聖女 12 聖女伝説
12
聖女を輩出する国
『この世界には魔物が出る。
あちこちに瘴気の吹き溜まりがあり、その近辺の生き物が魔に染まるのだ。
魔は人の手で倒せるが、原因の瘴気は聖女の力で浄化しなければ止まらない。
瘴気は数十年と言う長いサイクルで、増えたり減ったりする。
瘴気が強まり、魔が溢れ、人々の嘆きが天に届く時、ナンドールに聖女が顕現し、聖騎士団を率いて諸国をめぐり、瘴気を払い人々を守る。
昔からそういう事になっとるそうだ』
「顕現ねーえ、なんて都合のいい言葉だこと。
召喚のために大量殺人したくせに。
いきなり人を呼びつけて、ギフトとやらを押し付けて。
聖女に祭り上げてこき使って、周りの国に恩を売ろうってわけね」
『まったく、お前様は、また身も蓋もない言い方を。
まあ、そのとおりじやが』
「それで?その昔の聖女って、浄化の仕事を済ませたら元の世界に戻れたの?
役目が終わったら、戻してくれたの?」
『ふむ・・・そこまでは載っておらんのう』
ちっ・・・役に立たない百科辞典だわ・・・。
召喚の術を行った、この国の魔導師に聞くしかないのか。
もっとも、こんな呼びつけ方をする国じゃ、元から使い捨てにされると見といたほうがいい。
帰るのにも百人の命がいる、なんてことだったら、どうしよう・・・。
とんがり帽子と話し合っていると、頭の中にもう一つの声。
と、同時に、ヨミが言った。
【未確認人物、接近中】
「誰か来た」




