チェフの決意
トーヤとセイナは、チェフの店へと入っていった。
店の中には工具の類いしか置いていなかった。
「さぁ、『スライムの核』を見せてくれ!」
「ほれ、これだよ」
トーヤはスライムの核が入った袋ごとチェフに手渡した。
袋に入ったスライムの核の数をみてチェフは驚きの声をあげた。
「こ、これは確かにスライムの核!!しかしこの量は一体...おい!クソガキ!一体この数はどうしたんだ!?」
「うーん、どうしたって言われてもなー.....運も実力の内っていうか、運が実力っていうか...」
「なにいってるんだ?...まぁいい!ふっ、久し振りにやりがいのある仕事だな。そういや、てめぇのメインウエポン見せてみな」
「これだが?」
トーヤはハンドガンを見せた。
「はぁ!?お前さんこんなものを使ってんのか!?これじゃ火力が足りないだろ!!ゴブリンも殺せねーよこんなのじゃ!」
「はぁ?ゴブリンは余裕だったぞ。かなり」
「...クソガキ、てめぇレベルは?」
「4だな。まだまだ駆け出しの冒険者だ」
「......一体どうなってんだよ....」
「まぁ、気にするな。ところで、こいつじゃ何か問題があるのか?」
「まぁな。『核爆発弾』なら使える」
「じゃあいいだろ」
「いや!俺が今から作るのは『核爆裂弾』だ」
「どう違うんだ?」
トーヤが聞くとチェフは簡単な図を書き始めた。
「『核爆発弾』はな、着弾時半径1mに爆発を起こす。『核爆裂弾』はな、着弾時半径1mに爆発を起こし、核の欠片を半径5mに飛ばすんだ」
「強いのか?」
「勿論!スライムの核はな、ダイアモンドよりも硬いと言われてんだよ!」
「へぇ、すごいなそりゃ」
「おうよ!俺もな、若い頃一個だけ運よく手に入ったんだよ。それで核爆裂弾を作ったんだ。そいつをダンジョンのボスに使ったんだ」
「どうなったんだ?」
「一撃さ、一撃!すさまじい威力だったさ!」
「ほう、じゃあさっそく作ってくれ。どれくらいかかる?扱いが難しいみたいだから一ヶ月とかか?」
「はん!舐めんじゃねぇよ!一日で終る!」
「そんなに早いのか?他の仕事はないのか?」
「この仕事より優先するものなんてねーよ!わかったらさっさと帰りな!」
「...すまんな。報酬はその弾一個でどうだ?」
トーヤの言葉にチェフは目を見開いた。
「......いいのか?」
「あぁ。それだけあるからな。これからも世話になりそうだしな」
「よし!決めた!」
「...なにをだ?」
「中古で悪いが俺が使っていたやつをてめぇにくれてやる!」
「いいのか?」
「あぁ!メインはやれんが俺がサブで使っていた物をやる!明日とりにきな!」
「悪いな」
「気にするな!ところで、俺がBランク以上にしか商売しない理由がわかるか?」
「わからん」
「若いのに死なれたくねぇからだよ」
「......そういうことか」
「だが、てめぇなら大丈夫だろ?」
「当たり前だ」
「よし!作業に入るから帰りな!」
「あぁ。じゃあな。いくぞ、セイナ」
「...は、はい」
トーヤと完全に蚊帳の外だったセイナはチェフの店をあとにした。




