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盤上のイレギュラー~獲得SP2倍の冒険者は、世界の計算を狂わせる~  作者: 上山マヤ
第5章 王都編

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第89話 パーティ募集・王都編

 銅級ブロンズランクギルド。

 入り口には、話に聞いていた通りブロンズ製の盾が飾られていた。


 マナ認証を受けて入場する。


「初めてですね。どうぞ、お通り下さい」


 受付の職員に丁寧に案内され、重厚な扉が開く。


(ここが、王都のギルド!)


 ……あんまりレベックと変わらないな。

 いや、十分広いのか。

 ここに居るのって、全員が銅級なわけだし。


 館内は多種多様な種族で溢れ返っていた。

 気持ち、人間の方が少ないかもしれない。


「さて、えーと……」


 カウンターに並ばなくても、掲示板からクエストが見れるんだったよな。

 周囲を見渡す。


(あれか)


 壁際に並ぶ掲示板のパネルにアクセスする。

 視界にクエスト一覧がポップアップされた。


(これ全部、銅級のクエストか。えらい量だな)


 ざっと目を走らせると、ダンジョン攻略系が圧倒的に多い。

 無限ダンジョンがあるからか。


 レベックで、チャールズたちが言っていたのを思い出す。

 王都は、無限ダンジョンの資源があるからこそ栄えたのだと。


 募集要項を見ると、王都でもパーティ募集に魔法使いの需要が高いのは同じみたいだ。

 『踏破クエスト』という名目が多い。

 要はダンジョンを探索してこいってことなんだろう。


(王都に来たんだ。無限ダンジョン、挑戦するしかないよな!)


 俺は手頃な募集要項に触れて、参加申請を送った。

 ――パーティに加入しました。


 視界の端のマップに、パーティメンバーの位置が表示される。


(さて、どんなパーティなんだろう)


 ◇ ◇ ◇


「タケルといいます。よろしくお願いします」


 合流地点で声をかけると、軽装鎧を着た短髪の男が振り返った。


(みんな結構年上っぽいな)


「おう、俺はこのパーティリーダーのカーティスだ。変わった格好してるな? 魔法使い(ソーサラー)なんだよな?」

「はい。杖は後ろのベルトに付けてるんです」


 俺は腰の後ろから短いオークの杖を取り出して見せる。


「水の水晶は持ってるか? ダンジョンでは水資源が少ない。階層によっては、全く水が手に入らない場合も多いからな」

「あ、俺はエナックの魔導具機能で水を出せるので――」


 俺が懐から黒い石板を取り出した瞬間だった。


「エナック持ち!?」


 カーティスが目をひん剥いて素頓狂な声を上げた。


(あっ……)


 しまった。エナックは高価な品だった。


「おい、カーティス。このガキ、絶対金持ちのボンボンだぜ。面倒臭いことになるから追放しようぜ」


 身の丈ほどある大盾を背負った大男が、カーティスに耳打ちしていた。


「まあ、待て。焦るなアントン。ボンボンが全員使えないわけじゃない」


(そういうのは聞こえないところでやって欲しい!)


 耳打ちしているつもりかもしれないけど、丸聞こえだ。

 このままだと、追放モノが始まってしまう。


 カーティスは腕を組み、ジロっと値踏みするように俺の全身を凝視した。


「お前、貴族……じゃないよな。アカデミー生か?」

「いえ、王都へ来たばかりで」

「出身は?」


(日本です。なんて言えないよな)


「か、カウベル」


 俺が最初に降り立った村の名前を口にすると。


「へえ! マジかよ! 俺の親父の出身もカウベルなんだよ!」


 強面だったカーティスの顔が、パッと花が咲いたように明るくなった。


「カウベルの人間に悪い奴はいねえ! 採用だ!」

「おいおい。カーティスの親父さんって、たしか酔っぱらって暴れてたよな?」


 大盾のアントンが呆れたようにツッコミを入れる。


「飲まなきゃ良い親父なんだよ!」


 カーティスが胸を張って言い返す。


「低俗な会話は終わったかな?」


 隣にいた、もう1人の物静かな男が冷ややかな声で口を開いた。

 尖った耳。

 淡い金髪。

 エルフだ。


「君は稼がなきゃいけないのだろう? 食っちゃべっている暇があるのかい?」

「わかってるよ!」


 エルフの冷たい視線に、カーティスが慌てて仕切り直す。


「実のところ、俺たちのパーティは完成している」

「そうなんですか?」

「アタッカーの俺。タンクのアントン。そして、回復と攻撃魔法のイーライだ」


(イーライさんの負担が大きそうだけど……)


 アントンが「おう」と大きな盾を掲げて見せた。

 イーライと呼ばれたエルフの男が、俺をじっと見据える。


「エルフのイーライだ。君はエルフに会ったことは?」


(エルフって……霧橋の宿で見たくらいか?)


「一度だけあります」

「ほう、強かったか?」

「いえ、朝からずっと酔っぱらっていたので、そこまでは……」

「ちっ、エルフの面汚しめ」


 イーライが忌々しげに舌打ちをする。


「はははっ。エルフにも色んな奴が居るんだな!」


 アントンが豪快に腹を抱えて笑った。


「王都に来たばっかだってな。なら、無限ダンジョンに入ったことも無いのか?」


 アントンが笑いを収めて尋ねてくる。


「はい、全部初めてです」

「タケル、お前の役割は後方支援だ。まずは俺たちの戦いを見て学んでくれ」


 カーティスが一歩前に出て、俺の肩をポンと叩いた。


「最近はダンジョンに異変が起きてるらしい。低層じゃあまり聞かねえが、中層辺りから階数に合ってない強力なモンスターと遭遇エンカウントすることもあるみたいだからな」


 カーティスの声に熱が入る。


「絶対に無茶をするなよ! 無事に帰ってくることが最初の仕事だと思え!」

「わかりました!」


 熱血漢らしい真っ直ぐな言葉に、俺は力強く頷いた。


「誰がどれだけ活躍しようが、報酬は均等に分配する。それがパーティってもんだ!」


 カーティスが白い歯を見せて笑う。


(悪い人たちじゃなさそうだ。開始早々、追放されそうになったけど)


 俺はホッと胸を撫で下ろす。


 王都での初めてのパーティ戦だ。

 レベックの時のようなやらかしはしない。

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