第8話 金融資本主義と第三次産業について
初出:令和8年4月3日
私たちはこれまで金融資本主義経済と呼ぶべき社会に生きてきました。
ただの資本主義でなく、金融を頭につけるのは、株式市場など実体経済と乖離したマネーゲームのバーチャル経済が、経済全体を左右しているという意味です。
中国や北朝鮮など共産主義国家もグローバル経済に少なからず影響を受けることから、その経済は広義の金融資本主義体制下にあると言えるかもしれません。
経済アナリストの故・森永卓郎氏は死の直前、資本主義の終焉を予言しました。
株価は暴落し、円高ドル安になるとのこと。
ところが同氏の予言ははずれ、その当時より株価は上昇し、円安ドル高になりました。
しかしながら、「資本主義の終焉」という同氏の予言には一抹の真実が含まれているように私には思えるのです。
同氏によれば、株式市場を盛り上げるため、”胴元側”が新しい産業を持ち上げるなど、勝手なストーリーを作っているとのこと。
たとえばITバブル時代は、これからはIT産業が盛り上がるというストーリーを作り、関連産業の株価を上げ、昨今はAI産業が盛り上がるというストーリーを作ったとのこと。
AI関連株が行き詰まると、今度はAIには半導体が必要とのストーリーでNVIDIAなどの株を高騰させました。
本来、自由主義経済は私たち大衆の需要と供給の関係で動くはずですが、実はそれとは別に上記のように株式市場の”胴元側”がストーリーをでっち上げ、経済を動かしているとのこと。
戦争経済という言葉があります。
株式市場の”胴元側”は政治家を動かし、株式市場を活性化させるために適宜、戦争も勃発させます。
戦争が起きれば軍需関連産業の株は高騰します。戦争で都市が破壊されれば、戦争終結後は都市を再開発すべく建設業界に需要が集中するので建設関連産業の株は高騰します。
こうしたことをすべて計算した上で株式市場の”胴元側”のインサイダーたちは利益を享受しているのです。
私たちが本当にほしいものを与えず、株式市場の”胴元側”は自分たちの利益目的で社会の未来のストーリーを作るのです。
これが金融資本主義社会の実態です。
1.過剰な第三次産業
金融資本主義経済の悪しき特徴として私が思いつくのが、過剰な第三次産業の発達です。
ご存じの方も多いと思いますが産業は第一次産業、第二次産業、第三次産業に分類できます。
第一次産業は農林水産業です。第二次産業は製造業、建設業、鉱業を指します。この二つの産業は「ものづくり」産業と言えるでしょう。
これに対し、第三次産業はサービス業全般です。「ものづくり」はしません。
「ものづくり」を行わない第三次産業にも私たちの生活に必要なサービスもたくさんありますが、概して余計なサービスが蔓延しているのが金融資本主義経済だと私は理解しています。
行政は新しい産業を創出しては経済の活性化や雇用の拡大につながるとしていますが、無駄な産業、とりわけ無駄なサービス業の創出は無駄でしかない、と私は思うのです。
たとえば士業(コンサル業)というサービス業ですが、行政が規制を設け、資格を作り、新しい士業を誕生させているように思えるのです。
たとえば税理士と会計士は分けずに一つにしてもいいのではないでしょうか。
同様に弁護士、行政書士、司法書士も分けずに一つにできないでしょうか。
また特許や登録商標を扱う弁理士ですが、国際弁理士はともなく、必要ないかもしれません。
一方、私に言わせれば、国家に本当に必要なサービス業は以下の四つしかありません。
①治安維持サービス 軍隊、警察など
②救急レスキューサービス 消防士、救急士など
③医療サービス 医師、看護師など
④社会インフラメンテサービス 清掃業など
しかも上記サービスも経済の活性化の名のもとに故意に拡大してはいけません。
たとえば薬漬け医療を促進して医師や看護師を無理に増やしたり、行政の箱物を無理に増やして清掃業者を増やす必要はありません。
できるだけ上記サービス業に投入するヒト・モノ・カネは小さい方がいいでしょう。
2.あなたが本当にほしいもの
ところであなたはAIやロボットが発達した世の中を本当に欲していますか。
それよりもあなたが今、本当にほしいものはAIやロボットですか。それとも別の何かですか。
毎日、満員通勤電車に悩まされてる人は、通勤状況をなんとか改善してほしいと思うかもしれませんし、住宅ローンに悩まされている人は、より広い住居をより安く入手できる社会を望んでいるかもしれません。
残業で悩まされている人は労働時間の短縮がAIやロボット以上に必要なはずです。
自由主義経済は私たちの需要に対して財・サービスが供給されるという建前になっていますが、実際は株式市場の”胴元側”およびそのインサイダーが私たちが望んでない財・サービスを供給し、私たちは彼らの目論見通り、それを消費しているのが金融資本主義社会といったところでしょうか。
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今回は仕事論を越えて経済論、産業論になってしまいましたが、いかがでしょうか。
しかしながら、仕事について論じるにはまず土台となる経済について論じるのが王道かもしれません。
仕事、経済、産業に関する考察はまだ続きます。
(つづく)




