聖女 35 魔力制御 その2
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だって、使ったって自覚がまるでないんだよ。
いきなり水をかぶって腰を抜かしたのは、魔力がごっそり抜けて貧血みたいになったから。
一回へまをしたから、身体が自動的に調整して、次の時は倒れない程度に魔力をセーブしたらしい。
と説明されるけど、こっちはまったく無自覚。
「いたいのいたいのとんでけ」なんてちっちゃい子にしてやる、ふつーのおまじないじゃないか。
こんなのが「聖女」だなんて、危なすぎるでしょう!
頭をかかえて唸っていると、教母様が湯気の立つカップを持ってきて勧めてくれた。
お湯の中でくるくる回っている、一枚の緑の葉っぱ。
薄荷に似た良い香りの湯気を吸い込む。
【槿葵の葉】白湯に浮かべて香りを楽しむ。茶葉の代用品として貧しい庶民が愛飲する。開きかけた蕾は高級な花茶の材料となる。
ちょっと集中すると、発動する『鑑定』。
ここが異世界だって、私がルールに外れた存在だって、はっきり教えてくれる。
「アルカ様」
私の前に膝をついた教母様が、心配そうに言った。
「アルカ様、あなたは光の神殿を尋ねられた方がよろしいと思いますよ」
「神殿?教会じゃなく?」
「世俗を離れた巫女と神官が祈りをささげる場所です。
神聖魔法を持つ子供たちの教育もしていて、私もマデリーナもそこで教育を受けました」
教会は信者とお布施を集めて、布教を広める組織。
神殿は、個人が研鑽し修行を積む場所。
同じ光の女神様を奉じていても中身は全然違う。
「ルウムの八公国の中で光の神殿を持つ国は三つしかありません。
ここ、ドア・ナンドールにあるアトス・クアトロスの神殿はその中で最大。
神殿のローハタン老なら、きっとあなたの力になってくださるはず」
光属性魔法と神聖魔法の差異を研究し、魔力が暴走しがちで制御できなかった、幼いころの教母マデリーンをささえ、励まし、制御法を教えてくれた、老神官がいるという。
『王都からだいぶ離れた北の山の中じゃなぁ』
帽子が教えてくれた。




