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64、ガラハドレンジャー

 †



 翌日、慌ただしい声で目が覚めた。廊下へ出るとメイドだけでなく、兵士や騎士たちも忙しそうに行き来している。


「何があったんですか?」

 俺は近くにいたメイドに尋ねる。

「いえ、それが……混乱していて、よく解らないんです。でも、敵襲かもしれないと……、あっ、私、急いでますので。」

「あ、ああ、悪い。引き留めて……。」

 メイドは速足でその場から去っていく。にしても、敵襲だって!?ここは王都だろ?そこへ攻めてくるってどういうことだ?


「あっ!!アリムラさん!!おはようございます。なんか大変な状況みたいですね。」

 タカハシが少し困ったような顔をしながら、人混みをかき分けながらやって来た。

「あぁ、タカハシさん。何が起こったか聞いてますか?俺もさっき確認したんですけど、よく解らないと言われて……でも、敵襲の可能性があるかもしれないと……。」

「えっ!?そうなんですか!私は急いでヨハンさんの所へ行くように言われたので今から向かう所なんですが……敵襲ですか……魔王ですかね?」

「どうでしょうか……。まずは俺もヨハンさんの所へ行きましょう。」

 まぁ、気分的には迫られた記憶が新しいヨハンの部屋へ行くなんて嫌なんだけどな……非常事態だから仕方ないか……


 何人かの兵士やメイドにヨハンの部屋を聞きながら、ようやく到着することができた。この城、デカすぎるんだよ!!似たような造りの廊下が多く、知らずに入ると迷ってしまう。ま、防衛上そういう作りにしてるんだろうけど……。


 コンコンッ


「タカハシ・ハルトとアリムラ・ユウマです。お呼びだと聞き参りました。」

 タカハシがノックし、中に声をかける。俺は呼ばれてないんだけどな……

「おぉ、扉は開いている。入ってくれ。」

 中からヨハンの声が聞こえる。

 中に入るとすでに身支度を整えたヨハンが立っていた。

「この騒ぎは何なのですか?兵士の方もバタバタしているようですし……。」

 タカハシがヨハンに詰め寄る。

「い、いや、よく解らないのだ。そ、そうだ!ユウマ殿っ!ユウマ殿だっ!彼に聞けば解るはずなのだっ!!」

「はっ!?どういう事だ?俺は知らないぞ。」

 ヨハンが訳の分からないことを言い出した。

「し、しかしだな……謎の集団がお前の名を出しているのだ。知り合いではないのか?」

「知り合いもなにも、誰がどこへ来ているのかも知らされていないんだぞ?その謎の集団ってのはどこにいるんだ?」

「訓練場だ。多数の竜を引き攣れて居座っておる。今、ナウルたちが対応しておるのだ。」

 で、宰相のヨハンは安全なところに引っ込んでいるという事か。

「あはは……何か解りませんが、とにかく私たちは訓練場に向かいますね。」

「お、おう。勇者様たち、それでは頼むぞ。」

 むぅ……何なんだよ。とりあえず訓練場へ向かえってことだな。でも、俺の名を呼ぶ竜使い?シラユキの知り合いか?



 訓練場は騒然としていた。巨大な竜が4頭、訓練場の中央に陣取っている。そして、その前には5人の人影が見受けられる。それを囲むように騎士や兵士たちが居並ぶ。さらに、それを囲むように建物の屋上からは弓兵が矢をつがえて狙いをつけている。

 

「何がどうなってんだよ。まったく……。」

 俺は愚痴りながら訓練場に入っていく。


『おぉ!!勇者様が来られたぞっ!!』

『おぉぉーーー!!これでドラゴンも撃退出来るっ!』

 

「おぉ!ユウマ殿、ハルト殿っ!よく来てくださいました!」

 ナウルが俺たちに気付く。すでに涙目になっている。いや、苦労人ナウル……きっと厄介事をとりあえず押し付けられたんだろう。

 ナウルの言葉に、竜とその前の5人の人影がビクっと動いた。ん?なんだよ…こいつら……。


 よく見ると5人とも女性のようだ。目と鼻の部分を隠すような仮面をかぶっている。そして、それぞれのイメージカラーなのか赤、青、黄、緑、桃と色分けされた衣装を身に纏っている。戦隊ヒーローかよっ!!


「ゆ、勇者ユウマ様とお見受けしましたっ!!」

 5人のうちの1人の桃色がずずいと前に出てきた。耳が長い、エルフのようだ。え?あれ?

「我ら魔王の暴挙を許せず立ち上がった正義の使者!私は『エルドラピンク』っ!」

「シャール王国に志を共にする勇者が現れたと聞いてやって来た!私は『ハヌマンブルー』っ!」

 えーと、今度は獣人か?あの耳はネコミミか?えーと……

「ユウマ様っ!わらわはいつでも貴方と一緒じゃぞ!わらわは『ヴァースレッド』っ!」

「ちょっと、ちゃんと打ち合わせ通りの口上を言わないとっ!!」

 あ、なんかピンクとレッドが揉めてる……これ、最後まで聞かないといけないパターンか……

「えっと……えっと……私は『タイタスイエロー』です。」

 今度は、ドワーフっ子か。で、『エルドラン』『ハヌマン』『ヴァース』それから『タイタス』ねぇ……もう看破使わなくても大体正体が解って来たけど……

「えー、これ本当に言うのね?『わたしたちのちからをゆうしゃさまにささげます。わたしはガートグリーン』。」

「「「「「5人揃って『ガラハドレンジャー!!』」」」」」


 ドカーン ドカーン ドカーン ドカーン ドカーン!!!


 後ろでそれぞれの色の煙が付いた爆発が起こる。


『おぉ!!爆発だっ!!消火班だっ!!それから水魔術師を呼べ!!』

『攻撃だっ!!攻撃をしてきたぞっ!!』


 うん、そうなるよね。こんな状況だったら……


「あははは……本当に戦隊ヒーローみたいですね。で、あの人たち、アリムラさんのお知り合いですか?」

 目の前の茶番を見て、タカハシが呆れている。

「あー……残念ながら知り合いのようです。面倒な事に巻き込んでしまい申し訳ないです。」

「いえいえ、お知り合いに会えて良かったですね。何だか楽しそうな人たちみたいですし……。」

「お恥ずかしい限りです。とりあえず、このとっ散らかった状況を纏めますんで、もう少し待っててください。」

「あはは……。では、待ってますね。」


 俺は爆発した煙を水魔法で消し、亜空間を発動させる。空間に引き込むのは竜4匹を含め例のガラハドレンジャー5人組だ。


 亜空間作成っ!!


 パっ と眩い光が辺りを包み、白い空間を作り出だす。問題なく作成できたようだ。

 うん、もう気分が悪くなったりはしない。俺はもう大丈夫だ。


 そこには驚いたような表情の5人と竜4匹がいる。


「色々と迷惑をかけたな。アイリ。それからテト、ラスタバン、ウェル、マール……。」

 俺は5人に声をかける。

「な、何の事を言っているのです?わ、我らはガラハドレンジャーでアイリなどでは……」

 アイリが焦って弁解している。

「いやいやいや、ここは俺が作り出した亜空間だから。シャール王国の人には見られてないよ。」

 俺が言うと、アイリの長い耳はみるみるうちに真っ赤になる。そして、付けていた仮面を外す。

「バカっ!早く言ってよ!!これ、ミムラさんの発案なんだけど、かなり恥ずかしかったんだから!!」

 ミムラさんか……なかなか面白い事をやってくれる……覚えておけよ……

「ご、ごめん。それから他の皆もここでは仮面を外してくれて大丈夫だから。それから……後ろの竜たちは?」

「あぁ、この子たちは『ヴァース』のタクシャカ様がつけてくれた護衛たちよ。」

 マールが仮面を外しながら説明してくれる。

「そうか……済まないな。こんな茶番に付き合わせてしまって……。」

 俺は竜たちに頭を下げる。竜たちは大丈夫だと頭はフルフルと横に振る。


「あー……なんだ。こんな形で再会したわ…うわっ!!」

 俺が言葉を続けようとした時、胸に衝撃が走る。気付くと俺の腕の中にはアイリがいた。

「ユウマさん……お帰りなさい。」

 アイリは真っ赤な顔をして俺を見上げ、それだけを絞り出す。10年前とほとんど変わらない姿のアイリがそこにいた。

「ああ……ただいま。アイリ。」


「あーっ!!わらわも!!わらわも行くのじゃっ!!とぅっ!!」

「それじゃ、私も行こうかしら。」

「それなら私が2番手をいただくっ!!」

「えっと…えっと……私も……。」

 それぞれラスタバン、マール、テト、ウェルも俺に抱き付いて来る。


「皆、色々と心配をかけたな。ただいま。」

「ユウマ様!!やっと会えたのじゃっ!!もうどこにも言っては嫌なのじゃっ!」

 ラスタバンが俺の右腕をギュッと抱え込む。さすがに10年の月日はラスタバンを成長させたようだ。主に胸的なものが……でも、年齢的には10代後半に見える。エルフと同様に竜人(ドラゴニアン)も成長が緩やかなのだろう。俺はラスタバンの頭をポンポンと撫でる。


「ユウマくん。サフィーナちゃんとクロウちゃんの事は聞いてるわね?」

 マールは他の4人を後ろから包み込むように優しく抱き付いている。10年が経っても彼女の容姿はほとんど変化はない。20代後半のクールビューティーだ。

「ああ。ラース大陸に向かったんだってな。俺の眷属召喚にも反応がなかった。ベルガ島の魔王ってのに聞いてみる手もあるかと思っている。」

「そう……ガラハド連合国のトップたちもそれに似たような事を考えているみたい。」

「そうか……マールには色々と助けてもらったようだな。」

「ふふふっ……らしくないわよ。……それから、サフィーナちゃんの事、絶対連れ戻すから。もちろんクロウちゃんも……。」

 マールは真面目な目でこちらを見つめてくる。こんな目を向けられたのは初めてかもしれないな。


「ゆ、ユウマ様!私は……私は……この日をずっと夢見ていたのだ!こうしてユウマ様の腕の中で抱かれるのを……。」

 虎獣人のテトはこの10年でかなり成長をしている。20代半ばってところか……。うん、本当に急成長している。胸的に。それに少し妖艶さも醸し出している。この中では一番見た目が変化していると言える。

「テトか……。綺麗になったな。大きくなって……(主に胸が)」

「ユウマ様は変わらないのだな。少しズルいぞ。私のほうが年上になってしまった……。」

 テトは俺の左腕を抱え込む。うん、バストがしっかりと当たっている。うんうん、成長しているな。って俺、さっきから胸の感想ばかりだな。変態か!?……うん、変態だな。俺。


「あの……ゆ、ユウマさん?私も……来ちゃいました。お、覚えてますか?」

 おずおずとウェルが俺を見上げる。ウェルは20歳くらいだろう。ドワーフの成人は130cmほどなので、俺のお腹ほどに頭が来る。

「ああ。当たり前だ。ウェル。『タイタス』では世話になったな。一族の闇は払うことはできたか?」

 俺はタイタスの巨孔で交わした言葉を確認する。

「うん……私、今、絡繰り術をガラハド全域に広めてるの。胸を張って言えるよ?私は『絡繰り術士』だって!誰にも文句は言わせない……。」

 ウェルはいつかのオドオドとした目ではなく、芯の通った瞳で俺を見つめ返してくる。この10年で何があったのか解らない。でも、ウェルはしっかりと『絡繰り術』を自分の誇りになるまで磨き上げてきたのだ。思わずウェルの肩に置いた手に力を込めた。


 そして、無言で俺たちは抱き合った。それぞれの存在を確認し合うようにしっかりと、力を込めて……。



「えーと……そろそろ出てきてもいいですか?」


 俺たちの感動の抱擁に水を差す声が掛けられる。存在はなんとなく解っていた。竜人(ドラゴニアン)の方を見ると、その1体の影が歪み、動き出した。そして、それは人型の姿を取る。

「出てくるなら最初のタイミングでしょうが……ミムラさん。」

 俺はその人型に話しかける。

「い、いやぁ……出ていくタイミングを逸してしまって……。」

 この人型はミムラのExスキル【百人配下】で作った影のスパイだろう。

「にしても、あの演出はどうなんですか。戦隊ヒーローって……。」

「あれ?良くなかったですか?ちょっと古いけど、熱い血潮が燃え上って……。」

「いやいやいや、ちょっと恥ずかしそうに口上を言うアイリたちにちょっと萌えましたけど……っていやいやいや、ダメでしょ。他国でネタのためにカラー爆発起こしちゃ。軽いパニック起きてましたけど……。」

「あっ……言われてみればマズいですね。あはは……、上手く誤魔化しておいてください。」

 あ、アイリたちがフルフルと震えながら拳を固めている。知らないぞ……俺は。

「っておいっ!それでも元宰相かよっ!!……で、このタイミングでヌルヌルっと出てきて何かあるんでしょ?ミムラさん。」

「話が早くて助かります。まずはこの10年で何があったのか、どう変わったのかをユウマさんにお伝えしようと思いましてね。このシャール王国にも色々と疑問があると思いますから、勇者召喚とか……ね?」

 そういえば、詳しい話は聞いていなかったな。シラユキには大体の話しか聞いてなかったし。

「それはありがたい。ガラハド連合国って国が出来たことは聞いた。それからサフィーナとクロ子がいなくなったことも……でも、知っているのはそれくらいだ。」

「そうですか……。では、私が簡単ではありますが説明させてもらいますね。」

 人型は少し気障にふくそうを正すような仕草をしてから、これまでの事を語り出した。



 ◆◆◆◆



 ユウマたちがケルヴィムと共に消え去った後、ガラハド大森林帯の混乱は収まらなかった。元新ビザンツ王国に向けて、ビザンツ帝国からの軍隊が侵攻を始めたという報告が、上空でユウマたちを捜索していたシラユキからもたらされたからであった。

 すでに、ケルヴィムという驚異が消滅していたが、避難を開始していた近隣の村々の人間たちはそのまま『エルドラン』への避難を再開する。そこにはエドガーやミムラといった元新ビザンツ王国の面々も含まれていた。


 ここで動いたのがアイリとクロウだった。アイリは樹木魔法で森林に〝迷いの森(メイズウッズ)”の魔法を施し、ビザンツ帝国からの侵攻のかく乱を行ない、クロウは単騎で軍隊の後方について来ていた輜重部隊を潰滅させる。これで進軍も止まるかに思われたが、なぜか進軍は止まらず、多くの帝国兵たちは森の中で遭難することになった。

 保護した数人の兵士の話によると、率いていた将軍が功を焦り、強行軍を主張したのだとか……。しかし、帝国兵の一部は、元新ビザンツ王国の集落跡にまでたどり着き、火を放つという暴挙にでた。しかし、実質的な被害は皆無といっていいだろう。


 エドガーたち人間の勢力が『エルドラン』に入ったことにより、氏族連合の制度面が飛躍的に向上していった。元々、エドガーは帝国法に明るく、現状に合うような法体系を作り上げることに成功する。また、『タイタス』の族長ラガイオと『ニルバーナ』の族長ダナオスが主導になり森の開拓を推し進める。結果的に、ガラハド大森林帯の中に集落と呼べるものが多数形成されていった。これにより加速度的に氏族連合に加盟していく集落が増えていき、ガラハド連合国が誕生することになった。それでも3年の月日が経過していた。


 シャール王国とビザンツ帝国に向けて、独立を宣言するが、そこでもトラブルは起こった。空白地であったガラハド大森林帯に突如できた巨大連合国家を脅威に感じたからである。しかも、ガラハド大森林帯でとれる魔物の素材や希少な薬草、鉱石などは無くてはならない物である。しかし、エドガーや〝十長老(テン・エルダーズ)”たちの発案により、冒険者ギルドの誘致やガラハド商業組合の設立を行う。これによって、今まで他国の者たちが入り放題だったガラハド大森林帯への出入りが規制され、森林警備隊により希少な魔物や薬草の群生地が保護されるようになった。それでも、密猟者の侵入は後を絶たないが……。


 これにより、他の小国たちは通商を求めるため、ガラハド連合国の存在を認め始めた。それによってシャール、ビザンツの大国2つも認めざるを得ない状況に持っていったのだった。そこにはユウマがかつて作った『蘇生薬』が秘密裡に取引に使われたと言われている。


 このようにガラハド連合国が建国し、落ち着いた時、クロウが失踪したのであった。クロウはそれまでガラハド連合国の外交官を務めるアイリの護衛としてエンヴィー大陸の各地を飛び回っていた。しかし、最後の外交先であるビザンツ帝国を訪問した帰り、クロウの姿は掻き消えていた。ビザンツ帝国側の誘拐などを考えたが手がかりもなく、ミムラの【百人配下】にも引っかかることがなかったのである。

 その後、クロウからの置手紙が発見された。ラース大陸にユウマの行方を知る手がかりがあるという旨が書かれてあった。その筆跡も確かにクロウのものだと鑑定されている。そして、現にサフィーナへクロウからの意思が飛んできた。それも皆が確認している。現在ラース大陸に向かっていると、クロウから連絡があったのだ。一時騒然となったが、クロウからの連絡があったことで皆は安心した。しかし、半年もしないうちにクロウからの連絡が途絶えたのだ。クロウの救出隊をラース大陸へ派遣する案もあったが、大森林帯で新たな主が活動を開始し、それどころではなくなったのである。

 

 新たな主は巨人の姿をしており、近くの集落にかなりの被害を出すことになった。しかし、アイリやサフィーナたちの活躍で撃退することに成功する。ガラハド連合国初の試練だったと言える。皆は危機が去り歓喜した。しかし、それも長くは続かなかったのだ。救国の英雄であるサフィーナが失踪したのである。そこでもやはりサフィーナの置手紙が置かれていたのだ。内容はクロウとユウマを探しにラース大陸へ向かうというものだった。


 サフィーナの失踪はシラユキと連絡も取れないまま、現在に至っている。皆、ラース大陸への捜索のため、様々な手段を講じる。その結果、『ヴァース』の竜人(ドラゴニアン)族長のみが使える秘術、【竜化】を一般の竜人(ドラゴニアン)にも開放したのだ。それにより、今回アイリたちと共に4頭の竜、いや、4人の竜人(ドラゴニアン)たちが同行することになったのだ。彼女らは一様に赤竜である。名をガーネット、ルビー、ベリル、スピネルといい、ラスタバン直々に【竜化】を伝授された者たちである。


 そして、ガラハド連合国は、ラース大陸への調査隊を結成されることになったのだ。それが今回やって来たメンバーになる。まぁ、顔を仮面で隠して、戦隊物テイストにしたのはミムラの独断と偏見だが……。



 ◆◆◆◆



 ミムラの長い話を聞き終えた。


 後ろの竜たちも竜人(ドラゴニアン)だったとはな。しかも全員女性か……。ってそこじゃないな。

 ミムラの戦隊物好きにも困ったもんだ。……ん?あ、ここでもないな。


 この10年、皆色々な事を経てきている。それは皆の顔を見るだけで伝わって来た。俺だけ若くてズルいとテトは言うが、俺からしたら皆ばっかり色々経験してズルいぞって言いたくなる。


「そうか。皆、頑張ったんだな。でも、これからは俺が頑張る番だな。で、とりあえず、あの戦隊物は今後どうするか聞きたいんだが……ミムラさん?」

「えっ?このまま行きますよ?たぶん、シャール王国側には我々がガラハドからの者だとバレてるでしょうけど、今は勇者を助けるためにやって来た有志ってことで。上手くいったら出自を晒して、恩を売ればいいじゃないですか。向こうもさすがにアイリ様たちが来てるとは思ってないでしょうし……。」

 ミムラはケロっとした顔でのたまった。マジか……あの設定をゴリ押しするのかよ。

「私は大丈夫ですよ?別人を演じるなんてちょっと楽しいですし……。」

 アイリが少し照れながら言う。

「わ、私としては別に構わないが?」

 えーと……テトが意外とノリノリなんだが。

「私も……大丈夫。」

 なに!?ウェルもかよ……

「私は勘弁してほしいけど、皆がやるなら仕方ないわね。」

 マールは口ではそう言っているが、口元は笑っている。マールも意外とハマっているのかもな。

「わらわは常にわらわじゃから問題ないぞ。」

 うん、ラスタバンには難しいみたいだな。

「ほーら、皆ノリノリじゃないですか。問題ないみたいですね。」

 ミムラがニヤニヤしながら俺を見てくる。


「はぁ……解った。とりあえず、皆は勇者を助けるために集まった有志ってことで通すんだな。それじゃ、これから亜空間を解除するから、皆、仮面つけてくれよ。」

 ラース大陸へ捜索する前哨戦として、魔王討伐か……なんか色々と面倒な設定も増えたが、やるべきことがはっきりしてきた訳だな。

 

 俺はゆっくりと亜空間を解除していく。亜空間は時間経過がない。白く包まれた空間は次第に薄れていき、眩しそうに眼を細めている兵士たちの姿が見えてきた。


 よし!まずは、アイツらを何とかしないとな……

最後まで読んでくださってありがとうございます。

※次回の更新は9/20を予定しております。

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