惨劇
「わ、わかったのだ...」
トーヤの殺気に気圧されながら、コウは返事をした。セイナは殺気に当てられて顔が青くなっている。ゴーキは今までに見たことのないトーヤの姿にいまだに、目を見開いていた。
「どうした?三人とも。早く行くぞ」
「お、おう。とりあえずよ、トーヤ。その殺気を抑えてくれねぇか?そんなんじゃ相手も逃げちまうぞ」
「......これでも抑えてるんだが?たいして出てないだろ?」
なに食わぬ顔で言うトーヤにゴーキは絶句した。
「何より、お前たちの意識があるのが証拠だ。殺気を抑えなかったら少なくともセイナは倒れてるな」
「...そうか。とりあえず、もう少しだけ抑えてくれや」
「仕方ないな......これならいいだろ?」
トーヤは出していた殺気を3分の1程度に抑えた。
「セイナ、これなら大丈夫か?」
「は、はい...」
「ゴーキ、一つだけ言わせてもらう」
「なんだよ」
「仮にも雷帝だ。あの程度の殺気に動じるはずがない。なんならあれの倍は出すだろうな」
「なんでそんなことが言えるんだよ」
「元炎帝のジジィを見たからな。あのジジィと同格ならそれ位できるだろう」
「......そうかよ」
(こいつなんつー殺気を出すんだよ。しかもあれで抑えているとか。こいつ、銃を使わなくても強いんじゃねーか?)
そしてトーヤは歩く足を早めた。
険しい山のはずなのだが、まるで平地を歩くかの如くトーヤは歩いていく。
ゴーキと、山に慣れているコウはなんとかついていくが、セイナは一人遅れていた。
「待つのだ!セイナさんが遅れているのだ!それにトーヤは道が分からないのに先行しないのだ!危険なのだ!」
「......この先に俺の殺気に反応した気配があった。恐らくそいつが雷帝だろう。だから道は分かる。そうだな、ゴーキはセイナに着いておけ。コウ、行くぞ」
「だ、だから待つのだ!」
トーヤはそう言うとさらに速度を上げた。
(おかしいのだ!トーヤのことを少ししかしらないけどこれはおかしいのだ!あの少年は一体どんな存在だというのだ!)
コウは慌てて追いかけた。
五分ほど進むと一つの小屋が見えてきた。
「あれなのだ。あいつらを追い出して欲しいのだ」
「......おかしいぞ、人の気配がない」
「そ、そんなはずないのだ。とりあえず行ってみるのだ」
二人が小屋を開けるとそこにあったのは傷跡がない死体の山と、真っ黒に焼かれた死体だった。




