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40、エルドラン決戦

 †



 なんでこんな状況になっているんだよ!!

 確か、目の前で戦っているのはガート村にいたマールとかいう魔術師……

 でも、あれは人間の姿じゃない。木の精霊みたいだ。木の肌をしてるし、髪が葉っぱのようだ。

 それに身長が15mほど、お台場に立っているロボット並の大きさだ。


 それで……


 それで……


 なんで全裸なんだよぉーーーーーーー!!!!!


 は、破廉恥だ!!あんなものを振り回して!!タプンタプン揺れるアレはっ!!

 隠せよっ!!一応、女性なんだろ!?隠してくださいよぉーーーー!!!


 ドガーン!!


 爆音とともに、精霊王の分体の背中が大きく吹き飛んだ。

 隣りを見るとアイリが魔法を唱えたようだ。エルドランの門前にいた魔物を吹き飛ばした例の魔法だった。


 何かブツブツと言っているようだが、聞こえない。でも、マールが人間サイズに縮みだした。

 どうやらあのサイズで戦うのには制限があるようだ。何にしても、あの大きさは目に毒だったから、本当に良かった。


 サフィーナも魔術で氷の槍を飛ばしている。なら、僕もあのデカブツを止めないとな。

 僕は宙に浮かぶ大盾と大剣を2つずつ作り上げる。どれも僕の考えたとっておきの装備だ。


 一つはすべての属性耐性をもつ不壊の盾『イージス』

 一つは衝撃を吸収し魔力に変換し、一部を相手に跳ね返す盾『アイギス』


 言語が違うだけで同じ意味だが、響きがカッコイイからこれでいい。カッコイイは正義だし。


 一つはすべてのものを切り裂く剣『エクスカリバー』

 一つはすべての属性攻撃を可能とする剣『アスカロン』


 最強の盾と剣だ。これでどんな相手だろうと倒せるはずだ。


 僕は精霊王の分体に向かってエクスカリバーとアスカロンを振り下ろした。

 分体は見事に切り裂かれ、一部は石化を始める。


「どうだ!!僕の最強装備はっ!!」

 しかし、分体は再び動き始める。切り裂かれた場所は再生し、石化した場所もみるみるうちに元に戻っていく。


「クソっ!なんで上手くいかないんだよ。眷属になって強くなったはずなのに!」

「あら、その声はクロウちゃんね。すごいわ♪あの分体に攻撃を入れるなんて。」

 声のする方を見ると、先ほどまで巨大化していたマールが元の人間の姿に戻っている。一応、ローブのようなものを羽織っているが、恐らくその下は裸だろう。あぁ、そんなに動くとヒラヒラして中が見えるじゃないか!!


「でも、アイツを倒せないんじゃ意味がないよ!」

 僕は苛立ちを隠さずマールに言い放つ。見えちゃうって!!

「いいえ。分体は再生している間は、動きが止まるの。それは攻撃のチャンスだと思わない?アイリーン様と……アイリとタイミングを合わせなさい。」

 思わずドキリとしてしまう笑みを浮かべ、マールが助言をしてくる。

「なんでもいいよ。アイツを倒さないといけないんだろ?」

 僕は、アイリにアイコンタクトを送り、攻撃のタイミングを計る。

 しかし、その間も、動けるようになった分体は巨体を震わせ、周囲に炎の雨を降らせている。一つ一つはただの火球。でも、数が多すぎる。一部は世界樹に引火し、緑の葉から白い煙が朦々と立ち上っている。


「世界樹さんはサフィーナが守るよー!!」

 延焼を防ぐために、サフィーナが水魔術で世界樹に移った火を消していく。

 他のエルフたちもそれに倣い、鎮火作業を急いでいるようだ。

 ドワーフの戦士たちは、分体とともに現れた魔物に対応している。どうやら通常の攻撃手段も有効なようだった。


「アイリ、俺が動きを止めるからトドメは任せたからねっ!!」

 僕は『エクスカリバー』と『アスカロン』を振りかざし、跳躍する。うん、すごいジャンプ力だ。


 ガキンっ!!


「うわっ!!!」

 僕を払い落とすように、分体の巨大な掌が振るわれる。ギリギリのところで『イージス』と『アイギス』を翳したので、ダメージはない。逆に反射ダメージを受けたようで、体勢を崩している。


「クソっ!!もう一回っ!!」

 再び跳躍し、凍結属性をつけた『アスカロン』で大きく薙ぎ払う。

 切り裂かれた傷口がピキピキと凍り付いていく。その後、高速で『エクスカリバー』を振るい分体を粉々にする。


「やったか!?」

 キラキラと輝きながら分体は崩れ落ちる。しかし、少しずつ塊を作りながら再生が始まっている。まだダメだったか。


「アイリ、今だ!トドメを差して!!」

「解ったよ!クロウくん!!」

 アイリは魔法の唱詠を終え、巨大な光球を作り出す。眩しすぎて直視できない。

 まだ完全に再生しきっていない分体に向けて光球がぶつかっていく。触れるとシューっと音をたてながら焼き尽くされているようだ。すごい……カッコイイ……。


 まばゆい光に包まれ、分体が消滅していく。そして、視界が完全に真っ白な世界に包まれる。


 チッチッチッチチチチチチチチチチチ……


 ん?何の音?


 熱い、ん?痛い…… どうなってる?


 白の世界から視界が戻って来る。すると、信じられない光景が広がっていた。


 周囲のドワーフ、エルフたちが全身血まみれで倒れている。

 あれは!?サフィーナ!!

 白いワンピースの腹部が真っ赤に染まっている。

 アイリ!!マール!! 2人とも倒れ伏せている。地面は血だまりができている。


 ぐぅっ……


 僕も自分の状況を見ると、肩、腕、腹、太ももに穴が開いていた。傷口は火傷のように黒焦げているが、ジワジワと血が滲みだしている。


 そして、見上げるとさらに一回り大きくなった精霊王の分体が僕たちを見下ろしていた。

 立っているのは誰もいない。それを確認すると分体は世界樹の方へゆっくりと向かっていく。


 ヤツは魔法を吸収するのか……


 僕は最後の魔力を【真実の魔眼】を解放する。


【真実の魔眼】:ユニークスキル。MP100を消費することで相手のステータスとスキルを見ることができる。また、相手がどれだけ隠していても見抜くことが出来る。


――――――――――――――――

名前/精霊王の分体

ランク/精霊ランクA

HP  4800/5000

MP  1720/2800

腕力   2900

体力   2300

敏捷度  1400

器用度  1400

知力    150

精神力  1200


解説:タイタスの巨孔に封印されている精霊王の分体。

-スキル【超再生】【魔法吸収】【精霊操作】

――――――――――――――――


 ほとんどHPが減ってない……こっちはもうMPもないっていうのに……

 僕はユウマからもらったハイポーションを飲み乾した。アイリもサフィーナも同じようにポーションを飲んでいた。マールは倒れたまま、起き上がってこない。


 全身の傷口がふさがっていった。それでも全快とはいいがたい。体のあちこちが動くたびにズキズキする。でも、僕は、歯を食いしばりながら分体の方へ飛び出していった。他の剣と盾を消し、『アスカロン』の属性をスキル封印に替える。


 しかし、今度は僕の斬撃が当たらない。体に何かがまとわりついているようだ。まるで海の中でもがいているような感覚。動きが緩慢になっていく。


「クロウー!闇の精霊にくっつかれてるっ!!んー……でも、光の精霊を呼んだら、操られちゃうしー……むむむ……クロウ!目瞑ってー!!」

 サフィーナからキラキラと輝くヴェールのようなものが僕の周囲を取り囲む。うわっ!僕は言われた通り目を瞑った。

 フッと体が軽くなった。ナイスだサフィーナ!僕は一瞬だけ時間を止め、分体の背中に『アスカロン』を叩き込むことに成功した。


<グオオオオオオォォォォォ………>

 

 分体の体が傾いた。世界樹の幹に手をつくような姿勢をとっている。


 キィーーーン キィーーーーン キィーーーーーン


 僕の頭の中に何かが響き渡る。それは僕の脳を激しく揺さぶり、ひどい頭痛を引き起こした。


<もうすぐユウマくんが来ます。それまで諦めないで……>


 脳裏にひどく優しい顔をした女性が浮かび上がる。そしてその女性はにっこりと微笑むと静かに消えていった。


「もちろん諦めてなんかいないよ!!もう一太刀……もう一太刀だけでもっ!!」

 僕は少しよろめきながらも、『アスカロン』を横に振り切り、分体の足首あたりを大きく切り裂いた。


 次の瞬間、分体から灼熱の熱風が放出され、僕は大きく後方へ吹き飛ばされた。熱風により、再び世界樹が燃え上がる。そして、分体はさらに、世界樹に向けて炎を吐き出した。一気に世界樹の火の勢いは増していった。それは、アイリやサフィーナ、他のエルフたちの魔法や魔術でさえ弱めることはできなかった。


「お父さん!!お母さん!!」

 アイリの悲痛な叫びが轟々と燃え上がる炎にかき消される。


 キィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!


 またあの音だ……僕は静かに意識を手放した。



 †



 ようやくエルドランに転移することができた。

 しかし、そこは地獄の業火に包まれた世界だった。目の前で巨大な世界樹が燃え上っている。

 その他の木々も燃え上がり、多くの人々が倒れ伏していた。その中に、クロ子もいたのだ。


 俺は、インベントリからエリクサーを取り出し、クロ子に振りかける。荒かった呼吸が落ち着いたものに変わった。よかった……

 他は?アイリとサフィーナはマールによって回復魔法をかけられているようだった。


 なら、俺がやるべきことは……眼前の巨大な炎の巨人を見上げる。以前見た時よりも巨大で強力な魔力を感じる。でも、今の俺には引き下がるという選択肢は皆無だった。


 俺は魔鋼糸に水魔術を乗せて、分体めがけて射出する。しかし、魔鋼糸は溶け落ち、体にも触れてはいない。マチェットナイフを投擲するも、途中で弾かれる。見るとナイフは飴細工のようにグニャリと変形していた。

 チリチリと黒鳥牛のマントが焦げる臭いがする。耐火性能のあるマントでなければ、今頃、燃え上がっているのだろう。

 近づこうにも、熱風が肌を炙る。息を吸うと鼻や喉が焼けつくような痛みが走る。それでも、俺は後には引けなかった。大量の魔鋼糸で体を多い、そして、腕に水魔術を乗せた魔糸の層を何層も重ねる。そして、一番外の層には火魔術で起爆性を高める。俺の右腕は一本の馬上槍のような形になっていった。


 俺は【時間跳躍(タイムリープ)】で時間を止め、分体の心臓部あたりに、渾身の一撃を突き込んだ。さらに、もう一度。


 Bon!!


 分体の胸には大きな風穴が開いた。その奥には、黒々と光る魔核石が顔を出していた。

 あれさえ壊せば!!もう一撃、右腕を突き入れようとしたとき、分体の顔がグルリと動き、俺を正面にとられた。


 なぜだ!!時間を止めているはず……そうか。奴もあの時の俺と同じ状態なのか!


 以前、クロ子と戦った時、【限界突破】が発動して、人間の枠を超えた状態になった時、クロ子の【時間跳躍(タイムリープ)】は俺には効かなかった。

 おそらく、今の分体には生半可なスキルをかき消してしまうのだろう。


 俺は、分体から噴出される熱波と炎を纏った拳によって吹き飛ばされていた。


 全身が燃え上っていた。視界が真っ赤になる。体の感覚が麻痺したようだ。それでも俺は、ヨタヨタとふらつきながらも倒れることはなかった。


 俺は、魔鋼糸を槍状に伸ばし、先を尖らせる。そして、それを自分の胸に宛がう。そして、一気に自分の心臓を貫いた。


「ぐあああああああああああっ!!!!」

 

 体が薄ら輝いているのが分かった。

 俺は手から大量の魔鋼糸を出し、分体を包み込んでいた。今度の糸は燃えることも切れることもなかった。

 そして、それは完全に分体を包み込み巨大な毬のようになる。俺はそれに魔力を込めて圧縮していく。


 見る見るうちに巨大な毬は収縮していき、手のひらに乗るまでの大きさとなり、ついには分体の心臓部にあった黒い魔核石の形状となりコロンと俺の掌に落ちてきた。


【精霊王の欠片】:Exアイテム。封印された精霊王の欠片。膨大な魔力を秘めている魔核石。使用しても周囲から魔力を吸収する。これを満タンではない状態で所持していると、周囲200mのすべてのものは魔力を奪われMPの自然回復が不可能となる。最大MP10000まで貯めることができる。現在MP10000/10000


――ピロリン♪ピロリン♪ピロリン♪――


 レベルアップか……


――――――――――――

■ステータス

名前/有村 悠真

Lv.10

種族/人間?   年齢/18歳  職業/冒険者(C)

HP ー310/5120(+2560)

MP  520/20480(+10240)

腕力    5120

体力    5120

敏捷度   5120

器用度   5120

知力   10240

精神力  15360

加護:神祖しんその大いなる加護 封仙の加護

称号:転生者 封印されし称号その1~5 器用貧乏 タイタスの英雄 人を超えた者

装備:黒牛鳥のマント アダマンタイトの部分鎧 マチェットナイフ

スキル

-EXスキル【教育者】【学習者】【超健康体】【ステータス倍化/Lv.UP】【真・限界突破】

-ユニークスキル【極運】【ファミリア】【看破】【隠形】【人たらし】【糸使い】

【薬草術/Aランク】【剣術/Cランク】【体術/Cランク】

【弓術/Cランク】【投擲術/Cランク】【槍術/Bランク】

―魔法スキル【火魔法/Bランク】【水魔法/Bランク】【光魔法/Cランク】

-魔物スキル【毒牙/Bランク】【高速化】


眷属契約:【精霊魔法/Eランク】(サフィーナより)

      【時間跳躍(タイムリープ)】(クロウより)

――――――――――――


 うわっ!!これって今回はサフィーアの力借りなくても死なないのかな……

 えーと、確かエリクサーがまだあったよな。これで何とか……グビリグビリ……おぉ……全快……してない。でも、これでHP4690まで回復したか……つまり、エリクサーって全快じゃなくてHP5000回復する魔法薬って事だったんだな。うん、MPも同じく5000回復してるな。メモっておこう。


 にしても、ついに人間を超えたみたいだな。種族人間に「?」がついたし……変な称号も増えてる。あとは……魔術から魔法に変化してるな。それから【真・限界突破】ってなんだ?


【真・限界突破】:Exスキル。【限界突破】と同様。なお、上位存在を超える力が解放される。


 よく解らん。上位存在って何?精霊王とかそういう存在のことか?


 とりあえず、終わったってことか。精霊王の分体に操られた狂える精霊たちはスーッと消えていく。宿主になっていた魔物たちは周りにいる大勢のエルフたちに驚き、散り散りになって逃げていった。

 にしても、エルドランがひどい有様になっている。世界樹を中心に行けばいくほど被害は深刻になっている。あちこちでまだ鎮火が終わっていない火の手が上がっている。


 ここは光魔法ってやつを試してみるか。


『基本的に、魔術とはイメージだ。できると思い込み、その対価の魔力さえ支払えば大抵のことは可能だ。それは魔法でも同様であるという仮説もある。』


 以前、エイラムで魔術を習ったCランクの冒険者の言葉だ。まぁ、1日ですべての基礎と応用の魔術を使いこなした俺たちを見て、半泣きになっていたが……


 とりあえず、魔力は2000ほど注ぎ込んで……イメージは世界樹周辺で倒れている人たちを回復、再生する神々しい光……とこんなものでいいか。あとは唱詠か……


「聖なる光よ 力尽きたる我が同朋の命の灯に 再び輝ける光あれ 『奇跡の光(ミラクル)

 うわっ……クソ恥ずい……誰にも聞かれてないな……よし。


 唱詠が終わると、俺からガクンと魔力が放出されるのがわかる。

 それがキラキラと輝きながら頭上に上昇し、大きな光の塊となり膨張していく。

 そして、パァンっ!!と弾けると同時に世界樹の周辺に光が降り注いでいく。


 周囲のうめき声をあげていたエルフはドワーフたちが上体を起こし、自らの身に起きた奇跡に茫然としている。その中には、アイリ、サフィーナ、クロウ、マールの姿やタイタスの族長ラガイオも含まれていた。


『おぉ!!傷が!!傷が消えていくっ!!』

『おいっ!!見ろっ!!俺の腕が……元に戻っているぞっ!!!』

『奇跡だっ!!奇跡が起こったんだっ!!』

周囲から重度の火傷から回復した者たちの歓喜の声が聞こえる。


「ゆ、ユウマさん!!来てくれたんですねっ!!私、信じてましたから!!」

 俺の姿を見つけたアイリは、俺の胸に飛び込んでくる。そして、少し遅れてサフィーナも……

「ユウマーーっ!!!」

 ガバっと俺の腕に抱き付き、モゾモゾと俺をよじ登って、肩車の位置にまで到達する。ここにサフィーナを乗せるのも久しぶりな気がするな。


 涙を流すアイリと嬉しそうに頬ずりしてくるサフィーナを宥めながら、クロ子とマールの所まで歩いていく。


「クロ子。お疲れさん。頑張ったみたいだな。それに、マール。色々と世話になったみたいだな。ありがとう。」

 俺は2人に礼を言い、頭を下げる。

 2人はキョトンと俺のことを眺めていた。

「キモい。僕に頭を下げることなんてないよ。僕はやりたいことをやっただけだから……。」

 ツンデレか!?クロ子が本当の女の子なら萌えるんだが、中身は男だしな……微妙だ。

「いいわよ♪サフィーナちゃんを1週間レンタルしてくれると思えば安いものよー♪」

 マールは平常運転だった。もちろん却下だけどな。


 でも、こんな状況であるのに、エルフの代表者の姿が見えない。どうなっているんだ?


<えーと……あのー……ユウマくん? 何か忘れてないかしらー?>


<おい!クソ婿っ!!早く世界樹を回復しろよ!全身火傷したみたいで痛ぇーんだよ!!>


 あ、お義父さ……じゃなかった、グランディアさんとお義母さん。そういえば、世界樹もボロボロだったな。

 すいません。今から回復しようと思ってたんですよ?忘れてないですからね?これ本当ですよ?


 うん、完全に忘れてたわ。俺は急いで世界樹の幹に触れ、魔力を流していく。どれくらいがいいだろうか……3000流してみるか……

 世界樹がボワっと輝きだす。先ほどの『奇跡の光(ミラクル)』を強化したイメージだ。世界樹の輪郭が浮き上がるように次第に輝きが増してくる。


<うわっ!!多い!魔力多いわ!!これ以上魔力を注がれると回復どころか成長するぞ?>


 世界樹の枝は再生され、新たな新芽が芽吹き、古くなった葉はパラパラと散っていく。

 あ、これが有名は世界樹の葉ってやつ?これ、貰ってもいい?あと、枝とかも何本か……


世界樹の葉:ユニークアイテム。最上位ランクの薬草。少ない魔力で高位の魔法薬の作成が可能となる。このまま煎じて飲めばHP・MPともに100回復する。


世界樹の枝:ユニークアイテム。最上位ランクの杖の素材。そのほかにも錬金術・薬草術などにも使用可能。高い魔力を秘めているため、MPの自然回復を促す効果がある。


 おぉ!!すげぇ……ファンタジー素材キターーー!!ねぇ?貰ってもいい?


<解った!好きなだけ持ってけ!解ったからそろそろ魔力を込めるのやめいぃ!鼻血でるわっ!!>


 俺は魔力の供給を止める。それまで淡く輝いていた世界樹だったが、徐々にその輝きも弱くなり、消えていく。すると、青々とした世界樹本来の姿を取り戻していた。

 元がどんなだったか知らないけど、こんなもんかな?


<ユウマくん。本当に助かったわ。落ちた葉や枝で良かったらジャンジャン持ってってねー♪>


 ラッキー♪じゃ、もらいますねー♪あ、エルフに変な目で見られたけど、いいよな?別に……

 俺は大漁にインベントリに移動させる。今のインベントリの容量は3トン以上ある。運送会社でも興そうかと思わせるほど大量の物を運べるな。とりあえず、300kgほどの葉と枝を貰っておこう。まぁ、こんなにあるし誰も気づかないだろうしな。


「あのぉ……ユウマさん?何してるんですか?世界樹の周りのお掃除かなにか?」

 アイリが葉っぱや枝を集めている俺を見てキョトンとしている。

「ん?あぁ、そんなようなもんかな?グランディアさんにも許可貰ってるし……」

「わーい♪サフィーナもお手伝いするー♪この枝もいいの?えいっ!(バキっ)」

 うわ……折った!いや、焦げてた枝だったけど……グランディアさん。ごめんなさい。本当にごめんなさい。

 よし!一応謝っておいたから大丈夫だろう。

「サフィーナ、ダメだぞー!落ちてるヤツじゃないと。折っちゃダメだ!」

「はーい♪了解ー♪」

 さすがサフィーナだ。落ちてるのをガンガン拾っていく。あぁー……エルフが何かいい言いたそうにこっち見てるよ……あぁ、だんだんザワザワしだしたな……そろそろ止めるか。サフィーナだけでも50kgほどの焦げた枝を持ってきたし……


炭化した世界樹の枝:ユニークアイテム。高火力を出すことが可能な最高級燃料。火をつけると10年は燃え続けると言われている。


「よーし!サフィーナ。そろそろいいぞ!うん。世界樹の周りが大分片付いたな。エライぞー♪」

「えへへへ~♪」

 サフィーナの頭をポンポンと撫でながら、エルフたちの視線を避けるようにタイタスの族長ラガイオの所に移動していく。


「おぉ!!ユウマ殿。助けていただきありがとうございました。」

 火傷の痕が消えつつあるラガイオが俺に気付き、立ち上がる。周りにもドワーフの戦士たちが気を付けの恰好で俺たちを出迎える。

「英雄様。先ほどの光の雨は、英雄様の御業でしょうか?」

 一人のゴツいドワーフが目を輝かせながら迫って来る。う…暑苦しい……

「えーと、まぁー。そうね。」

「おぉ!!さすが英雄様だっ!我らの同朋を救っていただきありがとうございますっ!」

『ありがとうございます!英雄様っ!!』

 ドワーフの戦士たちが声を揃えて感謝を述べる。うわぁ……すごい目立ってる。エルフたちがこっち見てるよ。


「ガート村を守るためだったからな。あと、安心しろよ。タイタスの巨孔の精霊王の再封印は終わった。」

『おぉ!!さすが英雄様じゃっ!!』

『これで、あいつも報われる……』

 ドワーフたちから様々な感情が溢れだしている。


「ユウマ殿。タイタスを代表して、礼を言わせていただきます。本当にありがとうございました。」

 ラガイオが深々と頭を下げる。

「ん?あぁ……そのことについては、後で族長に話がある。」

 ウェルたちのことだ。このことについては俺も腹が立っている。ウェルには悪いが、俺ができることをやりたいようにさせてもらう。



「おぉっ!!どうやら精霊王は打ち払われたようでおじゃるな。まったくドワーフたちも何をチンタラしておったのじゃ。それから、防衛主任!お前はクビでおじゃる!!」

 大勢のエルフたちを引き連れて、豪華なローブに包まれた痩せぎすのエルフの老人がやって来た。


 また変なのが出て来たな……

最後まで読んでくださってありがとうございます。

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