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私の仕事論  作者: カキヒト・シラズ


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第7話 国民に時間と空間を与えよ

初出:令和8年4月1日



 行政が国の豊かさを定量評価する指標としてよく使うのがGDPでしょうか。

 GDPが高いほど国は豊かだ。あるいは国民一人当たりのGDPが高いほど国は豊かだ、という考えです。

 バブル時代から日本はGDPで米国に次ぐ世界2位に地位を維持してきました。しかしここ数年、どんどん衰退してきています。


 しかしながらバブル時代にはたして日本人が幸福だったかどうか、私は疑問に思います。


 当時、残業で夜10時過ぎに社員寮に戻った私はテレビをつけると、久米宏司会の「ニュースステーション」がやってました。

 記憶は曖昧ですが、東欧の農村地帯の話題だったと思います。人々は自然豊かな環境で広い土地と家屋を所有し、労働時間はⅠ日4時間とのこと。日本より少し原始的な生活を送っており、所得は当時の日本円換算では日本人より低めでした。

 ただし実質的に豊かな生活を送っているのは彼らの方ではないかと私には思えました。


 満員電車で遠距離通勤を強いられ、残業も多く、生涯所得の大半を費やして”うさぎ小屋”をローンで買う日本人。

 為替レート換算で給料は諸外国より高めでも、日本人は豊かでも幸せでもありません。

 今の時代、サービス残業は問題視されますが、当時はサービス残業を厭わない社畜社員ほどヒーローとみなされ、サービス残業をしない社員はヘタレと思われる風潮がありました。


 日本のGDPの順位が下がった今の時代の方が労働者の人権意識が芽生え、サービス残業や飲み会強要、パワハラなど日本企業の悪しき風習を断ち切る気運が高まったことは、いいことだと思います。


 私は国の豊かさを定量評価する指標として従来のGDPに加え、労働者に与える「時間および空間」の概念を提言します。



1.労働者に「時間」を与えよ


 まず「時間」です。

 国民または労働者は、給与など他の条件が同じならば労働時間が短い方が豊かと考えられます。

 私は本エッセーシリーズで「社長労働時間」、「労働通勤時間」、「世帯労働時間」といった新しい労働時間の概念を提言しました。これらの労働時間をGDPと組み合わせるのはいかがでしょうか。


 たとえば国民の全労働時間から全社長労働時間を除き、「一人当たりGDP/労働通勤時間」を算出します。この値が大きいほど国は豊かだと考えられます。

 またば国民の全労働時間から全社長労働時間を除き、「GDP/世帯労働時間」を算出します。この値が大きいほど国は豊かだと考えます。


 GDPの数値を上げることに注力するのでなく、単純に上記の労働時間を減らせば数値は上がります。

 さらに通勤時間を短くしたり、専業主婦家庭を増やしたり、個人事業主や個人商店主を増やしてもこれらの数値は上がります。



2.労働者に「空間」を与えよ


 次に「空間」です。

 国民または労働者の所有する土地や家屋が、所得など他の条件が同じならば、広い方が豊かだと考えます。

 不動産の価格は同じ面積でも都市部と農村部では違うというのが、現在の金融資本主義経済の常識です。これは不動産を投機対象としたときに金融業界からどのような資産価値が算出されるかを表すものですが、とりあえず単純にどの地域でも面積が広さだけで算出します。


 また国民が複数の不動産を所有すること、つまり別荘を持つのも国民の所有する土地や家屋の面積は広くなります。


 東京の住宅街を散策するとりっぱな行政の箱物「XXセンター」が多数目につきますが、その隣で狭小住宅が並んでいます。

 行政は土地を国民に返したらどうでしょう。無駄な箱物を税金で建設するのでなく、国民に欧米並みのもっと広い住居に住まわせ、人間らしい暮らしをさせてあげたらどうでしょうか。



4..二拠点移住から二拠点所有へ


 二拠点居住という概念があります。都市部と農村部の二拠点に移住するという国交省が提言するライフスタイルです。

 しかしながら私に言わせれば、国交省は国民の二拠点居住でなく、国民の二拠点”所有”を推進すべきです。

 都市部のタワマンと農村部の田畑のある戸建て。この二つを平均的所得の国民が所有するのです。

 これからは戸建ての建売は住居の周囲に庭にしては広く、農地にしては狭い敷地を付与してはいかがでしょうか。

 農地は自分と家族のための自給自足用の農作物を栽培し、余ったら「地域農作物センター」で野菜などを物々交換、または地域振興券で交換します。

 「地域農作物センター」は地域の食糧自給率向上が目的です。したがって原則、現金で野菜は販売しません。現金で交換可能にすると大手流通業者が介入してビジネスを展開し、結果的に地域の食糧自給率は向上しなくなる懸念があるからです。


 すべての国民が二拠点所有できるだけの財力が国にはない。行政はそう言い訳しそうです。

 これももっともな話ですが、私は「小人閑居して不善をなす」の原理で支配者階層が不当にわれわれから時間や空間を搾取しているという仮説を信じています。

 当初は平均より少し裕福な家庭が二拠点所有し、そのうちに平均より貧しい国民も住宅ローンに過剰に悩まされることなく二拠点所有が可能になる時代を夢想しています。


 そもそも政府はAI産業の推進に多額の助成をするのでなく、その予算を使って国民に広い土地、住居を持たせてみてはいかがでしょう。

 国民がみんな家を所有したら、アパート経営の大家さんが困るからやらない、というのが行政の本音かもしれません。

 しかしながら大家さんと、家のない貧しい国民のどちらを優遇すべきなのでしょうか。



5.固定資産材を見直すべき


 さて、現実問題として国民が二拠点を所有した場合、固定資産税が気になります。

 現行制度では固定資産税が高すぎて、せっかくタワマンの住宅ローンを返済しても老後、年金収入だけで生活するには、タワマンを手放してより小さな住居に移住せざるを得ない人もいると思います。

 二拠点までは固定資産税を十分安くし(ゼロ円でも可)、固定資産税に悩まされる人がいなくなることを希望します。


(つづく)


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