72、ダイヤ奮戦
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よし。これで100体目か……なかなか順調のようだわ。魔族といってもそこまで強力な者も少ないようだ。この【隠形】というスキル、ギルをはじめとするヤサカ家の秘伝技術であったと思っていたが、そうではないらしいわ。気配を消したり、探るスキルの延長線上にこんなスキルがあるだなんてね。
これなら、何体相手でも問題ない……おっと、この考えがヤバいんだったわ。ユウマのヤツも言ってたわね。〝スニークミッション”は慢心したヤツから死んでいく……私はただこの3日間、生き延びるだけでいい。そして3日目が過ぎようとしている。それ以外を考えちゃダメだわ。
私は、再度、【隠形】を使い、周囲の魔族を探っていく。どうやら多くは港の方へ集まっている。内陸には羽の生えてない魔族しかいないようだ。単独行動をしている魔族を1体ずつ片づけていく。背後から忍び寄り、一刀の元に斬り殺していく。心臓部分にある魔核結晶を奪ってくる。それをただただ坦々とこなしていく。すでに作業と化していたが、なぜか心は無心になっていた。いや、なぜか、昔の事を考えていた。
私はアルジー・ヤマダ・シャーロンの3男として生まれた。母は私が生まれて間もなく亡くなったらしい。侯爵家の長女で、身体が弱かったらしい。そのせいもあるのか周囲からは誉めそやされて育った。私のやることに文句をつける者すらいなかった。幼い頃から英才教育を受け、たまたま剣を使うことが人よりも上手かった。さらに、周りの教える者も一流だった。騎士団長。有名剣術道場の師範。名うての剣豪。しかし、私は少し習うだけでその者たちの技術を吸収していった。それが10代前半の時の事だ。
最初はチヤホヤしていた者たち。兵士たちを打ち倒したり、魔物狩りで獲物を仕留めた時などは、常に喝采を受けていた。しかし、それら取り巻きの顔から余裕が消えていった。王子の剣術の域を遥かに上回る技量に、鋭い剣筋に、周囲は恐怖を覚えるようになってきたのだ。そして、私は周囲に腫れ物に触れるかのように扱われていることに気付いてしまったのだ。
そこからの私は何をやるにしても無茶をするようになっていった。変装し、王城を抜け出し、冒険者の真似事をしたり、盗賊団を潰滅に追い込んだり、魔物の巣を駆逐したり……。さらに、剣の腕に磨きがかかり、強くなった気もするが、それはさらに私を孤立させていった。皆が向けてくるのは、恐怖のはらんだ視線のみ。誰も私自身を見てくれる者はいなかった。すり寄って来る者は、私が持つ権力や剣の腕しかみていなかった。
気を引くために、女言葉を使ってみた。それでも、周囲は何の反応も示さなかった。父親でさえ……。叱り飛ばされると思っていた。勘当される覚悟もしていた。しかし、何もなかったのだ。それ以来、私は奔放に振舞うことに決めたのだ。その頃に、同じく一族のはみ出し者であるギルやミソノとつるむようになっていった。特にやりたい事もないまま、気ままに過ごしていたのだ。
どこかで自分にぶつかってくれる者を待っていたのかもしれない。そして、私はユウマと出会ったのだ……。
「おい!荷物運びもできないのかっ!!ちっ!!どこ行きやがったっ!!」
ふいに声が上がり、私の意識は現実に引き戻されていく。どうやら私が仕留めた魔族が戻らないことで他の魔族たちが騒ぎ出したようだ。
そろそろ、場所を変えてないとマズいわね。ん!?視線!?おかしいわね。【隠形】は問題なく発動しているはず……。あ、やっぱり、私を見ている。この視線は何!?
シュッ トトトトン
私が咄嗟に避けた場所には30cmほどの長さの針が数本、地面に突き刺さっていた。確実に私を狙った攻撃。でも、いったいどこから?私が考えながらも必死にその場から走っていた。通常ならば追いつくことも不可能なほどのスピードが出ているはずだった。しかし、気持ち悪い視線がずっと纏わりついてくる。
凶悪な魔力というほどではない。でも、気味の悪い魔力だった。そして、時折、飛針による攻撃が来る。周囲には他の魔族の気配はない。あるのは気味の悪い魔力を纏った気配のみ。やるか……。
私は死角の多い雑木林に誘い込んでから立ち止まった。
「そろそろ追いかけっこは飽きてきたんだけど。」
私はついてくる気配に向かって声をかけた。薄暗い雑木林がサワサワと風になっている。向こうからの反応はない。
「だんまり?ま、それでも私はいいんだけど……ねっ!!」
私は、気配に【威圧】を放った。これも、ユウマから教え込まれた技術だった。しかし、これも無反応。威圧を受けたことによる揺らぎも見られない。
「何者だ。人間。魔王様のお膝元で何をしている。」
ようやく向こうから反応があった。掠れたような低くよく通る声だった。雑木林の影が揺らめき、少しずつ輪郭がはっきりとしてきた。2mほどの体躯。見た目は人間のそれと変わらない。しかし、決定的に違ったのは長い尾を持っている事だった。その尾は蛇の様な鱗が鈍く輝きながらチロチロと動いている。
「ちょっと遠足に来てるのよ。あんたらの王様は引っ越しするらしいじゃない。」
「なぜそれを……。いや、下級魔族どもから聞き出したか。ならもう聞くことはない。死ね。」
尾を持つ魔族が私に肉薄して来た。素手ながら、その爪は鋭く輝いている。私はすんでの所でその爪を躱した。
ギュウゥゥ……
しかし、避けた瞬間、私の首を何かが締め付ける。見ると、例の尾だった。あの爪は囮といったところか……。
私も手に光の剣を作り出し、尾を断ち切ろうと逆袈裟に斬り上げる。
ギィィィン……
手には強い衝撃が走り、尾の鱗に光の剣が弾かれる。これは魔力で作った刃、物理的な防御などほとんど無効化するはずなのに……。そうか。あの鱗は魔力的な何かなのか……。
ギリギリリ……
なおも強く締め付ける尾。しかし、尾の一部の鱗が少し欠けている部分を見つけることができた。
スパンっ!!
再び切り上げた光の剣、今度は尾を断ち切ることに成功した。思わず喉をさする。喉には魔力でできた鱗がいくつも突き刺さっているようだ。これは……麻痺毒か!?
光の剣を振るい、その衝撃波が尾の魔族を襲う。と同時に距離を取り、慣れない光魔法を唱える。
「『癒しの光』」
喉に突き刺さっていた鱗がハラハラと抜け落ち、粒子となり消え去る。
衝撃波が襲った場所は木々が薙ぎ倒されている。しかし、これで死ぬような魔族ではないだろう。気配を探っていく。土煙が上がり、視界はあまりよくはない。しかし、あの切断された尾から漏れた血と魔力を辿れば、居場所を突き止めることはそこまで困難な事ではない。
私は、おもむろに、地面に光の剣を突き立てる。そして、魔力を込めていく。
「『聖雷の槍』」
「ぐあぁぁぁっっ!!!」
断末魔と共に、地面から光の槍に串刺しにされた尾の魔族が飛び出してくる。
ドサッ
魔族は地面に落ちるとしばらく宙を掻くようにもがいていたが、動かなくなっていった。
私は最後に魔族の頭を落とすと、心臓に剣を突き立て、魔核結晶を取り出した。
「今のヤツはヤバイわね。あんなのと一対多なんてゾッとするわ。そろそろ、拠点に戻ったほうがよさそうね。」
私は黒く輝く魔核結晶を懐に入れると、辺りを見回し、拠点へと急いだ。
しばらく走ると巨大な岩山が見えてきた。ベルガ島の港の真逆の北西部に位置する岩山だ。島の中央にある魔王城からも離れている。ここに私たちの拠点があるらしいのだ。らしい、というのはここへ着いた時には何もなかったからだ。そして、この3日間、私はこの拠点に戻っていなかった。
この3日は不眠不休で魔族を殺し続けていたのだ。以前なら、そんなことをすれば、睡眠不足や疲労で動けなくなっていたはずだ。しかし、あの特訓以降、睡眠や疲労というものをあまり感じなくなっている。これは良い事なのか、悪い事なのかは解らない。しかし、実際眠さや疲れを感じないのだ。私はアンデッドにでもなってしまったのだろうか……。
そんなことを考えながら、岩山に近づくと、不意にチカチカと合図のような光が光った。そこへと向かうと、1人の人影が立っていた。警戒を解かずに近づくとそこには見知った顔であった。
「ダイヤか。もう皆集まってるぞ。お前が最後だ。またお前のカマ言葉を聞くことになると思うと気が重ぇよ!」
軽口を叩くのはギルであった。昔は気に食わなかったその口調が、今は何故か懐かしく思えた。
「うるさいわよっ!!最後まで魔族を狩って来たんだか労いの言葉もないのかしら。」
言葉ではきつく当たっているが口元には薄い笑みが浮かんでくる。それを見たギルも微笑しながら、岩の窪みに何かをはめ込んだ。すると、音もなくぽっかりと穴が姿を現した。
「とりあえず、中へ入れ。労いの言葉は中に入ってからだ。俺は言わねぇけどな。」
軽口を叩くギルの後について行く。岩をくり抜いた通路が続いている。10mほどの細い通路の先には重厚な扉が1つ。ギルが近づくと私たちを迎えるように扉が開いた。
「よう!無事だったようだな。ダイヤ。早速で悪いが、今からこの3日間の成果報告をしてもらうからな。」
笑顔でユウマが待っていた。岩山をくり抜いたとは思えない王城の応接間の様な部屋に、ユウマを筆頭に皆がソファに腰を掛けていた。
そして、私は目を疑った。
ソファの前に置かれた大き目のローテーブルの上に山積みになっている物に目を奪われたのだ。キラキラと輝く宝石のような物の山。それはすべて魔核結晶だったのだ。
「あ……あの魔核結晶って、もしかすると……」
私は恐る恐るユウマを見る。するとユウマはニヤニヤした顔で口を開く。
「ああ。あれはここにいるメンバーたちが倒した魔族たちの魔核結晶だ。ほれ、ダイヤの分もこれに足せよ。最後まで粘ってたんだ。さぞいっぱい持ってるんだろ?」
嫌な事を聞いてくる奴だ。こんな山を見た後など、私の狩った魔核結晶など雀の涙にすぎない。それでも、背負っていた背嚢から魔核結晶を出していく。全部で150個はあるだろうか。そして、最後に尾の魔族の魔核結晶を取り出した。
「おっ!さすがダイヤだな。上級魔族も狩ったのか。『英特部隊』の中じゃ、お前が唯一ってところか。」
ユウマは嬉しそうに尾の魔族の魔核結晶を受け取ると、手の中でいじっている。どうやら、ほかのメンバーはきれいなエメラルドのような下級魔族の魔核結晶しか手に入れることができなかったらしい。
「俺とアイリ、それからテトとラスタバンは上級魔族とやりあったが、結構強い相手だったからな。ダイヤも無事で何よりだ。」
「結構強いどころじゃないわよっ!!数人で来られたらやばかったわよ!!本当にあんたたちは規格外というか、なんというか……」
私がユウマに理不尽な物言いに食って掛かる。
「わらわとて、ユウマ様と一緒にされては困るぞ?規格外なのはユウマ様のみじゃ。ほれ、ユウマ様。ダイヤに見せてやれい。お主が狩った魔族の魔核結晶とやらを……」
ラスタバンに促され、苦笑しながら、ユウマは空中に手を探るように動かした。すると、パラパラときらめく宝石が落ちてくる。それはとどまることを知らず、たちまち地面に小さな宝石の山が築かれていく。
「「「「なっ!?」」」」
声を出したのは私、ギル、ミソノ、そしてブブランだった。それは無理のないことだろう。そのすべてが黒く輝く上級魔族の魔核結晶であり、その他にも紫色の禍々しい魔力をまとった物もいくつかある。それらは当然、上級以上の魔族のものだろう。
「まぁ、このくらいやっとかないとシャール王国が攻められるらしいからな。それから、この魔核結晶、これだけあれば大丈夫そうか?」
ユウマは苦笑いを浮かべながら魔核結晶の山を後ろに控えていた勇者タカハシとウェルに見せる。
「あははは……本当にすごい量だね。たぶん大丈夫だと思うよ。これだけの保有魔力があればなんとかなるよ。」
「今、『絡繰り術』で調べたら魔力は50万以上は軽くあるから問題なし。この岩山の部屋作るのに1万くらいだからかなりの物が作れる。」
勇者タカハシはニヤニヤと、ウェルは無表情でVサインを作っている。ん?何をするつもりなの?
「あぁ、ダイヤは一番最後だから知らないのは仕方ねぇよな。これですっげぇもんができるんだってよ。でかくて強くてかっこいい物らしいぜ!」
「わ、訳わからない事言わないでよ!」
ギルが頭の悪い説明をしてくるが全く何か伝わらない。
「それより、ユウマさん。マールさんはいいの?ずっと一人で見てるんでしょ?」
ん?何の話だ?見てる?何かを見ている?どういうこと?
「まぁ、せっかく集まったんだからマールの所へ皆で行こうか。ウェル、案内してくれ。」
ユウマがそういうと、ウェルは頷き、腰に提げた鍵のような物を部屋の奥にある壁に挿し込んだ。すると、また音もなくポッカリと下へと続く階段が現れる。この『絡繰り術』ってスキル、本当に謎だわ。これがあれば秘密の地下室や抜け穴なんてものがいろんなところに作れちゃうわ。これがドワーフ族の秘術ってこと!?
ウェルが降りて行った階段の先は通路になっていて、左右には鉄格子が嵌められた部屋が並んでいた。といっても誰かが囚われているわけではない無人の牢獄。しかし、一番突き当りには鉄製の扉が設えてあった。
扉を開けると、マールがソファに座っていた。そして、鉄格子があり、その向こう側で3人の魔族が鎖によって繋がれていた。しかし、魔族たちの目はどこか虚ろだった。
「あら。皆で来ちゃったの?ここはそんなに面白い所でもないのに。」
マールが特に気にする様子もなく、私たちを出迎える。
「こんな所で見張りを任せてすまなかったな。マール。で、ダイヤも帰って来たからこの3日間の事を整理しようと思ってな。で、せっかくゲストもいることだし、聞きたい事がすぐ聞けるこの場所がいいかと思ってな。まぁ、皆座ってくれよ。」
ユウマはこれまでの事情を放し、宙からソファを取り出す。なんでもインベントリとかいうスキルらしいが、便利すぎるわ……それに、何がどれだけ入ってんのよ!!
一同がソファに腰を掛け、ようやく私は一息つけた気がした。
「はぁ、とにかくこの3日間、気を抜けずに寝てもないんだから、どういう事なのか説明してよね。それからこの魔族は何なのよ!明らかに上級以上な魔族でしょうに!!」
これまでの疲れが座ったとたんに溢れだしたようだ。このまま眠ってしまいたい。だが、ここは魔王が住まう島、ベルガ島だということを思い出してなんとか堪えることに成功する。
「へぇ、ダイヤも寝なくても大丈夫だったの!?へへーん♪実はボクもなのさ。集中してるとどこまでも寝ないで頑張れたよ。ちょっと病気かもって思うくらいさ。」
「そうか。ダイヤもミコトもか。私だけではなかったのだな。何か人の枠を超えてしまったようで恐ろしくもあったが、これまでの出来事を考えると、そうも言ってられんからな。」
「くっ……俺だけかと思ってたのに、お前らもだったのかよっ!!あの特訓受けたら全員、そうなる感じかよ!」
意外なところに他の『英特部隊』の連中が食いついてきた。ちっ、私だけ特別じゃなかったのね。
「それはね。皆が仙人の域に入ったからよ。まぁ、私のようなハイエルフや竜人は元から特別だったけど、人がレベル15以上になると仙人への階梯を上っていくの。そうなるとまず、生理的欲求である睡眠欲・食欲・排泄欲がある程度コントロールできるようになるの。恐らく、皆さんは今、この段階ね。これからもっとすごいことになっていくんだけど……まぁ、それは追々話していってあげるね。」
アイリとかいうエルフ……ハイエルフだったんだな。
なんか改めてすごい連中だわ。あ、アイリと目が合った……うっ、なんだ。この慈悲深いのに重圧がかかって来る……。たぶん、いや、絶対勝てないだろう。目の前にはただ微笑んでいるハイエルフの少女がいるだけなのに、絶対逆らってはいけないオーラを感じる……これからは、き、気をつけよう。
「なら、とりあえず、紹介しとくわね。」
マールとかいう半樹精が、空気を察したのか真ん中にいる魔族を指さす。
「えーと、魔王軍三魔将?だっけ……そのゾディアナさんです。」
真ん中の鎖につながれていたのは額から禍々しい角と純白の翼を2対生やした美女だった。
†††
ダイヤが帰って来る10時間ほど前、血で血を洗う激闘が繰り広げられていた……。
「どうやら妾を本気で怒らせたようだの。我が配下をよくも……よくもっ!!」
大気が震えるような魔力が周囲にまき散らされる。それにより地面に倒れていた大蛇の下半身を持つ魔族の遺骸が吹き飛ばされる。
「いやいや、お前の魔力で元お仲間たちが吹き飛んでるぞ?」
ユウマは吹き飛んでいく遺骸を指さして冷静にツッコむ。
「うるさいっ!!楽に死ねると思うなよっ!!手足を捥いでから少しずつ肉を削いでやるわっ!!」
怒りに身を震わせながら、ゾディアナは口から漆黒の火球を吐き出した。
ユウマは咄嗟に避けたが、後ろに転がっていた巨大な象の顔をした魔族の遺骸にぶち当たると、胴体にポッカリと穴を開けてしまう。
「くっ!!バッケンまでもやられたか……死ねぇぇぇぇっ!!」
ゾディアナの手には巨大な鎌が握られ、ザンッ ザンッ っとユウマの首筋を寸分違わぬ精度で斬りつけていく。
キィン キィン キィィィンっ!!
一方、ユウマは魔力を纏わせた魔鋼糸で作った棒で4合、5合と打ち合う。しかし、次第に打ち合いはユウマが有利に傾いていく。というのも、魔鋼糸で作った棒は時に鞭のようにしなり、ゾディアナの死角から攻めたてる。
ガキィィンっ!!
そして、ついにゾディアナの持っていた鎌が大きく飛ばされる。さらに、魔鋼糸を幾本もゾディアナに襲い掛かる。しかし、漆黒の竜巻がゾディアナを中心に吹き荒れる。風圧により、ユウマの放った魔鋼糸が吹き飛ばされる。
「妾は、前魔王ルシフェルの娘っ!!ゾディアナであるぞっ!!」
怒号と共に、ゾディアナの両手から再び漆黒の竜巻がユウマに襲い掛かる。
「ぐはぁぁぁっ!!」
苦しみの声を上げるユウマ。黒い竜巻に血飛沫が混じり、赤黒く渦巻く。
「ふはははははっ!!さぁ、苦しめっ!!体中の血を絞り尽してくれようっ!!」
ゾディアナは更に巨大な竜巻を作り出し、それはすっぽりとユウマを飲みこんだ。
「で、誰の血を絞り尽すんだって?」
急に背後からに囁かれ、ゾディアナは目を見開いて振り向いた。すると、そこには漆黒の竜巻に飲みこまれているはずのユウマがニヤリと笑っていた。
「なっ!?なぜお前がっ!!」
「それは後でゆっくりと説明してやる。お休み。」
ユウマはそういうと、ゾディアナの首筋に手刀を落とす。
「かはっ……」
ゾディアナの目が反転し、力なく倒れ込んだ。
ユウマはそれを抱え、拠点へと帰って……いや、倒れている魔族の魔核結晶を回収してから帰って行った。
ダイヤが帰って来る10時間ほど前、血で血を洗う激闘が繰り広げられていた……気がする。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
※次回の更新は10/13を予定しております。




