聖女 13 ナンドール聖騎士団
13
豪華絢爛な玉座に、ぐったりと沈み込む国王。
その前の小卓には、天鵞絨のクッションの上に小山になった水晶のかけら。
「貴重な鑑定水晶珠が・・・」
八王国に一つずつしか存在ない、国宝が。
計り知れない損失だ・・・。
あの生意気な魔女め
状況を見たうえで判断するなどとぬかしおって。
言質を取らせず、退出して行きおった。
眼の前で頭を垂れる、四人をにらみつける。
「役立たず共め」
建国二千年。
歴代の聖女の召喚手順と扱い方に、間違いはなかったはずだ。
異世界から呼び出され、不安に震える少女を王子が魅了し。
魔導師が唯一この世を救える存在であると幻惑し。
騎士団すべての力は聖女のためにと持ち上げ。
天使のような少年が常に傍らに侍る。
取り揃えた極上の美形たちの魅力になびかぬ少女はいなかったと言われている。
百五十年前の聖女は当時の若き騎士団長に恋して献身的に働き。
八十年前の聖女は王子の魅了の虜になった。
だが、今回は。
召喚されたのは、聖女ならぬ魔女。
鑑定水晶も砕けるほどの膨大な魔力の持ち主。
「あれに聖なる力が使えるのか?
いや、そもそも、あれを手駒に出来るのか?
あれを拘束する方法は?」
百人もの対価を消費し、数十年間溜め込んだ魔力を極限まで使いきる、召喚の儀式。
魔力の不足した魔導師が何人もひっくり返っていた。
これから別の聖女を呼び出すには、ふさわしい対価も、術式に込める魔力もまったく足りぬ。
既に各国に使者を出し、聖女派遣の要請と支度金という名目の代価が続々と届いているというのに。
瘴気が溢れ、魔が蠢くこの時は、近隣諸国に恩を売り、貢物をかき集めて国が肥え太る絶好の機会。
「なんとしても聖女を旗印にしたナンドール聖騎士団を立ち上げねばならぬ」




