聖女 43 脱出 その2
43
「断るーーーっ!」
こいつ、生理的に、ぜったいダメなタイプ!
思い切り突き飛ばして跳ね起きる・・・つもりだったけど、身体がついて行かなくて、私はソファから転がり落ちた。
「なんだ!動けるのか!」
「『止まれ!アルカ!』」
青髪騎士団長が叫ぶ。
【『威圧』発動感知】
声に魔力を乗せていたらしくびりっと来たけど、私はアルカじゃないの!
その時。
青髪の後ろにいた魔導師の一人が、いきなりマントを脱いで青髪の頭にばさりと被せた。
首の後ろに手をあてると、熊のようにでかい騎士団長がどう、と倒れる。
その腰の剣を逆手で引き抜き、柄頭を金髪王子の鳩尾にめり込ませた男は、重い剣をひょいと持ち換えて投げ、銀髪眼鏡が腰から引き抜こうとした杖を跳ね飛ばした。
すべてが一連の、一瞬の動作。
片手で私の胴を抱え上げた、修道僧のような服を着た男は黒髪に銀のメッシュ。綺麗なサファイアブルーの眼。
(ヨミ!)
巻き毛のアンジェロは扉へ走った。
「曲者だっ!誰か!衛兵っ!」
杖を失くした銀髪眼鏡が指を突き付け叫ぶ。
「『拘束』!」
私のマントが間にばさっと広がった。
【『防御』】
ヨミは私を抱えたままベランダへ走って、手すりを越えて飛び降り、え!
飛び降りたーっ!
「ぎゃーーーっ!」
こわーっ!




