聖女 27 ナンドール南教会
27
帽子が教えてくれた私のギフトは、とてもたくさんあったはず。
一人が一つか二つ持つ、ギフト。
女神の手違いで、九十九人分のギフトが私と、帽子と、マントに振り分けられてる。
これは絶対、ステータス鑑定なんかしてもらったり出来ない状況だ。
「アルカ様、そろそろ王宮に引き上げてはいかがでしょう」
アンドレアがためらいがちに切り出す。
聖堂への立ち入りを禁じられている獣人ヨミを伴っているのが、気になって仕方ないらしい。
だけど、聞いておきたい事が一つあった。
彼女には、申し訳ないけれど。
「アンドレア」
私はためらった末、切り出す。
「あなたの姉上も、この聖堂に勤めていたの?」
対価にされた姉上も、この、金ぴかの豪華な教会の住民だったの?
子爵はびくりと肩を震わせる。
直立不動のまま真摯な眼で私を見つめていた彼女は、やがてほーっと息を吐いて、言った。
「もう一か所、ご案内したい所が。
ご紹介したい人物がおります。
来て、いただけますか?」
私がうなずくと、子爵は正面入り口に向かわず、待合のような小部屋から、小さな扉をくぐって外へ出た。
聖堂の横手、控え壁って言うんだったか、突き出した壁の陰になって、正面から見えない場所。
あたりをうかがってから、子爵は素早く細い通りに飛び込む。
ヨミと私は、そのあとを追った。




