聖女 14 聖騎士
14
急いでヨミに虎の姿になってもらい、帽子を頭に戻し、しばらく待っていると。
静かなノックの音がして、扉がわずかに開く。
滑り込むように入って来たのは、さっきの男装の麗人。
警戒するようにさっとあたりを見回すと、座っている私に近づき、礼を取る。
「アルカ様」
真摯な眼。緊張にひきつった頬。
「伺いたい。あなたは、真実、召喚された聖女様だろうか」
ためらいがちに、口にする。
「こんな問いをして申し訳ない。
しかし、どうしても個人的に、お聞きしておきたくて、人払いして忍んできた。
あなたは、真実、対価の代償に、この地を浄化するために、いらしたのか?」
・・・これは・・・どう答えたものか。
せっかく国王たちを煙に巻いて退場したのに。
でも、この人・・・泣きそうだ・・・。
軍人を泣かしちゃ、いかんだろう・・・。
「・・・百人」
私の言葉に、相手はびくりと肩を震わせる。
「百人の命を犠牲にして、私はここに呼ばれたと聞きました。
なぜ、何のために、呼ばれたかもわからず、突然に」
『言葉に気を付けろ。この女の称号は「聖騎士」。
ギフトは「真実の判定」じゃ』
頭のとんがり帽子がささやいた。




