↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰りの俺と、残された四人 ―テラ・マートは知っている―  作者: 山田村


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
93/151

第93話 合流



 地球側では、大塚による、ネット構築第二弾の作業が始まっていた。


 今回は、作業のために建てられた特設の小屋で、電源確保の実用試験を行うことになっていた。


「現代機器を動かすには、電気がいる。だが、この世界には、コンセントも電線もない。当たり前だけど」


 大塚は、後で見返す緒方に問いかけるように、カメラの方を見ながら、そう呟いた。


 段ボールから、よっこらしょと引っ張り出したのは、金属製の、重い円筒型の器具だった。


「熱電発電——TEGジェネレーター。まあ、これが今回の主役だ」


「拓也、そこに転がってる薪、適当に焚べて、火をつけて。あ、火傷すんなよ」


 言われるがまま、拓也がせっせと火を起こすと、パチパチと乾燥した薪が爆ぜ、オレンジ色の炎が上がった。


 ジェネレーターの内部では、火の「熱」と、外気の「冷たさ」の温度差によって、目に見えない電気が生まれ始めていた。


 大塚は、よれてシワになったシャツの袖をまくり、太いケーブルを、ポータブル電源へと繋いだ。


 ピカッ、と液晶画面が点灯し、数値が「0%」から「1%」へと跳ね上がる。


「おお……! 魔法も使わずに、ただの火から、電気が生まれたぞ!」


「まぁ、熱を電気に変えてるだけなんだけどね」


 大塚は、軽く笑いながら、続けた。


「ソーラーパネルと違って、雨が降ろうが、地下室に引きこもろうが、薪さえくべりゃ、二十四時間、いつでも充電できる。これが、俺たちの『ミニ発電所』。地味だけど、一番頼りになる、おっさんみたいな機械だよ」


 数日かけて、ポータブル電源は、百パーセントになった。


 大塚は、重い腰を叩きながら、次の作業へと、移っていった。


―――


 同じ頃、異世界では、緒方が、結城を通じて、クロエたちに、話があると伝えた。


 屋敷を訪れた三人は、緒方の様子から、何かを察しているようだった。


「ガラニア国の、最新の情報が入った」


 緒方は、前置きなく、そのまま切り出した。


「王家は、滅んだ。国は、二大貴族による南北の分割統治になった。一部の海岸は、隣国に占拠されたままだ」


 クロエは、しばらく黙っていた。


「……そうか」


 それだけ、答えた。


 ガルムは、拳を握りしめたが、何も言わなかった。シルヴィアは、視線を落としたまま、小さく息を吐いた。


 もとより、あの国は、仲間を無理な戦いで死なせ、自分たちも殺されかけて逃げ出した、最悪の国だった。今さら、驚くようなことは、何もなかった。


「……戻る場所が、なくなったな」


 クロエが、ぽつりと言った。


「戻る気も、もとから、なかったけどな」


 ガルムが、短く返す。


「それなら——」


 結城が、静かに切り出した。


「うちに、正式に合流しないか。ケインも、もう一緒にやってる」


 クロエは、しばらく、結城の顔を見つめていた。


「……世話になる」


「よろしく頼む」


 ガルムとシルヴィアも、それぞれ頷いた。


 こうして、クロエ、ガルム、シルヴィアは、結城たちのパーティーに、正式に加わることになった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。