聖女 36 魔力制御 その3
36
アトス・クアトロス神殿の、ローハタン老。
その老神官なら、私に魔力の使い方を教えてくれるかもしれない。
ひとつ、目標が出来た。
問題は、私が王宮を出て行けるかどうか。
「アルカ様、
そろそろ待たせてある馬車に戻らないと、皆が探し始めてしまいます」
そう、このアンドレアに迷惑をかけずに。
別れる前に、教母様はアンドレアに何か言い、子爵は頭をうなだれて聞いている。
小柄な教母さまがアンドレアの肩を抱き、その耳に囁く。
そして、二人は遥に向き合った。
「アルカ様、お聞かせください。貴方は、この国をお救い下さる意志がおありですか?」
アンドレアは『真実の判定』のギフトを持つ聖騎士。
いい加減な答えは出来ない。
「ここに来た以上、この世界に対して、私は自分に出来ることはする。
でも、それは私自身の意志でやる事。
王族の言いなりに、「ナンドールの聖女」になったりはしない」
「聖女」だの、「魔女」だのの、括りはいらない。
私は遥。
私自身の、意思で動く。




