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第51話 古城の森へ

王都から出て、しばらく進んだ北西の広い森の奥に、古い城がある。


廃墟となっていた古城に今は敵勢力が籠城している。

近づくと、古城そのもの、その周囲、それから森の広い範囲にドーム状の結界が張られているがわかる。

意識を集中してみると、中心へ向かうほど結界の強度が上がっているのがわかる。


「全軍止まれ!」


森の手前でエリック王子率いる国軍がずらっと並ぶ。

魔法士団もその中に団長を先頭に列を作っている。


「ヴァレリウス」

「はっ」


団長が数名の魔法士の名を呼び、森の最初の結界の解除を行う。

ここでは私は出番がないようだ。


しばらくすると隊列が通れるぐらいの大きさに穴が空いた。

魔法士たちがその穴を維持するよう魔力を送り続けている。


「隊列、進め」


魔法士たちがキープしている入り口にどんどん軍が入っていく。

私も団長についていく。


森の外では本陣を組んでいる兵たちがいた。

何かあったらあそこが基地になるんだな。

数名の治癒魔法士も一緒だから、あそこが救護所になるんだろう。


森を進むと、だんだんと嫌な気配が濃くなる。

これが禁術魔法の気配なんだろうか。

それとも大地の魔力を吸い取りすぎて命が尽きていく森の気配か。


重い空気の中で次の結界が近づいてきた。

先ほどのものよりも頑丈そうだ。


それに——


「地雷がある」


団長が言った。

この気配、そうか、地雷か。


地面のあちこちから何だかきつくて嫌な気配がする。

魔力量に応じて反応する、魔法士を狙った罠。


通常の兵士なら踏んでも作動しない。

魔力量が大きいとその魔力量を使って作動するタイプ。

結界を壊しにくる魔法士をこの地雷で封じる作戦だ。


リリアナが何人かの魔法士を呼び、場所を指示していく。

呼ばれた魔法士はそれぞれ地雷を浮かび上がらせて一つずつ魔法陣を解除していく。


団長は地雷に近づかない。

私も近づいてはいけないと言われた。

魔力が大きいと解除する前に発動させてしまう危険があるらしい。


地雷の解除が済んで、結界に近づく。

そこそこの強度があるが、範囲を大きくしているせいか思ったほどではない。

地雷撤去していた魔法士たちが呼ばれて、また隊列が通れるだけの穴を開けた。


いよいよ敵の本拠地だ。

枯れ気味の森の中の廃墟はおどろおどろしく、敵兵の姿は見えない。


城の入り口まで進む。

結界は強固なものに感じる。


その代わり、周りに地雷の気配は感じられない。

魔力を結界に全振りしてるのかもしれない。


「ヴァレリウス、解除できるか。包囲して突入したい」


「全解除ですか?……やってみましょう」


兵たちを突入できる数カ所に配置してから、団長は正面入り口の前に立った。

私はそのすぐ後ろに控える。


手をかざして、結界の術式を調べているようだ。


しばらくすると団長はグッと拳を握ったかと思うと真上に振り上げて手を開きぐるりと腕を回して空間を撫でるように円を描いた。

すると空中に強い魔力をたたえた魔法陣が浮かび上がり、円が閉じた瞬間に結界に向かって発動した。


ドオオン!


という地響きのような音と同時に結界が崩れ、兵たちが突入する。


…………すごい。


これが、本物の無詠唱魔法陣。

私のなんて比べ物にならない。


めちゃくちゃかっこいい。

魔力量もすごかった。


団長がふーっと大きなため息をついた。

やはり大技だから疲れたのかもしれない。


兵たちが戦っている音が聞こえてくる。


私たちも行ったほうがいいのかなと声をかけようとしたその時——


足先にカツンと何かが触れた。

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