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71、パワーレベリング

ブックマーク登録400件突破!!

気付けば、総合PV数が26万を突破……

ユニークアクセス数が3万を越えておりました……

あははは……これは夢を見ているのでしょうか……

皆様、ありがとうございます。嬉しすぎて涙が出そうです。

今後ともよろしくお願いいたします。

 †



 さて……一口にパワーレベリングといっても亜空間でできるものなのか……。この空間は特殊な空間だ。一度作り出してしまうと、外部からの接触ができない……はずだ。まぁ、魔王の件は、例外と考えていいだろう……ん?いや、できるのか?外部的な接触ができるなら……。


 俺は亜空間の外側を意識していく。亜空間を作るのと同様に、魔力を込めて意識をドンドンと広げていく。なにか靄がかかったようだが、魔力が外側に広がっているのが解る。さらに、俺の目に魔力を移し、さらに魔力を上げていく。すると、スーッと視界がクリアになっていく。外の状況が見えるのだ。おぉ!!やればできるもんだ。


 シャーロンの王城が見えてくる。さらに城下町……視点がどんどんと上昇し、鳥瞰図のようにシャーロンを俯瞰した姿が見えてくる。しかし、どの生き物も止まっている。まるでGo〇gl〇で地図を見たような感じだ。その視点も思うままに変えることが出来る。うん、このまま眺めていても飽きないんだが、やることをやってしまおうか。


 お、いたいた。今度はコレを俺の亜空間に取り込めるかどうかだな。要領は眷属召喚のようなイメージでいいかな。引き寄せる……この亜空間に放り込む……召喚する……できるか!?おっ……おっ……おっ……来た来た来たっ!!


 視点を亜空間に戻すと、目の前に赤く輝く円が目の前に出現していた。そして、真っ赤な粒子が次第にシルエットをかたどっていく。醜悪な顔、深緑色の肌、手には粗末な武器を持つ人型の魔物。そう。ファンタジー界の代表魔物、ゴブリンだ。


「よし!!タカハシさん、ウェル。これから魔物を召喚していくからドンドン倒していってくれ。」

 俺は、胸を張って、召喚されたゴブリンをよく見てみる。あ……ちょっと違和感が……。


「ちょっ!ちょっとっ!!あ、アリムラさんっ!!これって本当に、ゴブリンなんですかっ!!」

「そ、そうですっ!!ユウマさんっ!!こんなゴブリン見た事ないっ!!5m以上(・・・・)あるゴブリンなんてっ!!!」

 あ、やっぱりタカハシもウェルもそんなリアクションするよな。でも、村襲ってたしなぁ……騎士団みたいな人たちが対応してたけど、被害出てたし……これも人助けってことで。


「こいつは『ジャイアントゴブリン』。下手したらドラゴンとかと同等の力がある。ま、情報はこれくらいで……。さっそく2人でやってみようか。」

 あぁ……完全に2人とも顔が引き攣っているけど、ま、大丈夫だろう。無理そうなら俺が何とかすればいいし……。おっ!タカハシがハンドガンを構えたな。ウェルは……どうする?


「ウェルさん!ここは私がやってみます。銃器の力を見せてやりますよ!」

 ここがどこかとキョロキョロしているジャイアントゴブリンに向けて、ハンドガンを撃ち始める。


 ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!!


 的が大きいからか、全弾命中したようだ。しかし、身体がデカイだけあって、あまり効いたような様子はない。ジャイアントゴブリンにしたら針に刺されたような物だろう。


「ちっ!!なら、今度はこれでっ!!」

 今度はアサルトライフルを構える。


 ダダダァアン!!  ダダダダダダダダダダダダァアン!! シュポンっ!! ドガァーーーンっ!!


 轟音が響く。辺りには肉片が飛び散り、ジャイアントゴブリンの首から上は吹き飛んでいた。タカハシは、アサルトライフルをジャイアントゴブリンの頭部を集中的に弾を集め、すでに頭はハチの巣状態であったのだが、ダメ押しのグレネードランチャーが首元で弾け、このような惨状となったようだ。


「や、やった!やったよ!!ウェルさん。あれ?なんか頭の中でピロピロ鳴ってる……」


 どうやら、タカハシの方は今回の戦闘でレベルアップしたようだ。だが、問題はウェルだよな。彼女には、攻撃的な魔法やスキルがない。どうやって魔物の相手をさせるべきか……。……ん?ウェルの方を見ると、何やら、じっとタカハシの持つ銃器を見つめている。そして、手に魔力を集め、『絡繰り術』を発動させているようだ。

 何やら、光り輝く数式のような物がウェルの周囲に渦巻いている。それが次第に、ウェルの手の中に集まり、見たことのあるシルエットを形成していく。『ハンドガン』だ。それもタカハシが使っていたモノと全く同じ物のようだ。


「できた!これで、私も戦える。たぶんだけど『あさるとらいふる』も作れると思う。」

 そういって、再び『絡繰り術』で同じようにアサルトライフルを複製してしまう。


「おおぉぉぉ!!ウェルさん!すごいです。どこをどう見ても、M5カービンと、SIG HYPER

ですよ!!僕と同様、ウェルさんも銃器を作れるなんて、すごいですねっ!!」

 テンションの上がったタカハシがウェルの手を取ってブンブンと握手をしている。ウェルも何だか照れたような表情で、少し俯いているようだ。


「よーし!ウェルも銃器を作れるようになったことだし、バンバン魔物を出していくからな。」

「うん。ユウマさん。任せて!撃ち方は大体解ってる。後は反復練習のみ!」

 ウェルが親指を立てて返事をする。なかなかノリノリみたいだ。タカハシも同様に、アサルトライフルを構え、準備万端のようだ。



 ◆◇◆◇



 この日、エンヴィー大陸の至る所で、奇怪な事件が多発することになる。いや、中には奇跡という者もいた――――。


 まず例に挙げるとすると、シャール王国の南東部にある辺境の街に、突如として巨大なゴブリンが現れ、街を破壊する。駐屯していた騎士団も応戦するが、全く刃が立たず、潰滅を覚悟したという。しかし、突然、赤い光に包まれて、巨大ゴブリンは掻き消えてしまったのだとか。

 場所は変わって、異常繁殖した体長2mの巨大アリの大群が迫るビザンツ帝国南部の街では、軍隊が陣を敷き、迎え討とうとするその時、赤い光の包まれ、やはり掻き消えてしまった。はたまた、エンヴィー大陸北部の小国では、空から飛来して来た皮膜を持つ者たちの襲撃を受けていた。都市部は大きな被害を受けており、兵士たちも奮戦も虚しく、陥落寸前となっていた。しかし、ここでも赤い光が突然輝いたかと思うと、皮膜を持つ者たちはいつの間にかいなくなっていたのだという。


 この他にも、様々な噂や憶測が飛び交うが、一つだけ言えることがある。それは、大勢の人々が窮地を脱することが出来たということだ。


『オラ、ビックリしただ。あれは、南東の方角が突然、赤く光っただ。今にも、オラたちに襲い掛かって来そうな、どでけーゴブリンが、あっちゅーまに、いなくなってただよ。』


『はっ!我が軍は、敵性対象と交戦状態に入りうる状況でありました!!小官も命を捨てる覚悟で突撃していた最中でありましたっ!!突如、対象が消失したことで、今の小官があると言えるであります!!い、いや……正直、あんな巨大アリに勝てるわけないと思ってたし……いやぁ、マジ助かったッス。』


『あれは、絶対神フィーネリア様の慈悲の光。さぁ、皆さん。今こそ祈ろうではありませんか。感謝の祈りを捧げましょう!!』


 このような証言が、次々と報告されたのだとか……

 その原因が誰であったのか、人々は知る由もなかった。



 ◆◇◆◇



 よし、これでそろそろ特訓をぶっ続けて1週間ほどになるか……。皆の動きやスキルも目に見えて向上しているように思える。そして、やはり『英特部隊』の4人とタカハシ、ウェルの伸びが凄まじい。スキルの吸収は俺が【教育者】のスキルを発動させていることもあるのだろうが、すでに、俺に匹敵するほどの腕前になっている。それに、タカハシさんのレベルもヤバい事になっていた。


――――――――――――

■ステータス

名前/タカハシ・ハルト

Lv.11

種族/人間   年齢/26歳  職業/勇者

HP  4850/4850

MP  3850/3850

腕力   2300

体力   3200

敏捷度  1850

器用度  2050

知力   2800

精神力  3500

加護:神祖(しんそ)の加護

称号:異世界勇者 ミリオタ

装備:M5カービン ボディアーマー SIG HYPER

スキル

-Exスキル【勇者補正】【起源魔法】【機甲魔法】

-ユニークスキル【看破】【幸運】【隠形】

-スキル

【射撃術/Aランク】【剣術/Aランク】【体術/Aランク】【戦術/Cランク】【投擲術/Bランク】

――――――――――――


 さすが、勇者補正といったところだろう。すでに、人間の域を超えた強さになっている。あー、それを言うと俺はどうなるんだとか言われそうだが、そこは華麗にスルーしておこう。


 亜空間の外では、時間経過が全くない。ただ、精神披露がとんでもないことになる。例え、しっかりと休んで普通に生活していたとしても、亜空間に居続ける事自体、1週間が限界だとか……。かつて、この亜空間を習得した時に、シラユキやアイリの父、グランディアさんに言われたことを思い出していた。これ以上、この亜空間にいるとどうなるか。当時、気になって聞いてみたが、グランディアさんは、目をサッと逸らして説明してくれなかった。どうやら、とんでもないことになるんだろう。


「皆、聞いてくれっ!!この1週間、この厳しい特訓に良く耐えてくれた。ただ、あと3日間。亜空間の外で特訓してもらう。ま、そのうち1日は何もせずにゆっくり休んでもらうだけだがな……。」

 俺は、亜空間での特訓の終了を告げる。特に、『英特部隊』の問題児3人の面構えが変わっている。以前の太々しさが無くなり、どこか憑き物が落ちたような顔になっている。ま、これでブブランさんの負担は減るだろうな。それに、ウェルとタカハシも自信を満ちた顔をしている。あれだけ魔物たちと死闘を繰り広げたからな。


「ユウマさん。それで、これからの3日間はどこで特訓するんです?」

 アイリはケロっとした顔で質問してくる。俺との手合せを含め、かなり大変だったはずだけどな……。なぜか、涼しい顔で全てをこなしていく。


「あ、ああ。これからの特訓場所はベルガ島で行うっ!!」

 そうなのだ。ここからの特訓は攻略目的地、魔王の拠点、ベルガ島で行うのだ。


『ベルガ島っ!?!?』

 うんうん。皆、驚いているな。想像通りのリアクションだな。


「お、おい!マジかよっ!!ベルガ島って!!マジかよっ!!」

 おおい、ギル。ボキャブラリーがなさすぎるぞ……


「で、でも、あのとんでもない魔王がいるところにどうやって行くのさっ!!」

 ミソノ……やっぱりミコトの子孫か。語尾にキャラ付けの気配がある。

「あ、何か変な事考えてる顔してるのさ……」

 ぶーっと頬を膨らませる。うん、女版ミコトだな。完全に……


「まぁ、俺には亜空間の力を使った転移。所謂、瞬間移動ってヤツができる……はずだ。」

 実は、これまで機会がなくてやったことがないのだが。

「はずだって!!失敗したら〝*石の中にいる*”とかにならないんですか。アリムラさん。」

 このネタ、確か、『魔術』シリーズの……って、これ解るのタカハシのみじゃん!

「い、いや。大丈夫なはずだ。俺、皆が特訓頑張ってる時、一回行ってるし……ベルガ島。」


『はぁっ!?』

 ま、まぁ、そのリアクションは甘んじて受けよう。

「でも、すぐ帰って来たから。ね?だから、そんな目で見ないで。いや、見ないでください。アイリさん。」

 とんでもない殺気を込めた視線がアイリから飛んでくる。いや、テト、ラスタバン、ウェルからも……。後の視線は、〝何やってんだ、この人”的なものが俺に突き刺さる。


「ユウマさん。1人で勝手に言ったことについては、もう何も言いません。ええ。何も言いませんよ。」

 あわわわ、あ、アイリさん……なぜ、そんなにいい笑顔でシャドーボクシングしてるの?まずは、話せばわかる……話せヴァファッ……


 **しばらくお待ちください**


「えー、ごほん。これからやってもらうのはステルスミッション。そのために皆に【隠形】スキルを覚えてもらったからな。目標は3日間、見つからずに過ごす事。できれば、魔族の数を減らす。ま、こんなところだ。」

 ふぅ。ようやくアイリが話を聞く体勢に入ってくれてなによりだ。まだ、体の至る所に痛みがあるが、問題ないだろう。


「え、えーとだな。ユウマ様。ボロ雑巾のような姿で説明されても、全く内容が頭に入ってこないのだが、とりあえず、無茶苦茶な3日間だということは理解したぞ。」

 テトは、呆れたような顔でそう言う。なら、ボロ雑巾になる前に、止めてほしかったが……


「あ、アリムラさん?確かに、【隠形】は覚えましたが、向こうにはあの魔王がいるんでしょ?見つかってしまうんじゃ……」

 タカハシはまだ不安そうな顔をしているな。


「そこは心配しなくていい。見つかるとしても魔王だけだろうからな。」

「い、いや、その魔王に一番見つかりたくないんですけど。」

「ん?そうか……一応、魔王には確認しておきたいことがあるし、この間、声だけ乱入されたこともある。見つかったら俺が何とかするから。」

 そう言った瞬間、再びあの殺気が放たれた。


「ユウマさん?クロウくんのことを自分だけでなんとかするのはおかしいんじゃないですか?先ほど、あれだけO-HA-NA-SHIしたのにね。もう一度しますか?」

 どわわ……アイリの目が赤く光ったような気がする……。

「あ、アイリ様、そ、それはもういいじゃろう。クロウ殿のことは、わらわも気になるのでな。わらわも手伝うぞ?」

「もちろん、私もよ。クロウちゃんのこと心配だもの。」

「ユウマ様!テトももちろんお供するぞ!」

「わ、私も……」

 皆が、アイリをフォローしてくれる。

「あ、ありがとう……皆。なら、クロ子には皆で説教だな。でも、わざと見つかるようなことはしないようにな。」


『了解!!』



 †



 ベルガ島唯一の港に、巨大な船が埋め尽くされている。全長100mを超える威容。そこには、魔族たちが忙しなく荷物の積み込みに動き回っている。さらに、港の海中には巨大な海洋性の魔物が数頭みられる。

 この海域を超えるには、これらの魔物に船を牽引してもらわなければ、出ることが出来ないからだ。誤って海に落ちた魔族は、この魔物のエサになっているが、周りの魔族は気にする様子もない。


「急いでやれっ!!もたもたするなっ!!明日には出港準備を完了するのだっ!!」


 一人の巨大な魔族が、作業をしている魔族に声を上げる。


 魔族の多くは皮膜の翼を持ち、空を飛行することが可能である。しかし、拠点を変えるために多くの物資を移動させる必要があるのだ。そのため、運搬に大量の船を使わなければならず、皮膜を持たない、下級魔族たちがその積み込み作業に勤しんでいる。魔王による命令は絶対であり、それに反対する者は皆無なのだ。


 そして、一方では、武装した一団がある。魔王軍三魔将の1人、ゾディアナ率いる駆逐隊である。魔族の中の精鋭を集め、一気にシャール王国を攻め滅ぼそうと500体もの屈強な魔族たちが、ゾディアナの前で跪いている。


「よいかっ!!妾たちは魔王様のご期待に応えるため、明日、シャール王国へ向けて出発する。皆、命を懸けて臨むように!!」

『はっ!!ゾディアナ様っ!!御心のままに!!』


 士気は高く維持されている。その威容にゾディアナは一定の満足感を得ていた。しかし、もう少し集まると思っていたのが少し不満でもあった。拠点移動に伴い、ゾディアナ麾下全てを攻略に当てるわけにはいかない。すでに、昨日の内にラース大陸の先遣隊として出発している。


「ゾディアナ様っ!!ゾディアナ様ーっ!!」


 そんな折、一体の魔族が駈け込んで来る。そのあまりに場違いの声に、周囲の屈強な魔族があっさりと抑えつける。


「無礼者がっ!!これ以上、姫に近づくなっ!!」

 下半身が大蛇、背から皮膜の羽を持つ魔族がその強靭な尾で締め上げながら、そう言う。


「も、申し訳ありません。緊急事態です!!」

 拘束された魔族が、呻き声を上げながらもそれだけを言うと、ゾディアナが片手を上げて、拘束を解くように合図を送る。それにより、ようやく解放された魔族は、改めてゾディアナの前で跪く。


「よい。話してみよ。」

 ゾディアナの冷たい声が響く。


「は、はっ!!今回、駆逐隊に志願しておりましたジグルド隊50名との連絡がつきません。」

 ジグルド、ゾディアナ麾下の中でも比較的若い魔族の隊長であった。


「ふん!!あの若造め。人間ごときに怯えて逃げたかっ!!そのような奴は放っておけっ!!」

 象の様な顔に、巨大な人の身体を持つ魔族が言い放つ。ゾディアナのすぐそばに控えていた魔族だ。


「バッケン。よい。で、報告はそれだけか?」

 象の顔の魔族バッケンを抑えて、ゾディアナが尋ねる。


「い、いえ。それだけではありません。ズーラ隊30名が行方不明となっており、他にも下級魔族たちも消えてしまい、ゾディアナ様の麾下だけでなく、魔王軍全体の一部では混乱が起きております。」

「ほう……。」

 ゾディアナは少し目を細めるだけだった。


「姫っ!進言を宜しいでしょうかっ!!」

 そばに控えていた魔族の1人、一見、人間のように見えるが、蛇の尾を持っている美男子だった。魔王の執事、ズールの息子であるザールであった。


「ザールか……。よいぞ。」

「はっ!!何者かが、このベルガ島に侵入した可能性がございます。このザールめに、その調査をお任せくださいませ。姫。」

 ザールは慇懃に頭を下げる。その姿は貴族もうっとりとするような洗練された所作であった。


「ザールっ!!明日はシャール攻略なのだぞ!いなくなった者などどうでもよいではないかっ!!」

 象の顔の魔族バッケンが声を上げる。手に持っていた盃を握りつぶしていた。


「バッケン。黙れ。」

 再び冷たい声とともに、周囲に魔圧が広がる。

「し、失礼しました。姫。」

 バッケンが慌てて跪く。


「ザールよ。この一件、お主に任せてよいのだな?」

「はっ!!お任せ下さい。」

 ザールは蛇の尾をタシタシと地面を叩きながら再び慇懃に頭を下げる。すると、ザールの背後に、数名の魔族が姿を現す。

「では、これらの我が手の者を使う事をお許しください。」

「よし。許すぞ。」

「ははっ!!ありがとうございます。只今より、調査を始めさせていただきます。」

 ザールは能面のような顔で一礼すると、その瞬間、姿を消す。同じく背後にいた魔族たちも同様に……。


「さぁ。明日のシャール攻略の前祝だ。皆、盃を掲げよ。」

 ゾディアナは何事もないように、盃を掲げる。


「乾杯っ!!」


『乾杯っ!!』


 強烈な魔力がその一団から溢れだしている。その中心はもちろん、ゾディアナであったが、それ以外の者たちも三魔将ゼゼルに匹敵するほどの魔力を内包しているのが解る。




 作業していたとある下級魔族は、その光景を唖然とした表情で荷運びの手を止める。しかし、その魔族は次の瞬間、掻き消えてしまう。


 残ったのは下級魔族の持っていた木箱だけだった。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

※次回の更新は10/10を予定しております。

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