27、拘留狂想曲
気付けば、ブックマーク100件越え、ありがとうございます。
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ジメジメした石壁に囲まれ、地下のため明りもなく真っ暗だ。とても衛生的とはいえない。手には手錠のような物が嵌められ、目の前には小さな鉄製の扉と小さな小窓。
ここは拘留所の1室。2畳ほどの空間には俺しかいない。アイリ、サフィーナは別の場所にいることだろう。ここに拘留されて2日が経過する。これまでに尋問らしきことが5回、いつも同じことを聞かれるだけだった。
(サフィーナ。サフィーナ。聞こえるか。そっちは大丈夫か?)
俺はファミリアであるサフィーナと意志を疎通させ、向こうの様子を確認する。
(ユウマ。大丈夫だよ。アイリも平気。たぶん、ユウマのいる部屋より広いし、こっちは2人だし、だいぶましだよ。それより、ユウマの方が心配。)
サフィーナもこちらを気にかけてくれているらしい。それに、向こうの尋問もそれほどのものではないようだ。しかし、いつまで続くのだろう。最初は抜けだしてやろうと考えていたが、この手錠はステータスを半分にしてしまう魔道具らしく、魔術スキルや一般スキルの使用を阻害するアイテムのようだ。まぁ、俺のExスキルやユニークスキル、魔物スキルは使用可能のようだが……
(サフィーナもアイリもしっかり食事もらってるか?お前ら大食いだから腹減ってるだろ?)
(ううん。大丈夫だよ。まぁ、お世辞にも美味しいとは言えないけどねー。)
何気ない会話をして、気を紛らわせている。あぁ……アイリに会いたい……アイリの声を聞きたい。
サフィーナ……お前の顔が見たい……クソっ クソっ クソっ...
俺は気付かない間に鉄の扉をガンガンと叩いていた。
ガン ガン ガン ガン
ガン ガン ガン ガン ガッ……パキっ
扉を叩いて何度目かで手錠のような物は壊れ、両手が自由になっていた。
「お、おい!何やってる!?」
音に気付いて、慌ててギルド職員がやってくる。
その声と足を音で俺も我に返る。
目の前の鉄の扉はボコボコに歪み、あと少しで外れそうになっていた。
あ……これ、出れるな。俺は、歪んだ扉に手をかけ、全力で力を入れていく。すると、ベキベキと分厚い扉はしだいに曲がっていき、人ひとり通れる隙間が現れた。
「あ……な、なんで……」
駆けつけたギルド職員と目が合う。
「あ、どうも。ご苦労様です。」
俺は、魔鋼糸で職員の手足を縛り、転がし、拘留所の中に引きずり込む。職員の背後に回って、口を押え耳元で質問する。
「アイリとサフィーナは……俺と一緒に捕えられた女の子たちはどこにいる?静かに答えろよ?手を離すからな……」
「助け……」
バっ こいつ……手を離した瞬間叫びやがって……ん?俺、今、悪役っぽいな……無実なのに。
俺はインベントリに入れておいたナイフを取り出し、職員の首筋に突き付け、再度、尋問を開始する。
「次にふざけたら痛いことになるからな。解ったな?女の子たちの居所は?」
俺がゆっくりと手を離す。今度は叫ばないようだ。
「一番奥の部屋に二人ともいる。答えたろ?助けてく……」
俺は、キュっと頸動脈を締め、職員を失神させる。口に職員の持ってたハンカチを詰め、魔鋼糸で塞いでおく。よし!ここからはスニークミッション開始だ!!蛇の人っぽく上手くできる自信はないが……
俺が拘留されていた部屋をでるとそこは細い通路になっていた。人の気配もないようだ。気配感知・気配消失・隠ぺいを総動員して周囲を警戒していく。
通路の右の奥の部屋の前に2人いる。中からはアイリとサフィーナの気配が漏れてくる。どうやら、2人はアイリとサフィーナに話しかけているようだ。後ろを全く気にする様子もない。チャンスだ。
俺はスルスルと2人の職員の後ろに忍び寄る。そして、鋼糸と毒牙のコンビネーションを職員の首筋に突き立てる。もちろん神経毒を軽く流した程度なので、死にはしない……はずだ。職員たちは体をのけぞらせるようにして、倒れ込んだ。うん、鍵も持ってるようだな。ここまでは順調だ。
「アイリ、サフィーナ助けに来た。今、扉を開けるからな。」
ガチャ 俺が扉を開けると、目を潤ませたアイリが抱き付いてきた。
「ユウマさん。ユウマさん!ユウマさん!!会いたかった。会いたかったよぉ。」
俺はアイリの背中をポンポンと叩き、頬にキスをする。
あ、見られた。サフィーナがニヤニヤとこちらを見てから手で顔を覆う。遅いよ!!ってか、しっかり指が開いてるから見えてるじゃねぇか!!
「あー、ユウマ。アイリ。お邪魔虫はこの辺で退散を……」
「どこ行く気だよ!サフィーナ!まぁ、よくアイリを励ましてくれたな。よくやった。」
いきなりのボケをかますサフィーナの頭をガシガシと撫でて、そっと頭にキスしてやる。
「あっ!えへへへー♪アイリー、サフィーナもキスされちゃったー♪」
あー、いちいち報告すなー!!でも、アイリは笑って許してくれたみたいだ。
2人の手に嵌められた手錠も鋼糸を突き刺すとあっさりと壊れた。
とりあえず、これからどうするかなんだが……ギルドに喧嘩売った形になってるのか?いやいや喧嘩売ったのは向こうが先だ!じゃあ、どうするか……どうせなら、一番テッペンにいる奴に喧嘩売ってやるか?じゃあ、正々堂々と正面突破するか……
「おい!これからギルドマスターに挨拶しにいくぞ!向かってくる奴らは、極力傷つけずに無効化しろ。まぁ危なくなったら自己判断で……」
「うん。このまま逃げたって状況は悪化するもんね。」
「うぉー!おれいまいりだ!コノヤロー!」
サフィーナ……本当にどこでそんな言葉習ったんだよ!!
俺たちは、階段を上っていく。俺たちに気付いた職員が止めようとするが、アイリとサフィーナが精霊魔法で眠らせていく。俺、まだそれ使えないんだけどな。
冒険者ギルドの1階が騒然となっている。ま、関係ないけどな。恐らくギルドマスターというくらいなのだから、上の階にいるはずだろう。俺たちは階段をドンドンと駆け上がっていく。途中、止めに入った職員は同様に、眠らされて崩れ落ちていく。2階 3階 4階 どうやらここが最上階のようだ。
明らかに立派な扉の前まで俺たちはやって来た。中にはいくつかの気配がする。おそらくギルドマスターもいるのだろう。
ダーーン!!
俺は勢いよく扉をけ破った。
「おい!!ギルドマスターはいるかっ!!話がある!!」
俺は、部屋の中を見渡した。3人の人物がそこにはいた。知っている顔が2人。
1人はカノン。俺たちを拘束した忌々しいエルフ女だ。
そして、意外な人物がいた。エイラムへ初めてやって来た時、盗賊の引き渡しで出会った、上級騎士のバルムンクだった。
もう1人は筋肉の塊のような大男で額にはねじれた角が後ろに向かって生えている。人間ではないようだ。
「なぜ貴方たちがここにいるんですか!!」
カノンが俺たちの事に気付くと、すごい形相で睨み付ける!!ううっ、なんだこれ!?身体が竦むような感覚に陥る。
とりあえず、カノンと角の男を看破だ!
――――――――――――
■ステータス
名前/カノン・ドゥラ・クリーク
Lv.8
種族/エルフ 年齢/121歳 職業/冒険者ギルドエイラム支部 サブマスター
HP 100/100
MP 275/275
腕力 85
体力 90
敏捷度 112
器用度 125
知力 183
精神力 230
称号:エイラムの鉄仮面 孫バカ
装備:ミスリルチェイン 樹王の鞭
スキル
ユニークスキル【威圧/Cランク】
-スキル【剣術/Cランク】【鞭術/Aランク】
魔術スキル【水魔術/Bランク】【風魔術/Bランク】
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■ステータス
名前/レガリア・エンサウロス
Lv.11
種族/竜人 年齢/85歳 職業/冒険者ギルドエイラム支部 ギルドマスター
HP 320/320
MP 175/175
腕力 225
体力 280
敏捷度 125
器用度 115
知力 100
精神力 120
称号:元Aランク冒険者 竜国の忌み子
装備:虹鉄鋼の鎧 邪竜の双剣
スキル
ユニークスキル【威圧/Bランク】
-【双剣術/Aランク】【尾鞭術/Bランク】
魔法スキル【火魔術/Aランク】
―種族スキル【飛翔】【ブレス】
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恐らく、カノンが発動させたのは【威圧】というスキルだろう。そのまんまだな。俺はなんとか動くことが出来るが、アイリとサフィーナは立ち竦んだようになっている。厄介なだな。
それに、気になることはまだある。名前だ。クリーク性でエルフ。嫌な予感しかないな。ザハルの関係者っぽい。しかも孫バカとか、厄介事の塊のようだ。
それに、もう一人、こいつがどうやらギルドマスターのようだ。竜人初めて見た。見た目は30前後に見えるのに、85歳って、かなり長寿種族みたいだな。よりにもよって、一番レベルが高い。ステータスでは勝っているがスキルが侮れない。
「おい!いつまで俺たちを拘留しとくつもりだ!!幼いサフィーナやアイリまで!!やり方がまどろっこしいんだよ!!毎回毎回同じ質問ばっかりしやがって!!」
俺が、レガリアとかいう竜人に食って掛かる。
「ほぅ……カノンの威圧にも屈せずか。なかなかやるみたいだな。なら、これならどうだ!」
今度はレガリアから威圧が来る。先ほどとは別次元の重圧が圧し掛かり、力が抜けそうになる。
――ピロリン♪【威圧/Eランク・Dランク・Cランク】を取得しました。――
「ふ ざ け る なぁぁぁぁーーーーーー!!!」
俺はレガリアとカノンに向けて、【威圧】に殺気と魔力を乗せて放つ。
部屋全体がピシピシと小刻みに揺れ、見えない何かが2人に向けてぶつかっていく。
カノンはそのまま壁まで吹き飛ばされ、そのまま失神する。レガリアはその巨体を2mほどジリジリと後ろに気圧され、膝をつく。
「そこまでだ。お前さんの容疑はもう晴れたからな。確か、ガート村のユウマだったか。」
間にバルムンクが割って入る。俺は、とりあえず【威圧】を収めた。
「ん?どういうことです?バルムンク卿。」
「おぉ、知っておったのか。お主らが盗賊団『群狼』潰滅の懸賞金を引き取りに来んから、調べに来たのだ。まさか、あの時は冒険者登録もしとらんかったとはな。そのことで、闇ギルド関係者が盗賊団潰滅なんてするはずがないと、ギルドマスターと話し合っていたところじゃ。完全にギルド側の不手際といったところじゃな。しかも、トップ2人がこの様だからな。」
バルムンクがレガリアとカノンを呆れたように見据える。
「お前を拘留したことはこちらの手違いだった。申し訳ない。カノンの報告を聞いて、闇ギルド関係者だと思い込んでいた。幼い子にも、配慮が足りなかった。すまなかった。」
ひどくあっさりとギルドマスターであるレガリアが頭を下げる。だが、そんなことで俺の気が済むわけがない。
「ギルドマスターの謝罪は受け取ろう。だが、それだけで終わらせるわけじゃないだろう?まずは、俺たちの装備品の返却。依頼の報酬とその他買い取り代金を直ちに支払ってもらう。それから、今回の不手際について、俺たちの今後の冒険者としての活動に支障のないようにすること。なんなら、ギルドの不手際を冒険者たちに周知させるってことでもいいが。あとは、カノンの謝罪・・・・・・はいらないから、サブマスターの職を解任。今後一切、俺たちに関わらせないようにしてくれ。あとは、そちらの誠意を見せてもらおうか。」
俺は思いつく限りの賠償案を提示する。あとは、相手の出方を窺おうか。
「ふむ・・・・・・。ギルドマスターよ。妥当なところかと思うがな。まぁ、サブマスターの更迭はやむを得んだろうな。どうする?レガリアよ。」
ここでようやく気絶から回復したカノンがヒステリックな声を上げる。
「理由はどうあれ、ギルド内でこんな暴挙に出るなんて、闇ギルドの関係者でなくても、懲罰を与えるべきです!!何人のギルド職員が犠牲になったと思ってるんですか!!」
は?論点がズレてるだろうが。
「もういい。いつも冷静なお前らしくないぞ。カノン。確かに鑑定玉に闇ギルド関係者との接触があったと記録があったが、この者たちの共通する証言に『ザール商会の嫌がらせを受けた』とある。そちらから絞っていくほうが、確率は高い。そんな理由で拘留するほうが暴挙だと言えよう。一度、サブマスターの職を解く。一般職員として少しの間、頭を冷やせ。もう、下がっていいぞ。カノン。」
レガリアがカノンの降格を言い渡し、その場から退場させる。
「なっ!?なんで私がっ!!誰よりもこのギルドに貢献していたのにぃ!!なぜ、こんな事の為にぃ!!
なんでよっ!!こんな仕打ちはあんまりだわっ!!あんまりよーーー!!」
カノンは他の職員に付き添われて、階下に下ろされていく。
なんなんだよ!あの女は!こんな事って・・・アイリとサフィーナに何したのか解ってないのかよっ!
部屋には、レガリアとバルムンク、そして俺たちだけになった。
「いや、本当に済まなかった。あんな奴だとは思わなかったよ。仕事は出来たんだがな。プライドが高い奴だったが・・・・・。」
レガリアは少しフランクな口調に変わっている。少し悲しそうにカノンの事を想う。
「俺がいう事ではないと思うが、アイツの孫のザハルが関係してるんじゃないか?アイリにガート村で何度も言い寄ってたらしいからな。それを断られて、メンツをつぶされたとでも思ったんだろう。」
俺は、考えられる推測を皆に伝える。
「孫のザハルか。確かにカノンは孫が関係することになると性格が変わるようなところがあったからな。案外、その通りかもしれないな。ん?よくザハルの祖母がカノンだと知っていたな。」
うわ、ヤバい誤魔化せるか・・・・。
「あ、ガート村にザハルが来たときに聞いたことあるからな。エイラムのギルドの偉い人だってな。やっぱりカノンがザハルの婆ちゃんだったのかー。やっぱりかーそうかーあは、あははははー。」
よし!完璧に誤魔化せたはず・・・・・・。
「なるほどな。」
よし!レガリアが納得した。
「尋問で聞かれたことだけど、俺たちが接触した闇ギルドのメンバーって誰なんだ?俺たち全く覚えがないんだが…怪しいのはマイガンとメイガンの兄弟くらいか?」
俺は気になる闇ギルドについて聞いてみた。
「いや、それはどちらもザール商会の荒事担当というだけだな。おそらくそのバックに闇ギルドのメンバーがいたのであろう。」
バルムンクが説明してくれる。
もしかしたら、路地裏で煙幕を張った奴かもな。実際顔を見たこともないが、あれでも接触したとカウントされたのかもな。
「ユウマだったか。それからアイリとサフィーナ。お前たちに今回の詫びと言っては何だが、Cランク冒険者として認定しようと考えているんだが、問題あるか?もちろん、他にも色々と便宜を図ってやる。何でも言って見ろ。俺の権力でやれることはやってやる!」
おっと、いきなりCランクですか、Gから4階級特進ってか!?いいのかそんな簡単にランク上げても・・・それに、面と向かって権力振りかざす宣言かよ!豪快過ぎる!味方なら心強いが、本当にいいのか?
「そ、それならギルドマスターさん、ウリリさんのお店の妨害をやめさせることはできますか?今、ウリリさん、すごく困ってるんです!!お願いします。」
おぉ、自分の事じゃなくてウリリの店のことを心配するとか・・・・アイリ、やっぱエエ子やー。うんうん。
「それなら、商業ギルドの管轄だな。だが、俺から圧力をかけてやろう!任せておけ!」
大物政治家か!!こんなこと面と向かって言われたの初めてだよ!!
「なら、サフィーナはー、ギルドの1階の酒場にスイーツを充実させてほしい!!」
おーい、サフィーナ!自由か!!フリーダムか!!さすがにそんなこと聞いてくれるわけ・・・
「よし!解った!!そうさせよう!!」
聞いてくれたぁぁぁぁ!!!何この人ぉー!!いきなり【威圧】かましてきたときは、絶対悪い奴だと思ったけど、ただの変な人でしたーー!!!
「ユウマは何かないのか?俺の権力なら比較的なんでもできるぞ!女か?金か?なんでも言えよ?」
ニヤリと悪い笑みを浮かべる。うわー!!やっぱり悪い人でしたー!!
「い、いや、じゃあ貸し一つってことで・・・」
「ちっ・・・食えない奴だ。」
うわ、今、思いっきり舌打ちされたよ!絶対この人、俺たちを丸め込もうとしてたよっ!!
「まぁ、一応、双方とも納得したところで、ユウマよ。お主への懸賞金だが、一人あたり3万Gとなっておるからな。受け取るがいい。」
あ、そういえば、そもそもバルムンクは懸賞金を渡しに来てくれたんだった。一人3万って太っ腹だな。アイリはそのまま渡して大丈夫だろうけど、サフィーナに渡すのはどうするかな。
「あ、バルムンク卿、このようなところまでわざわざありがとうございます。謹んで頂戴いたします。」
俺は代表して9枚の金貨、9万Gの入った革袋をもらう。
サフィーナからクレクレクレクレという視線が痛い。あぁ、あとでお小遣い渡すから!!
「では、私の用件はこれで仕舞だ。ザール商会の背後にいる闇ギルドについては騎士団からも監視の目を強めることにしよう。では、邪魔したな。ギルドマスター。」
バルムンクはそういうと、さっさと出ていってしまった。
「よし!ユウマたち、この紙を持って1階へ行け。すべて、お前たちが要求したようになるはずだ。」
レガリアが走り書きのようなメモを俺に手渡す。
といっても、冒険者ギルドに対する不信感は完全に払拭できるものではない。アイリなども、まだ半信半疑のような表情をしている。サフィーナは・・・うん、いつも通りだな。むしろギルドのスイーツのラインナップを妄想してニヤニヤしてやがる。
俺は、一応、レガリアに目礼して、1階に降りていった。
ジーーーー ジーーーー
周囲からの視線が痛い。職員からも他の冒険者からも。
うん、想像はしてたよ?ギルド内で大暴れしたし。ギルドマスターに喧嘩売って、サブマスター失神させたんだから。でも、すごいやりにくいよね。
「あ、エイミー。良かったいてくれて!」
俺は受付にエイミーがいるのを見つけて、近づいていく。一方、エイミーは固まって、涙目になっている。えっ?もしかして、まだ誤解されてる?
「エイミー?ちょっと聞いてますか?」
「ひぃぃ!!ひゃい!!なんでひょうか!!」
カミカミだな。ヤバい、俺、何もしてないのに罪悪感がハンパない。
「えーと、この紙を1階で渡せって、ギルドマスターに言われまして。処理をお願いします。」
俺はレガリアから渡されたメモをエイミーに渡す。
「ひぇっ!?ひぇぇぇええ!?これ、本当でしゅか!?」
エイミーは大声で叫んで、奥の職員と話し始める。するとその職員も数人の職員と話し合い、絶叫が伝播していく。何が起こってるんだ?
『おい!アレは本当か!?』
『どうやらギルドマスターが勝手に決めちゃったみたいで・・・』
『うわぁぁぁ!!なんで俺が非番の日じゃなくて今日なんだーー!!』
『えっ?これ、嘘ですよね?ドッキリですよねぇ?ねぇ?嘘って言ってーー!!』
ギルド職員たちの阿鼻叫喚の絶叫がこだましていた。
ん?ヒラヒラと何かが落ちてきた。あぁ、レガリアが書いたメモか。
なになに?なんて書いてあるんだ?
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◆Gランク冒険者ユウマ、アイリ、サフィーナの不当拘留に関するギルド職員懲罰◆
◎ユウマ等が拘留されている期間にギルドにいた全職員の今月の給料50%カット。
なお、浮いた資金をザール商会の監視業務及び酒場のスイーツ展開、パティシエの雇用に流用する。
また、上記に関する不平不満等をユウマ等に直接間接問わず伝えた者は強制解雇とする。
これ、マジだからよろしくー! 本当にクビにするからね。
By ギルドマスター レガリア
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あぁ・・・アイツ、鬼だな。
最後まで読んでくださってありがとうございます。




