10月11日 宴の夜 7/14
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美緒は眉をひそめた。
緊急臨時放送が起動した時、始まる――と思った。
美緒独特の感覚が、確かに、そう告げていた。
ここ何ヶ月も、自分が感じ続けてきた正体不明のものが、ついに姿を現す――。
このひと月、生徒たちに様々な事象を引き起こさせ、今日の空の明るさでないと対抗できないと感じさせたものが、ついに表に出てくる――。
その時がきた――と。
とっさに身構えた。
でも、それなのに、――違った。
肩すかしにあった気がした。
美緒の感知したものが間違っていたことなど、これまで一度もなかったのに――。
遠からず終わるこの世界で、保証されない明日を自己責任で生きて欲しい――、新世界連盟の緊急放送が全世界に告げたのは、つまりはそういうことである。
公的国際機関が公言したのだから特筆すべき報道なのだろうが、内容そのものは、今さら驚くようなものではなかった。
地球の状況が末期的なのは、誰もが消極的には気づいている事実だし、国であれ、県や市であれ、どこも、誰も、隣のビレッジでさえあてにできないことも事実だ。
内容は厳しく、過酷だった。
だが、それは、美緒や生徒たちが感じていた不穏で正体不明なものとは違っていた。
だからだろう、広場を見渡すかぎり、放送を見て動揺したりパニックになる生徒はいない。
放送について熱く語りはしても、恐怖に怯えてはいない。
彼らを怯えさせないものは、青空を生ませる引き金にはならない。
――今日の晴天をつくらせた元凶は、この放送じゃない。
でも、だとしたら、さっき、なぜ、始まる――と感じたんだろう?
ずっと迫り続けていた不穏なもの――。
距離感が測れない、規模が掴み切れない大きな何か――。
正体を探ろうとし、際限のなさにひるんで、とっさに探知をやめたもの――。
それが、ついに表に出てくる――と感じたのに。
しかも、放送には、わずかだけど、その不穏で際限のないものが発していたのと同じ振動があった。
気のせいなんかじゃない。確かにあった。
――あ!
ということは……。
美緒の脈拍が速くなる。
――新世界連盟は、正体不明なものと係わりがあるんだ。
でも、放送は、世界の状況にしか触れていなかった。
お粗末なくらい、すでにわかっている世界の現状だけに言及し、それ以外の内容はなかった。
着地場所を求めてさまよっていた思考が、すうっと一点に沈殿する。
――あの放送は見た目どおりじゃない。
真実は隠されている。
事実は伏せられている。
意図的に――。
――いったい、世界に何が起きているの?
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更新:週一、月曜




