10月11日 宴の夜 6/14
放送は、場所による条件や環境で時間的な差があるにしても、地球全体として、人類はじめ、すべての生物が滅亡していく過程にあること、極端な異常気象、大規模な自然災害のため、国際間の援助活動が困難であること、きわめて不安定な通信状況により、リアルタイムでの世界の現状把握が不可能に近いことなど、気が滅入るような具体的な説明を続けた。
『今後、国家、自治体、民間組織などが機能している間は、ある程度、
あなたがたの生活は守られるかもしれません。しかしながら、
いつまでそれらが継続されるかは、時間の問題と言わざるを得ません。
あなたがた自身が、自分を守る努力をしなくてはならないということです。
この発表を節目に、改めて、ひとりひとりが自らの責任と自覚をもって、
一日一日を無事に生き抜いていかれることを心より願っています』
最後の言葉を伝え終えると、始まった時と同様、唐突に映像は消えた。
生徒たちは、呆気にとられて少しの間ぽかんとしていたが、すぐさまいっせいに口を開き、広場は討論番組が混線したような騒ぎになった。
「今の、何?」
「世界は終わるから、あとは自己責任でよろしく――て言ったんだよな」
「人類の終焉だって」
「今さら言われなくても、今の世界で生き続けるのが難しいってことくらい、とっくに、みんな、わかってるけど」
「この放送、なんか意味不明」
てんでに思いつくことを口にしながら、顔を見合わせたり、眉をひそめたりしている。
「でも、地球がどれだけ危ういか、わかってない人が、世界には、まだたくさんいるんじゃないの?」
「じゃあ、わかってない奴に、最期が来るぞって、カツ入れたのか?」
「でも、知らないほうが幸せな人だって、いたんじゃないかなあ」
「なら、不安がらせただけってことだぞ」
「知らないままでいる自由って、ないわけ?」
「あ、俺も、別に知りたくなんかなかったな」
「でも――」
ひとりの少女がまわりを見回して、確かめるように続けた。
「この放送を見ても見なくても、飛鳥も、私たちも、変わらないわよね?」
「もちろん」
大きく肯いて、近くにいた青年が答える。
「こんな放送、あってもなくても、今日も明日も、俺たちは変わらない。飛鳥は、飛鳥らしくあり続けるさ」
「これまでも、これからも、飛鳥は飛鳥よ」
「あたりまえじゃん」
当然のように、広場にいる誰もがうなずき合う。
「何だよ、せっかくの歓迎会、台無しにしてくれちゃって」
「まったくだ」
最後は、ぼやく声が広場にあふれた。
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更新:週一、月曜




