職人の葛藤
二人はどんどん人通りのない道を進んで行く。
アイテム屋の主人に書いてもらった地図を頼りに歩いていた。
「あ、あのー、トーヤさん?まだつかないのでしょうか?本当にこの道であってるんですか?」
「たぶんな。アイテム屋のおっさんを信じるんだ。さすれば道が開ける、ってな」
「うーん、どこもかしこも寂れていてやっているのかどうかも怪しい店ばかりですね」
「あ、たぶんここだわ。地図にも書いてあるし。『めちゃめちゃ上から目線の張り紙がある』って」
「...たしかに、これは...。ていうか私たちダメじゃないですか」
セイナが言った理由は簡単。そこには、
『Bランク以上の冒険者限定!!それ以外の客は撃ち殺す!!』
と書いてあるからだ。
「いや、なんとかなるだろ。てか、なんとかする」
「??よく意味がわからないんですが...」
「まぁ、おとなしく見てろって」
そしてトーヤは、ドアを蹴破った。
「な、なにしてーーー」
「なししてんじゃクソガキがー!!そのとドタマ撃ち抜くぞ!!」
そして怒り狂った男がライフルをもって飛び出してきた。
その男ははげており、顔や体のいたるところに傷がついており、それは長年の歴戦を物語っていた。
「この元Aランクの冒険者、チェフさんの店だとわかってやってんのか!?あん!?」
「知るか。俺は客だぞ」
「はん!貴様みたいなクソガキが客だと?笑わせるな!?書いてあるだろ!?Bランク以上の冒険者限定だぞ!?貴様みたいなのがそうだっていうのか!?」
男は終始怒鳴った口調でいう。どうやらトーヤの態度と言葉使いが気にくわないようだ。
しかしトーヤは冷静に、
「俺はFランクだ」
「ふん!ほれみろ!さっさと帰りな!貴様みたいな素人が来る場所じゃねーんだよ!」
「そっかそっか、いやいいんだよ。俺たちが悪かったよ。セイナ戻るぞ」
「え...でもさっき....」
トーヤの言葉に焦るセイナ。
そしてトーヤはセイナの耳元で、
「いいから俺に任せろ」
と、小さな声で言った。
「はん!分かったらいいんだよ!お前らがBランク以上になったら見てやるよ!」
「あぁ、わかったよ。いやー、残念だ。『スライムの核』なんてアイテムを持っていても、Fランクの俺たちじゃダメだよな。仕方ない。別の店にいくぞ」
歩き出すトーヤの肩をガシッとチェフが掴んだ。
「......今なんて言った?」
(よし!かかった!)
トーヤは振り向き、
「Fランクの俺たちじゃダメだよな、って言ったが」
「その前だ!」
「いやー、残念だ」
「そのあと!」
「『スライムの核』なんてアイテムを持っていても、Fランクの俺たちじゃダメだよな、か?」
「...その話本当か?」
「査定は済ましてあるが、いやー、ね?Fランク冒険者の戯れ言と思って聞き流してくれ」
「くっ...、見せてみろ」
「遠慮しますよ。なんてったってBランク以上の冒険者しかダメな店の主人になんて見せれませんよ」
「っ!?」
「仕方ない、店の決まりじゃね。ではサヨウナラ」
そしてトーヤは数歩歩き、
「セイナ、どうしようか」
「え?えっと...なにがです?」
「勿論、『スライムの核』だよ。仕方ないから適当な店でつくってもらうしかないよな」
(このクソガキ...わざとだな?)
二人の会話を聞きながらチェフは思った。
(こっちが受けるしかないような状況に引き込もうとしてやがる。そこら辺の店に加工ができないのも知っての上で。しかも、この店の決まりを逆手にとって、料金も踏んだ来るつもりだ。くそっ、このクソガキ、口だけは一人前だな)
「おいクソガキ......金はいいから俺にやらせてくれ。ランクは関係ねぇ。お前は口だけは一人前だからな」
「そうか、悪いな。そんなつもりなかったのに」
「...本当にクソガキだな。さっさと店に入れ!」
「あいよ。ほら、入るぞ」
「......なんでしょう。トーヤさんが悪人に見えてきました...」
二日に一本...なかなかきつそうですね...




