↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰りの俺と、残された四人 ―テラ・マートは知っている―  作者: 山田村


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
158/167

第158話 俯瞰





 結城は、続けて、日本仕様の超小型偵察衛星——十数基を、高度五百キロメートルの低軌道へと投入した。


 この衛星には、光学カメラと、SAR——合成開口レーダーが搭載されている。数十センチメートルという解像度で、地上をピンポイントに撮影できる性能だった。


「SARレーダーを使えば、夜間や悪天候時でも、雲を突き抜けて、地上の監視ができます」


 結城は、モニターに映る映像を見ながら、そう説明した。


―――


 次に、飛行機型ドローンによる、四機のローテーション運用が始まった。


 加えて、最新の科学技術による、高高度滞空型ドローン——HAPSの運用も、あわせて開始される。


 AIによる機数の節約と、ドローンのスマートな運用——AIが、飛行ルートをリアルタイムで再計算し、巡回させることで、最小限の機数のまま、世界全土の要所を、隙なく監視できるようになっていた。


 低軌道衛星が撮影した大容量のデータは、宇宙空間での衛星間通信によって、静止衛星を経由し、地球の裏側からでも、タイムラグなしに、地上のスーパーPCへと即座に転送された。


 また、静止衛星が、熱源などから、不審な動きを検知すると、AIが瞬時に計算を行い、次にその上空を通過する低軌道衛星へ、自動でカメラを向けさせるコマンドを送信する——そんな、自動ターゲティング機能も備わっていた。


―――


 緒方と結城は、米軍に匹敵する監視システムを構築したことで、この世界の全体図を、初めて目にすることになった。


 モニターいっぱいに広がる映像を前に、二人は、しばらく、言葉を失っていた。


「……これが、この世界の、全部か」


 緒方が、掠れた声で呟く。


「はい。……正直、実感が、追いつきません」


 結城も、同じ思いだった。


 すべてのデータを、このPCだけで解析しきれるかは、まだ分からない。ひとまずは、日本へデータを送り、本格的な分析を待つしかなかった。


 緒方は、その旨を、侯爵に報告した。


―――


 翌日、王妃と侯爵は、大陸全土のリアルタイム映像を目にし、思わず、声を上げた。


 映像には、東に大きく広がる、アルデナ帝国の版図。北には、軍事色の強い大国、ノルデンガルド王国。さらに、その最北には——魔王の国と呼ばれる、未知の領域が、広がっていた。


 東の大森林には、エルフの自治区。西には、あのヴォルガニア連合。その南に、同盟国である南ガラニア国が、寄り添うように位置している。


 さらに南へ目を移せば、砂漠の王国。南の山脈を挟んだ先、東南に突き出た半島には、いくつもの小王国が、身を寄せ合うように点在していた。


「……あれは」


 王妃が、身を乗り出す。


 半島の先、海を隔てた南に、大きな島影が、映り込んでいた。


「あれは……伝説の地なのか?」


 その問いに、すぐに答えられる者は、誰もいなかった。


「これは……」


 侯爵もまた、映像から目を離せずにいた。軍事的な要衝、脅威となり得る勢力の規模——見えてくる情報の多さに、頭の中が、追いついていないようだった。


 さらに、半島からも海を大きく隔てた先に、名も知らぬ小島の群れが、点々と連なっているのが見えた。


 誰も足を踏み入れたことのない世界の広がりが、たった一枚の映像となって、初めて、目の前に差し出されていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。