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盤上のイレギュラー~獲得SP2倍の冒険者は、世界の計算を狂わせる~  作者: 上山マヤ
第5章 王都編

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第87話 王都アステリア

「タケル! 向こうに整備された道があるわよ!」


 ユラが東の方角を指差す。

 見れば、土の道から一変し、平らで滑らかな道がどこまでも続いている。


(あっち側が正規のルートだったのか)


「道が、硬い!」


 ラクンはしゃがみ込み、珍しそうに地面をペシペシと叩いている。

 俺も触れてみた。


(アスファルト……じゃないな。この世界の技術なのか?)


 石畳よりも滑らかで、継ぎ目がない。

 行き交う馬車とすれ違ったり、追い抜かれたりする。

 馬車と言いつつ、荷台を引いているのは巨大なビーバーだったり、初めて見る多脚の魔獣だったりする。


 車輪に目をやると、例の魔法がかけられている馬車も多かった。

 水魔法の〈ウォーター・シェル〉のスキル開花。

 タイヤのようなチューブ状にして車輪を包み込み、衝撃を吸収している。


(俺も練習して使えるようにならないとな)


 これが使えるだけで、結構稼げそうなんだよな。

 相変わらず財布は羽のように軽い。


(ん? この世界も左側通行なのかな?)


 目にする馬車は、どれも規則正しく左側を走っていた。

 

「俺たちも、もう少し左側に寄ろうか」

「そうね。邪魔になっちゃうし」


 トラベルに騎乗しているユラが手綱を引く。

 ラクンは整備された道が楽しいのか、骨のプランターを背負ったままトテトテと小走りで進む。


「……見えてきたわ」


 ユラの声に、俺も顔を上げる。


「ついに……王都まで来たのか」


 俺はふと、隣を歩く2人を見た。


(……まてよ?)


 ユラは、レベックの街にすら入ったことがなかった。

 おそらく、ネコ族の集落とその近辺だけが彼女の生活範囲だったんだろう。

 ラクンに至っては、ずっと洞窟と山で暮らしていた。

 そして、俺は言うまでもなく、この世界を知らない。


(つまり、俺たち全員が究極の世間知らずってことか!)


 ◇ ◇ ◇


 目の前に現れた王都アステリアは、想像を絶する巨大な都市だった。


 果てしなく続く高い防壁。

 その向こう側には、なんと青い海が広がり、巨大な帆船が何隻も浮かんでいる。


(船まであるのか)


 ひときわ目を引くのは、空を突くような美しい尖塔と、荘厳な王城。

 アニメや映画で観たような光景が、現実として目の前に広がっている。


 レベックが大都市だと思っていたけど、ここは次元が違った。


 俺たちは列に並び、マナ認証をパスして王都へと入場する。

 相変わらずユラは、少し警戒しながら認証板に触れていた。


「我も、やるのか?」


 ラクンは、いつもの人見知りを発動させて俺の背中に隠れている。

 恐る恐る小さな手を板に乗せると、淡い光が点灯した。


「ゴブリン……? ああ、最近新たに亜人認定されたという種族か。通ってよし」


 門衛は少し珍しそうに目を丸くしたが、すんなりと通してくれた。


(そうだ。ラクンたちは最近、正式に亜人登録されたばかりだったな)


 ギドンさんやピサロの仕事の早さに感謝だ。


 ◇ ◇ ◇


「この宿もダメね。高すぎるわ……」


 ユラが宿屋の店先の看板を見て、耳をへにょりと伏せる。


「王都の洗礼って感じなのかな……?」


 街に入って早々、俺たちは現実を突きつけられていた。

 宿代がレベックの比ではない。

 物価が高すぎる。


(これ、とてもじゃないけど暮らしていけないぞ)


 急いでギルドで稼げるクエストを見つけないと。


「お、ギルドのマークだ!」


 マップにギルドの場所が表示される。

 俺たちは急いでその豪華な建物の前へ向かった。


 ◇ ◇ ◇


 ギルドの前には、厳重な装備の門衛が立っていた。


(ギルドに入るのにもマナ認証がいるのか?)


 俺が入り口の認証板に手を触れる。

 すると、門衛がスッと槍を交差させた。


「おっと、君はここに入れないよ。ここは金級ゴールドランク専用のギルドだ」

「え? 階級でギルドの建物が分かれているんですか?」

「王都には多くの冒険者が訪れるからね。どうしても階級別に分ける必要があるんだ。同行者や招待された場合のみ、入場可能となる」

「そうだったんですね。ありがとうございます」

「いつかここに入れることを祈ってるよ」

「はい、頑張ります!」


 門衛は親切に教えてくれた。

 俺が入れるギルドは、ブロンズ製の盾が目印になっているそうだ。


(つまり、この辺りは金級ゴールドや富裕層が生活する地区なのかもしれない)


 今の俺たちに合った下町の地区があるはずだ。

 銅級ブロンズギルドを探さなきゃいけない。


 それにしても、右も左も分からない。

 ここはジャックを探した方が早いか。

 あの貧乏貴族でも、王都のことはよくわかってるだろうし。


 大通りを歩く。

 ユラとラクンはフードを目深に被っている。

 けれど、すれ違う王都の亜人や獣人たちは、フードなど被らずに普通に堂々と歩いている。


(人間と他種族との壁みたいなものは、王都にはないのかな?)


 ラクンは初めて見る大都会の景色に、口をぽかんと開けたまま呆然と立ち尽くしていた。


「ほら、ラクン。口を閉じて、しっかり歩いて」

「……あー」


 ユラに手を引かれ、引きずられるようにして歩くラクン。

 俺はトラベルの手綱を引きながら、その光景に苦笑する。


(馬よりも、不思議な乗り物や魔獣の方が多いな)


 普通にモンスターっぽいのが荷車を引いているけど、誰も気にしていない。

 ここが、王都。


(やっと着いたよ。チャールズ)

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