↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰りの俺と、残された四人 ―テラ・マートは知っている―  作者: 山田村


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
124/163

第124話 完成





 魔喰蚕の討伐は、事前の予想に反して、拍子抜けするほど順調に進んだ。


 芋虫の姿を想像して顔を歪めていた東條だったが、いざ相対してみれば、他の魔物と変わらぬ手際で、淡々と仕留めていく。二十体の魔喰蚕を、無事に確保した。


 翌日、一行は、最後に残った素材——次元トカゲの皮を求め、現地へと向かった。


 次元トカゲの狩り方は、大きく二つ。完全に殺気を絶ち、気づかれないよう忍び寄る隠密の手法。もしくは、「相手が転移魔法を発動するよりも速く、超音速で首を刎ねる」という、力技の手法だった。


 今回、活躍したのは、ケインの隠密スキルだった。気配を完全に絶った状態で距離を詰め、まんまと捕獲に成功する。


 討伐を終えた一行は、ギルドで素材の解体を依頼した。魔喰蚕は、シルヴィアが必要とする分だけを引き取り、残りは売却する。魔喰い蜥蜴は、魔結晶をすべて引き取った上で、素材としては一体分だけを確保し、残りは売却に回した。次元トカゲについては、皮以外はすべて廃棄となった。


 ここから先は、シルヴィアの仕事だった。


 まず、次元トカゲの皮を、丹念になめす。次に、ミスリル銀の粉末と、魔喰い蜥蜴の血を混ぜ合わせ、特殊なインクを作り出す。そのインクで、裏地に「魔法陣」——「空間拡張」と「重量軽減」の効果を持つ陣を描いていく。


 魔法陣が正確に繋がるよう、丈夫な魔物の糸で、鞄の形に縫い合わせていく。留め具と底板の部分には、空間を維持するための動力源となる、魔結晶を丁寧にはめ込んだ。


 最後に、自らの魔力を、丁寧に流し込む。


 魔法陣が、淡く光り、そのまま定着した。


 ——完成だった。


 早速、シルヴィアが、出来上がったばかりの鞄を手に取り、試しに使ってみることにした。


 鞄の口を開け、中へと手を差し入れる。実際に呑み込める容量は、縦・横・高さ、それぞれおよそ二メートル四方——最大級というわけではないが、日常使いには十分すぎるほどの、標準的なサイズに仕上がっていた。


 手近にあった荷物を、次々と放り込んでいく。剣、荷物袋、果ては小ぶりの樽まで、鞄は、そのすべてを何事もなかったかのように呑み込んでいった。


 持ち上げてみると、重さは、ほとんど感じない。


「うん、これくらいあれば、十分ね」


 シルヴィアは、満足げに頷いた。


―――


 三日後、約束通り、深町先生が再びやってきた。ただし、今回の話題は、洗濯の魔道具や生活魔法だけではなかった。


 拓也は、グレーカレコ王国から送られてきたばかりの物資——赤いダイヤ、金塊、薬草、魔物素材、鉱物、翻訳前の本、そして回復薬について、順を追って説明した。


 深町先生は、次第に興奮を隠せなくなっていった。社員のお姉さんが、隣で必死に宥めている。


 最後に、拓也宛に送られてきた映像を、一緒に鑑賞することになった。


「やー、拓也、元気してる? こちらは……」


 映像は、そんな言葉から始まった。続く光景に、深町先生は、すっかり興奮した様子を見せる。


「おー、エルフ!」「でかっ、猫獣人!」


 次々と映る顔ぶれに、深町先生は、子供のようにはしゃいでいた。


「街並みの雰囲気とお城……観光じゃない、生活感があるのが、何とも心地いいねー」


 映像を見終えると、深町先生は、そう感想を締めくくって、帰っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。