表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/92

53、シラユキ

 †



<<ユウマ殿。ユウマ殿。>>


 ん?なんだ?イケメンと美人が俺の名を呼んでいる。

 でも、あんな2人は知らん。無視だ、無視!にしても、どこだここ……。


<えーと、ユウマ殿? これ、聞こえてないのか?>


<いえ、ちゃんと聞こえているはずですが……おかしいですね。>


<なら、なんで反応がないのだ。ユウマ殿っ!ユウマ殿っ!!>


 あー、なんか今更、起きてますって言い出しづらくなったよな。


<なら、私が目覚めの口づけを……>


<ならん!お前はそうやって誰にでもチュッチュと!もうちょっと慎みというものをだなっ!>


<ユウマ殿。本当にしちゃいますよ?キス……ふぅっ>


 なんだよ。艶めかしく耳に息吹きかけてくる美人痴女はっ!!ん?角?ってことは竜人(ドラゴニアン)か……ってことは心当たりがあるな。

 たぶん、ラスタバンの両親であり、ヴァースの族長夫妻であり、ソウルイーターの中の人たちだ。


 あれ?俺、魔力全部注ぎ込んで眷属契約して……気を失ったんだよな?


<もぅ。ユ・ウ・マ・殿。>


「は、はいっ!ずっと起きてました!見知らぬ2人に呼ばれて無視してました。ごめんなさい。」

 俺は綺麗な土下座をしながら2人に謝る。ん?身体が浮かんでる?空中土下座になってる。ここ、どんな空間なんだよ……。


<はぁ……下らん真似を……。こんな奴の眷属となってしまったのか。オレたちは。>


<あら、楽しい人で私は嬉しいですわ。>


「で、ここはどこだ?なんかグランディアさんがこんな感じの空間作ってたような気もするが……。」


<おぉ、グランディアの知り合いか。ある程度、徳を積むとこのような〝亜空間”を開くことが出来るのだ。って、お前もそれに似たのを持っているだろ?『インベントリ』とかいう……>


「えっ?まぁ、言われてみれば『インベントリ』は不思議空間に物を詰め込む機能だけど……ってなんで知ってんだよ!」


<もぅっ、水臭いこと言わないで。私と貴方の仲じゃない。眷属になったら貴方の全てが御見通しなのよ。>


「えっ!?そうなの!?マジか……。じゃあ、サフィーナやクロ子にも色々とバレてるのか……なんか色々と気まずいぞ。」


<マナサーのいう事を鵜呑みにするな。オレたちは特別だ。【読心法】でお前の心を読むことができる。からかわれているのだ。>


<バラすの早すぎよ。もうちょっとユウマ殿で遊んでいたかったのに。>


 とんでもないことを言いやがる。えーと奥さんがマナサーさんで、夫のほうが……カシュヤか。なるほど、心の奥を見つめるとこちらの問い掛けに答えが浮かび上がって来る。気分はメンタリストだな。信じてくれてもいいし、信じなくてもかまわない。とにかく心が解るのだ。


「で、俺に何の用だ?契約の改善を訴えるストライキでも始めようってか?」


<すとらい?……訳の分からないことをいうな。オレたちは、お前の眷属になったのだ。しかし、カシュヤとマナサーとしてではなく、守護竜ソウルイーターとしてだ。すでに、マナサーと魂が融合しつつある。>


<だから、もうラスタバンを抱きしめることはできなくなったの。残念だけどね……。ただ、この亜空間の中だけは、私もカシュヤもそれぞれが独立した人格として考え、話すことができるの。>


<お前にはこの亜空間を作り出す方法を会得してほしい。この亜空間は時間の流れも止まっている。それに空腹を感じる事もない。ただ、作り出すのに膨大な魔力を必要とするがな。>

 

 『精神と〇の部屋』かよっ!!空腹もないって……トンデモ空間だな。


<貴方の言うところのMPを10000ほどの魔力を消費するわ。それで1日、亜空間を維持できるの。今、私たちはとある方から魔力を借りているから安心して。何年でもこの亜空間は維持できるわ。>


「おいおい。ちょっと待てよ。お前らは俺を亜空間に閉じ込めて、この空間の扱い方を学ばせようってか?それって、結構無茶なこと言ってるって自覚あるか?で、普通、会得にどれだけかかるもんなんだ?」


<無理は承知の上だ。ただ、この亜空間を扱えるようになれば、どのような状況であっても、どのような距離が離れていようとも任意の者を亜空間に取り入れ、意思の疎通が可能なのだ。>


<それに、色々と応用も利くのよ。『瞬間移動』だっけ?あんなのもできるはずよ?私たちはできないけど……。3年ほどここで頑張れば基礎は会得できるんじゃない?>


「さ、3年っ!?それまでここから出れないのか?いやいや、空腹とかじゃなくて、気持ち的にきつくない?」


<いやいやいや。これって破格の提案なのだぞ!何をやんわりと断る流れになってるのだ!>


<そ、そうよ?亜空間よ?瞬間移動よ?ロマン溢れる不思議能力盛りだくさんよっ!それに、私と3年間、乳繰り合えるなんて……なんていやらしい。>


「お前らこそ、何でちょっと必至なんだよ。俺が亜空間を覚えないとまずいことでもあるのか?あ、ラスタバンのことか……。うーん。あぁ、そうだよな。俺のせいで眷属になったんだからな……っていやいやいや、あのままだったら邪仙コースだったじゃん!もっとラスタバンが悲しむルートだったろ?あー、んー。ま、俺のせいってのは間違いないか。わかったよ!亜空間の扱い方を会得してやる!」


<<おぉ!!さすがユウマ殿だ!!>>

 カシュヤとマナサーは口を揃える。何だ?目に見えてホッとしてるんだが……。ま、いいけど。


「なんか調子いいな。で、俺は何をすればいいの?」


<まずは手のひらを上に……そうだ。手の上の空間を揺らめかせるイメージで魔力を込めてみよ。>


 よし。魔力はいっぱいあるからな。MP10000ほど込めてみるか。むむむむ……おっ、右の手のひらの上が陽炎みたいに揺れてきた。

 おっ!穴が開いた。ブラックホールみたいだな。

 あ、ヤベ、そんなこと考えるとイメージしてしまう。


<お、おいっ!!何をやってるっ!!ユウマ殿!!魔力を込めるのを止めろっ!!>


 うわっ!!うわわわわわわわっ!!!吸い込まれるっ!!!

 ヤバイヤバイっ!!これ、マジもんのブラックホールか!?いやそんなはずない。

 キャンセル!キャンセルだ!!はい、無理でしたー!

 魔力を込めるのを止めろって言われても……なら、今度は左手にホワイトホールをMP10000で作り出したら……

 むむむぅ……引力と斥力で±ゼロ……都合よくいってくれよ……


<あ、ちょっと!今度は何やらかそうとしてるのよっ!すごい魔力がっ!!何っ?何しようとしてるのよっ!あああっ!!>


 俺は左右の手のひらにあるブラックホールとホワイトホールをぶつけてみた。

 すごいエネルギーが俺の手の中で渦巻いている。バリバリとプラズマのような光が周囲を照らす。

 灼熱と極寒が交互に肌を焼く。強い光が明滅している。周囲の色が消えていく。輪郭も消滅し、すべてが白に塗りつぶされていく。



【おぉ?この感覚……初めて神様に出会った空間に似てるな。ってことは成功ってことか?】


 見渡す限り、白くて広い空間。雲に包まれているようなフワフワとした感覚だ。光に満たされているが強すぎて眩しいわけでもない。心地よい暖かさだ。こんな場所で昼寝をしたら気持ちいいだろうな。そんな場所だった。


 ん?向うにいるのはカシュヤとマナサーか。いきなり亜空間を作り出せたからビビってるんだろうな。ちょっと驚かせてやろうか。


【カシュヤ、マナサーよ。お主らは何をしておる。】

 ちょっと神様っぽく言ってみてやった。


<<も、申し訳ありません。天上主様っ!!ユウマ殿があのようなことをやらかすとは思いもよらず……>>


 天上主?誰だそれ。何か知らんがテンパって勘違いしてるみたいだな。


【お主らに、罰を与える。心して受け入れよ。】


<<申し訳ありません。邪仙にだけは……それだけは堕とさないでいただきたいのです!!ユウマ殿に救われた身。まだ、何も返せておりませぬ!!>>


【ならぬ。罰はこれじゃっ!!てぃ!てぃっ!】


 カシュヤとマナサーにデコピンをしてやった。


<<痛っ!!>>


【ぷっ……ふははははっ!騙されてやんのー。俺だよ。ユウマだよ。誰だよ、天上主って。どうだ?亜空間バッチリつかえてるだろ??】


<はぁっ!?お前っ!ここは……えっ?でも……えぇぇぇぇぇぇっ!!!>


<ユウマ殿、貴方、自分が何やってるか解ってないの?>


【なかなか良いリアクションだな。何やってるかって?亜空間を一発会得したってことだろ?解ってるよ。】


<はぁ……やっぱり、解ってなかったのね。ここは亜空間じゃないわよ。ここは〝聖領域”。簡単に言うと亜空間の最上位にあたる空間よ。普通は、神に名を連なる者しか作り出せないのよ。>


【はあああああっ!?それって、俺、いつの間に神になったんだよっ!!俺は人間だよ!仙人ですらないよっ!!どうなってんだよっ!!】


<そ、それはオレたちが聞きたいわっ!!亜空間の修行で何を間違ったら〝聖領域”を作り出すことができるのだっ!!>


【で、これ、どうやったらこの〝聖領域”って消せるの?】


<し、知らないわ。私たちは作り方も解らないのよ?消し方なんて解るわけないわ。>


【ど、どうしよう。これ、消せないと俺たち一生ここで暮らすの?ま、昼寝なら持ってこいだけど、暮らすとなるとな……。】


<お前が作ったんだろうがっ!気合でここから出ることはできないのか。亜空間なら自分の意思で空間を解くことも可能だぞ?>


【おぉ、カシュヤ。ナイス情報だ。よし、出るぞっ!脱出っ!解除っ!!『解放』っ!!】


 ふわん 周囲の光が強くなり、再び白く塗りつぶされていく。おっ、これは成功か?目を開けると、そこはまたも白い空間。でも、さっきのような温かさや心地よさは無くなっている。ってことは出れたのか?


<やったわっ!ここは私たちの作成した亜空間だわ。もぅっ、一時はどうなるかと思ったわ。それにしても、3年どころか一瞬で亜空間の極意まで到達するなんてね。>


<ちなみに、どれほどの魔力を込めたら〝聖領域”を作り出せたのだ?>


「いや、適当に……片手に1万ずつ……で、2万ほど……もしかして、込めすぎた?」


<<はあああぁぁぁぁぁっ!?に、にまん!?ふざけるなーーーっ!!!>>


<普通、ただの人間が20000も魔力がある時点でおかしいのだっ!>


<それに、亜空間を作り出すなら5000もあれば充分なの。それでも、私たちじゃ二人合わせても魔力が足りなかったんだけどね。異世界人ってのは何で揃いも揃って壊れた能力持ちばかりなのよ……>


「できたもんは仕方ないだろうがっ!!じゃあ、この亜空間から早く出してくれよ。ここはずっといると落ち着かなくてな……」


<<解った。では、瞳を閉じるのだ。そして10数えたら、お前は元の世界に戻っているだろう。>>


「わかった。まぁ、色々と世話になったな。それから今後ともよろしくな。」

 俺は目を閉じ、ゆっくりと10数える。意識が少しずつ遠のいていくのが解った。


<<改めて礼を言う。我らを助けてくれて、ありがとう……>>


 耳の奥にかすかに聞こえたような気がした。


――ピロリン♪【亜空間作成】【亜空間制御】を体得しました。【聖領域】を体得しました。【亜空間作成】【亜空間制御】は【聖領域】に吸収されます。――



++++++++



<ふぅ……やっと行ったか。全くとんでもない奴だったな。>


<それにしても天上主様の無茶ぶりも困ったものよね。>


【あははは……悪かったね。でも、何とか亜空間を覚えさせてくれたね。助かったよ。にしても、ユウマだったか。邪仙から君たちを救い出すなんてね。あんな方法、私も思いつかなかったよ。】


<はい。それに関しては、我らもこれからの命をユウマ殿に捧げるつもりです。>


<私たちのついでに娘の事も貰ってくれればいいのにね。>


<なっ!?そんな事、オレは認めんぞっ!!認めんからなっ!!>


【はいはい。内輪揉めは余所でやってよ。ま、2人とも本当に邪仙に堕ちずにすんで良かったね。でも、しばらくは監視させてもらうけど、あのユウマの元で気楽にやりなよ。こっちはこっちで色々と調べなきゃならないことも増えたからね。ファルファレルロか……厄介な奴が出てきたよ。まったく……】


<<はっ!!天上主様っ!!御心のままに……>>



+++++++++



「ユウマっ!起きろっ!ユウマっ!!」


「師匠っ!!起きてくださいですよっ!!師匠っ!!」


 耳元で複数の声が聞こえて来た。いや、コウシンとミコトの声がギャンギャンとかなり煩い。


 戻って来れたようだな。ここは、タクシャカの地下邸宅か。ってことはミコトが気を失った俺をここまで運んでくれたようだな。


「ん……あぁ。ミコトがここまで運んでくれたのか?」


「は、はいっ!!あの穴の下まで降りていったら師匠が倒れてて……僕が担いでここまで運んできたんですよ。」


「ユウマ……それで、守護竜様はどうなったのじゃ!もしかして、殺してしもうたのかっ!?」

 ラスタバンが俺に詰め寄る。その目には涙が溜まっている。

「これ、ラスタバン。これはこちらが頼んだことじゃ。無事に戻って来たことは何よりじゃが、倒したことを証明できるものは何か持ってきたか?」

 そういえば、ソウルイーターはどこ行ったんだ?眷属化には成功したはず……どこにもいないぞ?眷属召喚で呼び出すか。おっと、ここじゃマズイな。

「タクシャカ様、一度、地上に来ていただきたい。そこで証明いたしましょう。」

 俺はふらつく体を起こして、地上へと向かう。


「ユウマ様、無理をするなっ!」

 テトが俺の脇に肩を入れ、支えてくれる。おぉ……手が胸に当たりそうになる。うへへへっ  っていかんいかんっ!!煩悩退散っ!!


「ああ、テト。助かるよ。」

「あ、これは弟子の役目ですよっ!!肩なら僕がっ!!」

 いや、お前は出しゃばらんでいいから……【威圧】っと

「ひぃぃ……師匠が、怖いですよぉ……」

 なぜかミコトに【威圧】のかかりが弱い気がするな。いつもやってると効きにくくなるのか?よく解らん……。


「どういう事じゃっ!地上に守護竜様のご遺体でもあるのいうのかっ!!もし、そうじゃったらお主を許さぬぞっ!!ユウマっ!!」

 ラスタバンはキッを俺を睨み付ける。うわぁ、罪悪感がハンパない。けど、説明しようがないんだよな。

「大丈夫ですよ。ラスタバン様。貴方の思っているような事にはなりませんから。それだけは安心してください。」

「ふんっ!!」

 ラスタバンは鼻を鳴らして、プイっとそっぽを向く。

「おいおい、ユウマ。いったいどうなってやがんだよ。本当に邪仙に堕ちた守護竜様を倒せたのか?それとも何か別の事が?おい、ちゃんと説明しろよっ!」

 ハヌマンの族長コウシンが俺を質問攻めにしてくる。

「いや、もうちょっと待てって。」

 クシルは無言で俺についてくる。コウシンも息子のクシルくらい静かだといいんだけどな。


 俺たちは地下邸宅から地上に出た。日の傾き加減からして、昼頃か?気絶してて、時間の感覚がおかしいな。ま、それはそれとして、広々とした広場にまでやってきた。うん、ここならソウルイーターを呼んでも大丈夫だろう。


「では、皆さん。少し下がってください。」

 俺は皆を下がらせると、眷属召喚を行なう。


「ソウルイーターよ。我が呼びかけに応じよ。『眷属召喚』!!」

 うん、ちょっと厨二っぽいけど、勿体ぶらせてもらおうか。


 俺の目の前の空間が眩い輝きを放ち、いくつもの幾何学模様が地面に描かれる。そして、銀色の輝きが徐々に形を成していく。

 巨大な竜のシルエット。次第に実体化していく。白銀の鱗に覆われた体躯。象牙の如く鋭い角が頭から背にかけて天を突く。そして、以前は無かった皮膜と強靭な翼が2対生えている。金色の瞳には知性の光を灯している。


『おぉぉーーっ!!!』

 皆から思わず声が漏れる。


 かつて守護竜だったモノがそこに現れた。

 かつてソウルイーターだったモノがそこに存在していた。

 かつて邪仙に堕ちた竜がその威容を変貌させてそこで躍動を始めていた。


<<ユウマ殿。我が主人よ。新たに生まれ変わった我に、新たな名前を授けよ。>>


「名前か……見たまんまでいいのなら、シラユキでどうだ?白い雪のような鱗だしな。」


<<承知した。我はシラユキ。ユウマ殿の眷属なり。>>

 

 ん?ネーミングセンス?そんなもの俺にはない。



「おぉ……おぉ……、これは守護竜様の以前の姿を凌ぐ神々しさじゃ……」

 タクシャカはその姿を見て、思わず跪いている。

 突然の出来事で外で作業していた他の竜人(ドラゴニアン)たちも唖然としている。


「父上……母上……生きて……生きておられたのじゃな。」

 ラスタバンはその姿を見て、涙を流している。


「と、まぁ、こういう事だ。守護竜を邪仙に堕ちるのは救えた。ただ、守護竜はこれより俺の眷属となった。色々と言いたいことがあるだろうが、ヴァースは俺たちで守っていく。そのために国を興すからだ。これは守護竜だったソウルイーターの意志でもあるっ!!」

 俺は集まってきた竜人(ドラゴニアン)たちにも宣言するように声を上げる。ま、ソウルイーターが建国を支持してるなんてことは今作った話だが、これくらい言っても大丈夫だろう。


『これが守護竜様の真のお姿……』

『お美しい……』

『我ら竜人(ドラゴニアン)は守護竜様に従うのみ……』


 次第に集まってくる竜人(ドラゴニアン)たちは皆跪き、拝むようにシラユキを見ている。


「詳しい話はこれからしていくが、まずはラスタバン、こっちへ。」

 俺に促されるままにラスタバンがやって来る。


「両親にはそのうち会わせてやるから、それまで腐らずにまっすぐに生きろよ。」

 俺はラスタバンの肩に手を置き、耳元で告げる。

「うっうう……わ、解り……もうした。」

 嗚咽を抑えながら、ラスタバンを力強く頷いた。


 ガラにもないことをしたのかな……ま、いいか。

 にしても、こんなデカイ眷属どうやって連れて歩いたらいいんだ?


「シラユキ。お前、身体デカイから小さくなったりできないのか?」


<<承知した。なら、これでどうだっ!!>>


 シラユキの全身が再び光に包まれ、スルスルと巨躯が縮んでいく。そして、それは50cmほどかなりカワイイサイズにまで縮んでいった。


「おっ、これなら手乗り竜って感じだな。これなら大丈夫だろう。いつもこのサイズでいろよ。」


<<承知した。>>


「あと、カシュヤとマナサーが混じった時の話し方なんだけど、堅苦しいから、もうちょっとフランクにな。」


<<承知……解った。>>


「ま、話し方はミコトにでも習え。一応、俺の弟子ってことだから。ミコト。お前がシラユキの事を色々と面倒見るように。って言っても、言葉遣いを教えるくらいだけどな。」

「は、はいっ!この一番弟子ミコトに任せるですよっ!!」

 ミコトはおっかなびっくりシラユキの事を見ている。


 ふぅ……これでひと段落ってことか。この3日の間に、色んな事が起こりすぎたな。ちょっと働き過ぎだな……。


「それじゃ、後の細かい段取りはコウシンに任せていいか?一度、エルドランに戻って状況を確認したいからな。」

「あぁ、本当は挨拶だけのつもりだったんだがな。お前といるとまったく退屈せんな。よしっ!後は任せろっ!ほかに点在する獣人の集落にも声をかけておこう。」

 コウシンが快く引き受けてくれた。影響力のあるハヌマンの族長だ。理解が早くて助かる。


「タクシャカ様、一度、エルドランに帰らせていただきます。また機会がありましたら、ゆっくりとお話させていただきたい。」

 俺は改めてタクシャカに挨拶を言いに行く。ようやく放心状態から解放されたようだ。


「おぉ……ユウマ殿。もう行かれるのか。この度は何とお礼を言ってよいか……おぉ、そうじゃ。ラスタバンを連れて行け。ヴァースの民が賛同しておると解れば、ガラハドの者には良い宣伝になるじゃろうて。」

「それはありがたい。でも、よろしいのですか?本人に断りなく勝手に決めてしまっても?」

「構いませぬ。爺様。このラスタバン。ヴァースの代表としてエルドランに赴きましょう。」

 おぉ、竜人(ドラゴニアン)のお姫様が同行するのかよ。ミコトとまた揉めるんだろうな……はぁ……。


 俺はコウシンやクシルに後は任せて、エルドランに帰る支度をしていると、テトが近づいてきた。


「えっと、ユウマ様!わ、私も、こ、このままエルドランまでついて行ってもかまわないか?」

「ん?テトか。別にいいんじゃないか?ハヌマンとの交流が上手く行ったことの証明になるからな。」

 テトがハヌマンの代表ってことか。ネコミミ少女も同行するのか。両手に花だな。うれしい限りだ。


「族長様!私がハヌマン代表ということでエルドランに行く。構わないよなっ!!」

 って、事後承諾かよっ!!てっきりテトが来るのが決まってたと思ったが違ったようだ。なかなかグイグイ来るタイプなのか?


 にしても、色々と同行するメンバーが増えたな。ハヌマンの戦士長の娘テト、ヴァースの族長の娘ラスタバン、それから眷属のシラユキ、弟子のミコト。色々と濃いメンバーだな。


 アイリは、どうしているんだろう。上手くやってるかな……。

 


最後まで読んでくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ