く、それに気づき、その場を離れたのか、遠くでマールと対峙している姿がタカハシには見て取れた。
NNNnnnnnnnnnnn!!!
ゴーレムの唸り声ともいえる重低音が炎の中から響いているが、その姿は未だ確認することはできなかった。
「ウェルちゃん。さっきのドンドン作って!!あれで終わるはずがないよ。やるならオーバーキルで止めを刺さないとね。」
タカハシは再び機首をゴーレムへと向け、ホバリングを行ない次のミサイル発射準備に入る。
「できました!!8発、装填準備完了です。撃てます!!」
ウェルの声に、タカハシは再び発射スイッチを押し込んだ。8発のミサイルが燃え盛る炎の柱に向け、再び迫り、爆発を起こす。
「これは明らかにオーバーキルでしょ。念のために、ミサイル作成は続けておいてね。本体が見えるまで次の発射は一時中断するよ。」
少し安堵の表情が見えるタカハシであったが、現れたものを見て戦慄を覚えた。
それはキラキラと輝くゴーレムの成れの果て。砂が高熱に熱せられたことでガラス化し、萎んだ風船のようになったゴーレムがそこに現れたのだった。しかし、それは瓶のように中が空洞化している。
と、そこでウェルがタカハシの袖を引いた。
ウェルが指さす方向はドワーフの砲撃隊がいた防衛陣地付近だった。砲撃準備を終え、待機していたドワーフたちの背後に、突如として砂嵐が発生していた。それは、生き物のように散開していた突撃隊をも飲みこみ、暴発したのか発砲音なども聞こえてくる。
再び、ゴーレムの成れの果てをよく観察してみると、その足元には巨大な穴がぽっかりと開いていた。どうやら、ゴーレムの本体は地中を移動していったようだ。
「クソっ!!砂を溶かせばガラス化して、砕けると思ったのにっ!!こんな事に……」
「大丈夫。ドワーフたちは砂何かには負けないから。」
項垂れるタカハシをウェルは励ましながら、2人は砂嵐の元へと向かって行った。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
※次回の更新は11/27を予定しております。




