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25、悪役リターンズ

 †



 店の外には、数人の男たちがたむろしていた。どれもガラの悪そうな男たちばかりだ。周囲にいた客たたいは巻き込まれることを恐れて、そそくさと帰っていく。

 その中心には、倒れ込んでいるライキの姿が見える。それを見たエギルが真っ先にその輪の中に入って、ライキを抱き起しに行く。顔を殴られたのか、頬が腫れていた。


「おい!!どういうつもりだ。お前ら!」

 エギルが周囲の男たちを睨みつける。

 ウリリも気丈に男たちのところにやってくる。

「こ、これはぁ、どういうことですかぁ!うちの者になんてことしてくれるんですかぁ!!」

 声を震わせながらもガラの悪い男たちに言い放つ。


「これはこれは、店主さんですか?いやぁー困りますね。店員の教育もできてないなんてねぇー。」

 男たちの中から、長身痩躯の男がウリリの前までやってくる。細い眼鏡をかけ、スーツのような上質そうな服装をしている。あきらかに、周りの男たちとは違う雰囲気を持っていた。

「どういうことですかぁ?うちの者が何をしたっていうんですかぁ!!」

 ウリリがそういうとスーツの男がニヤっとして自分の靴を指さす。

「これ見てくださいねー。この靴、高かったんですよ。そこの男が商品のチンケな酒を落としたんですよ。それが飛び散ってね。これですよ。あーあーあーどうしてくれるんです?」

 スーツの男はさらにニヤついた顔でウリリに言い募る。

「ち、ちがいます。商品のお酒を見せてくれといわれて、渡したら手を放されて……」

 ライキが悔しそうな声で否定する。

 あー、これ、完全に言いがかりだな。チンピラがよくやる嫌がらせだな。

 俺は男たちを見ると見覚えのある顔がある。ん?あれは確か……

 そうだ!サフィーナに絡んできた太鼓腹たちの取り巻きがいる。あのヒョロ長いのと小柄なのはあの時、いたよな……。あの太鼓腹はいないようだ。


 俺は、アイリにウリリたちの事を任せて、男たちの前に出ていった。


「おぉー!久しぶりじゃないかー!10日ぶりかー!!何してたんだよー!!」

 俺は、ヒョロ長いチンピラに親友に声をかけるように近づいていった。

「ん?誰だ?てめぇ……なっ!? お、お前は!!」

 俺は、空気を読まずにことさら明るい声を出して、小柄なチンピラにも声をかける。

「いやぁー、手首はもう大丈夫かー?あの時は驚いたよなー!あっはっはっはー!」

 ヒョロ長いチンピラと小柄なチンピラは顔を青くしているが、他の男たちはポカンとしている。

「お前らもあんまり人様に迷惑かけるんじゃねぇぞ!!怖ーい人が出てきて痛ーい思いをしちゃうからなー♪気をつけないとー!!」

 俺のあまりのふてぶてしさに周囲の男たちがいきり立つ。

「誰だ?てめぇ……ぶっ殺すぞ!!」

「えっ?殺されるの?怖いなー。そっちのスーツのオッサン。手下の教育もできてねぇのかよー。しっかりしてよー。メガネしてるんだしー。」

 俺は、できるだけ男たちを挑発する。

「あ゛っ?何ですかね。突然、客なら早く帰ったほうが身のためですよ。」

 スーツの男は怒気を抑えながらも殺気を放ってくる。まぁ、その筋の人なんだろう。インテリヤクザって感じだな。

「いやー、知り合いがいたから声をかけただけですからー。相変わらずセコいことしてるんだなー。お前ら、強請り?地上げでもしてんの?」

 男たちの殺気が膨れ上がる。どうやら図星のようだ。

「おい、こいつのこと知ってるのか?誰だ?このふざけた男は……」

 スーツの男が小柄なチンピラに聞く。

「は、はい。以前、メイガン様をボコボコにした奴の仲間でして……」

「はぁ?絡んできたのはそっちだろ?小さい子に足踏まれたぐらいでぶち切れやがって。無駄にでかい癖に小さい男だったな。メイガンっていうのか。覚えたからな。」

 俺が睨むとヒョロ長いチンピラは短く悲鳴を上げる。

「メイガンをやったのはお前か……。おい、お前ら。この店の事は後回しだ。この男を処理するぞ。」

 スーツの男はそれまでの下手な丁寧口調がなくなっている。

「ばーか!そんなこと言われて捕まるわけないだろう!!」

 俺は、人気のいないところに走っていく。ここで暴れられるとウリリの店が大変なことになるからな。


 俺は男たちをトレインしながら路地裏を駆け抜けていく。


 うわー……路地裏って、俺、転生前に撃たれた場所ってこんなとこだったよな。今は、チンピラの数は4人、そしてあのスーツの男か……あの時よりパワーアップしてる。前回と違うのはこちらの身体がすこぶる調子がよく、逃げきれるだけの脚力があるということだ。まぁ、あえて逃げ切らないけどね。


「あー!待って待って待って!解ったから。もう逃げませんから。で、あんた誰なの?あの太鼓腹の知り合いか?えーとメイガンって言ったっけ?俺、どっちかっていうと被害者よ?刺されたし……」

 俺は立ち止まり、男たちに向き直る。男たちは問答無用で殴りかかってくる。中にはナイフを持っている者もいる。うわ……聞く気ないし。

 俺は、拳やナイフを躱しながら、極細の鋼糸を地面に張り巡らせる。薄暗い路地裏ならこの程度の糸なら目立たない。性質変化をさせて強力な粘着性を持たせた糸だ。俺は、男たちをその粘着ゾーンに誘導していく。するとあっという間にチンピラホイホイができあがる。身動きできなくなったチンピラの山。それを見ていたスーツの男が呆然と見ている。


「何者だ!お前!!」

 若干顔を青ざめながらスーツの男が言う。

「いやいやいや。聞いてるのは俺だから。あんた誰?何のつもりでウリリの店の妨害してんの?」

 俺はそう言いながら、スーツの男の回りをチンピラホイホイ同様、粘着糸を張り巡らし、逃げられないようにする。

「…………。俺はマイガン。ザール商会のもんだ。メイガンは俺の弟だ。」

「へぇ。で、ザール商会ってのはなんでウリリの店の妨害してんだ?あんな小さい店潰したところで売り上げなんてそんなに上がらないだろ?」

「……し、知らない。」

 俺は、チンピラが持っていたナイフを拾うとマイガンの頬スレスレに掠るように投げる。

 マイガンの頬からツツーと血が流れ、さらに顔が青ざめる。

「本当に知らないの?」

「言う。言います。実は……」


 シューー


 どこからか路地裏に何かが投げ込まれる。狭い路地裏に煙幕のようなものがモクモクと溢れていく。

 クソっ、鋼糸の効果時間が切れて、もうチンピラたちも自由動けるになる頃合いだろう。視界が煙に包まれ良く見えない。動き出す気配がする。来るのか!!


 ダンッ ダンッ


 何かが弾かれる音が響く。


 ヤバいな。今日はこの辺で引き揚げた方が良さそうか……

 俺は、煙幕の向こうに動く気配に気をつけながら、その場を離れた。



「……ということだったんだ。途中、邪魔が入ってこれ以上聞けなかったんだが……。」

 俺はウリリの何でも屋に戻って、顛末をウリリたちに話していた。


「そうですかぁ……ザール商会さんの方たちだったのですかぁ。」

「クソっ!アイツら……あの調子じゃ、また嫌がらせに来るぞ!」

 ウリリは不安、エギルは憮然とした様子だ。ライキはアイリが渡した簡易ポーションで頬の腫れを治療していた。

「ウリリさん。さっきの人たちに心当たりはあるんですか?あの中の人たちに私たち絡まれて……ユウマさんが刺されたこともあるんです。」

 アイリがウリリに詰め寄る。あぁ、アイリにはまた心配かけたな。

「そんな事がぁ……。あの人たちはぁ、ザール商会といって、この辺りで系列店を多く抱える商会なんですぅ。でもぉ、裏では闇ギルドと繋がってるとかぁ……あまり評判のいい噂を聞かないんですぅ。」

「闇ギルド?何だそれ?」

「冒険者ギルドなんかでは依頼できないような違法な依頼を受け付けている違法ギルドだ。中には暗殺者や盗賊、海賊、チンピラ、詐欺師、何でもござれだ。とにかくヤバい連中だってことだ。しかも厄介なことに、貴族との繋がりもあるってんで、騎士団も表立って摘発できないでいる。」

 エギルが説明してくれる。なるほど、かなりヤバイ組織みたいだな。でも、このまま泣き寝入りするのも腹が立つ……。どうすれば……。

「噂によればぁ、闇ギルドに依頼するには大金が必要なはずですぅ。一定期間耐えきれば、嫌がらせもなくなると思いますがぁ……。」

 あんな嫌がらせを……耐える?ライキみたいに怪我するかもしれないのにか!?

「み、店をしばらく閉めるしかないんじゃないでしょうか……。」

 ライキが恐る恐る提案をしてくる。

「おっ!そうか。その手があるな。」

 俺は、ひどく納得してしまう。店がターゲットなら閉めてしまえばいい。

「な、何言ってんだよ!ライキ、ユウマ!せっかく開店した店を閉めちまうなんて!!」

「そうですぅ。まだまだ在庫もありますしぃ。明日以降の発注も終わってぇ、ドンドン品が運び込まれてきちゃうますぅ!!うちの倉庫が溢れちゃいますよぉ!!」

 エギルとウリリはライキの提案を否定する。

「いやいや、商品は売ればいいじゃないか。店は閉めるけど……。」

「ん?どういうことですかぁ?ユウマさん。」

 ウリリが不思議そうに俺を見上げる。うわ、久しぶりに胸が……メロンが……。


「ゴホン……ユウマさん?」

 すごい笑顔でアイリが窘めてくる。いやいや、怖いよ?アイリさん。

「え、えーとだな。店の営業形態を変えるんだ。お客さんの所を回って、足りない調味料や欲しい物を御用聞きして、後日届ける。注文票と控えを渡しておいて、代金は後からもらえばいい。色々回ってるとお客さんの需要も解るし、注文が多い商品を今後多く仕入れていけばいい。忙しいお店の人や自由に家の外に出られない人には便利だと思うぞ。まぁ、顧客が付くまでは大変だろうけど、今から動いたら在庫で溢れるってことはないはずだし、オープン記念で格安なんだろ?勝算はあるんじゃないか?」

 俺が説明していると、ウリリの顔がみるみるうちに輝きだす。

「す、すごい……ちょっと待ってね。ユウマさんの言ったことをまとめてみるから。」

 ウリリは少し店の奥に引っ込んだあと、何かを書き付けたものを持ってきた。手作り注文票と在庫表だった。

「エギルさん、ライキ。今から職人エリアに行って御用聞きに回って、私は商店街を中心に回るから。あと、どんなものが買えたら便利かも聞いてきてちょうだいね。今回は定価の2割引きまでは自己判断で値引きしていいから!」

 ウリリのあまりの勢いにエギルとライキは思わずうなずく。切り替えと行動が早いなぁ……すげぇなウリリ。

「ちなみに、エギルって2割引きとかの計算できるのかよ?」

 俺が気になってたことを聞いてみる。

「ば、バカ野郎。俺はこう見えて八百屋の息子だ。計算はできるんだよ!!驚いたか!!」

 うん、すっごい意外だったな。

「人は見かけによらないんだな……」


 ウリリたちは皆で店じまいをして、店の外に張り紙を張る。宅配サービスをする旨を書かれたものだ。

 そして、店の中に入って、ビラと注文書を作り直していた。

「ユウマさん。色々と教えてもらって助かりましたぁ。まだ上手くいくか解りませんけどぉ、何とかやってみますねぇ。」

「あぁ、気にするなよ。あ、その代わりと言っちゃなんだけど、薬草を安くで買えるようなお店教えてくれないか?俺たち、時間ができたらここでポーション卸そうかと思ってるから。あ、今あるポーション置いていくわ。40本ほどなら今持ってるぞ。」

 俺はインベントリの中から簡易ポーション20本、通常ポーション20本を取り出す。まぁ、リュックから取り出せるギリギリの量だと思いたい。まぁ、ウリリは目を丸くしていたが……。

「薬草のお店ですかぁ?後で地図をお渡ししますぅ。それにしてもぉ、い、いつもこんなに持ち歩いてるんですかぁ?」

 まぁ、そう思うよな。

「もともとウリリの所に持っていくつもりだったから特別だ。そうだな。全部で4000Gでいいから。」

 買取相場なら4200Gはするはずだ、今回は友人割引でいいだろう。

「は、はい!!重ね重ねありがとうございますぅ。」

 俺たちは、代金と薬草問屋の地図を受け取り、忙しそうなウリリたちに別れを告げて、ウリリ何でも屋を後にした。


 

 †



 サフィーナは、今、エイラムの街をプラプラしているのだー。何をしているのかって?クックックー。

 いい質問だねー。アケチくん。んー……アケチくんって誰って?サフィーナも知らなーい。

 とにかくー、サフィーナはエイラムの美味しい物を完全制覇するため、今日は完全フリータイムなのだー!


「おっ、白の嬢ちゃんか。今日はうちの新作の串焼き食べてくかー?」

「来たねー。白の嬢ちゃん。いつものミックスジュースは飲むかい?おまけするよー!」


 サフィーナに露店のおじさんやおばさんが声をかけてくるー。サフィーナ人気者だから仕方なーい。

 順番にー♪順番にー♪


 モシャモシャ ゴクゴク ガツガツ ぷはー♪


「おぉ!いつ見てもすげー食べっぷりだな!おっ、もう行っちまうのかー。また来いよー。」

「あらあらー、もう飲んじゃったのー。すごいわねー。またおいでねー。」


 これはまだまだなのだよー!!まだまだ……あ、もうお小遣いがなーい。まだお昼前なのにー。

 むむむむぅー。これは奥の手を出すときがきたのかーー!!クックックー。


「あー、この辺に……あったー!!このお店だー。すいませーん。すいませーん。」

 サフィーナは奥の手を使うために、例のお店に入っていった。


「あらあら、カワイイお客さんね。お使いかしら?」

 中から出てきたのは緑色の髪がきれいなお姉さんだった。

「えっとねー。これを売りに来たのー。」

 私は肩かけ鞄から例のブツを取り出した。そう、サフィーナが密かに作ったハイポーションだ。ユウマは知らないけど、サフィーナもハイポーションを作ることができちゃったのだー!


「え……えっ、これどうしたの?本当に売ってもいいの?うち魔法薬店だけど、ハイポーションの在庫なんて置いてないわよ!!」

 そう、サフィーナの計画では、軍資金がなくなった時はここでポーションを売ると決めてたのだー!クックックー。完全犯罪なのだー!

「これはねー。サフィーナが作っ……じゃなかった、ユウマが作ったのー。とってもすごいの。パァって光って作っちゃうのー。」

 ここでサフィーナが作ったっていっても、怪しまれるのは計算にいれてるのだー!これはユウマの作ったもの……サフィーナの計画に隙はないのだー!!

「そ、そうなの。すごいのね。そのユウマって人。解ったわ。なら買い取らせてもらいますね。ハイポーションなら3000Gで買い取りね。あ、ちょっと待ってねー。お使いのご褒美に今、お菓子包んであげるからお家で食べてね。それから、また良かったら売りに来てくれないかしら?ハイポーション。」

 おぉ!!軍資金だけでなくお菓子ももらえるなんてーー!!思わぬ誤算!!サフィーナの計画はサフィーナの想像を超える物だったのかーー!!自分の才能が恐ろしい……クックックー。


「うん。いいよー。持ってきてあげるー。わー。お菓子だー♪」

 お菓子を貰って出ていこうしたら、慌てて止められた。おっと、軍資金を忘れるところだったー!!

 これで、まだまだ美味しい物を食べられるぞーー!幸せだーー♪♪


 サフィーナはスキップしながら、魔法薬店を出ていった。

 


 †



「あ、あれはサフィーナちゃんじゃないですか?ユウマさん。」

 お、本当だ。でも、あいつが抱えてる紙袋、中身全部食べ物か?明らかに小遣いを超えてる気がするが…。

「丁度いい、サフィーナも一緒にさっきの魔道具屋に行こうか。おーーい!サフィーナ!!」

 俺がサフィーナを呼び止めると、ビクっとして、カタカタとぎこちなくこちらを振り返るサフィーナ。

「や、やぁー。ユウマー。アイリー。キグウジャナイカーコンナトコロデー。」

 サフィーナめ、何か隠してるな。

「あの小遣いでよくこんなに買い込めたなー。」

「ひぇえっ!?しょ、しょんなこと……さ、サフィーナの美貌をもってすればトウゼンダヨー?」

「ほぅ……ま、いいけどな。ちょっとサフィーナも付き合え。」

 明らかにホッとしているサフィーナ。なんとなく想像がつくな。


「えっ?ユウマさん。またさっきの魔道具屋さんですか?買い忘れですか?」

 アイリが不思議そうにのぞき込む。

「ん?まぁ、そんなところだ。」

 そう言って、俺たちは先ほど行った魔道具屋に向かった。


「あ、お客さん。できてますよ。お代はいただいてますので、お持ちくださいね。」

 店に入ると、店員が声をかけてくる。

「あぁ、ありがとう。じゃあ、もらっていくぞ。」

 俺は品物を受け取るとすぐに店を出る。

「えっ?もうお買い物終わりですか?」

「ユウマー。何買ったのー?見せて見せてー?}

 サフィーナは品物の入った包みが気になるのか、俺の袖をぐいぐい引っ張る。


 俺たちは、少し静かな広場にまでやってきた。

「アイリ、サフィーナ。これを受け取ってくれ。」

 俺は包みから2つの箱を取り出して、2人に手渡す。

「なんですか?これ……開けていいですか?」

 アイリは不思議そうに箱を受け取る。サフィーナは早速箱を開けている。


「うわーー♪きれー♪」

 サフィーナは歓声を上げる。アイリは無言のまま、箱の中身を見つめている。


「ユウマさん。こ、これって……」


「あぁ、身代わりの指輪だ。サフィーナのは身代わりの腕輪。サフィーナはすぐ大きくなるだろうから腕輪にしといた。」


 身代わりの指輪:つけた者が瀕死のダメージを受けたとき、一度だけ肩代わりしてくれる魔法の指輪。


「これから、冒険者としての依頼も受けるし、2人にもしもの事があるといけないからな。」

「わーい♪サフィーナ頑張るよー!!依頼パパッとこなしちゃうからー♪」

「えっと……この指輪を男性が女性に贈るって……貴族では、こ、婚約指輪ってことなんですけど……。

 ぐ、偶然ですよね……たまたまですよねぇ。」

 おおう……マジか……。

「え……と、結婚してください?」

 おおい……俺、何言ってんだよ!!こんなことノリで言ってんじゃねぇよーー!!俺!!

「えっと……よろしくお願いします。」

 そうだよねぇ…いきなりだったから断るよな。普通。そりゃ、よろしくおねが……はい!?

「え?えっと……アイリ、今、なんて言ったの?」

「えと……これからもよろしくお願いします……って」

「あれあれあれー?サフィーナお邪魔だったかなー?お邪魔だったかなー??」

 ヤバいヤバいヤバい……頭が真っ白になってサフィーナにツッコめねぇ……

「ちょ、ちょっと落ち着いてね。アイリ。俺は、プロポーズしたんだよね?今……」

「はい!」

「で、アイリはそれを受けてくれたって認識で、その……あってる?」

「は、はいぃ!!!」

 俺たちは、両想いだったらしい。っというか、これ本当か!?完全に思考停止に陥ってるぞ!

「ねーねー。ユウマー。サフィーナにはいつプロポーズしてくれるのー?」

「あぁ……大きくなったらな!……って何言わせてんだよ!!」

「うわー、ユウマに襲われるー!逃げろー!!じゃあ、サフィーナ向こうに行ってるからー。」

 テテテテーと広場の向こうに走っていく。クソ、気を利かせたつもりか!!グッジョブだ!!


「あのアイリ!」

「は、はい!ユウマさん。」

「改めて言うぞ!本当に俺と結婚してくれるか?」

「はい!!ユウマさん。」

「俺、無茶ばっかりして、迷惑かけるかもしれないけど……それでもいいか?」

「はい!!私も、おっちょこちょいで迷惑かけるかもしれないですけど……いいですか?」

「もちろんだ!アイリは俺が守るから。俺についてきてくれ。幸せにするから!!」

「はいぃ!!私もユウマさんを幸せにします!!約束します!!」

 俺とアイリは、どちらともなく抱き合い、そっと口づけを躱した。


 俺は、この時、この世界で初めての家族が出来た。 


最後まで読んでくださってありがとうございます。

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